【ロッテ】鉄腕・涌井、5年ぶりの143球で下克上!
◆パ・クライマックスシリーズ第1S ▽第3戦 日本ハム1─2ロッテ(12日・札幌ドーム)
パ・リーグは、3位のロッテがクライマックスシリーズ(CS)第1ステージ(S)第3戦で2位の日本ハムを下し、2年ぶりの最終S進出を決めた。涌井が5年ぶりの143球を投げ、7回途中1失点。今季終盤から鉄腕ぶりを発揮するエースの熱投に、井口が同点ソロ、デスパイネが決勝ソロで応えた。05年、10年に続く5年周期の下克上日本一へ、14日からソフトバンクとの最終S(ヤフオクD)に挑む。
いつものポーカーフェースじゃいられなかった。同点の3回、無死満塁の絶体絶命。涌井は近藤を投ゴロに仕留めると「絶対ゼロでいこうと、気持ちも精度も一段階上げた」。レアードには低めのフォークで空振り三振に斬った。「ヨシッ!」とグラブを叩き、叫んだ。矢野も二飛に仕留め、ピンチ脱出。珍しくガッツポーズが飛び出た。5年ぶりに143球を投げ、7回途中を8安打1失点。難攻不落の熱投だった。
登板直後、いきなり災難に見舞われた。初回先頭の陽を一ゴロに仕留めたが、一塁ベースカバーに向かう際に人工芝に足を取られ、転倒した。「『期待に応えてやろう』というのが強すぎて、空回りしてしまった」。左膝と右手をすりむき、治療後にマウンドに戻るが、1死一、三塁からは中田にフォークを左前に運ばれ、先取点を献上した。
それでもフォークの握りを、人さし指に縫い目がかかるよう変更し、空振りが奪えるようになった。再三走者を背負うが、気迫で勝利を引き寄せた。
6日の楽天戦(コボスタ)に中4日で登板し、プロ最長の10回、137球を投げて最多勝を獲得した。そこから中5日で140球を超える力投。スタミナは怪物級の右腕も、降板後の疲労は隠せなかった。それでも「投手陣で一番経験があるのは自分」と意地で投げた。伊東監督は「やはり最多勝を取る投手。これぞエースという投球をしてくれた」とたたえた。
12勝した西武時代の06年は、プレーオフに登板できなかった。第2Sに登板予定だったが、チームが第1Sで敗退したためだ。9日の札幌Dでの練習中、当時も監督だった伊東監督にその件を話し「今回は投げますよね?」と冗談交じりに登板を求めた。移籍前は救援に回っていた右腕の復活劇。指揮官は「西武時代はこんな感じ。投げれば勝つ」と感慨深げに語った。
ロッテは05年以降、出場5度全てでポストシーズン第1Sを突破。14日からはリーグ王者のソフトバンクと対戦するが「相手は試合間隔が空いているし、こちらは勢い付いている」と涌井は言う。日本一になった05年、10年に続く5年周期のゴールデンイヤー。3位からの下克上を、再び成し遂げる。(宮内 宏哉)