かわぐちかいじさん歓喜イラスト エディ日本「よく戦った!」
明治大学出身で大のラグビーファンである漫画家・かわぐちかいじさん(67)が、ラグビーW杯イングランド大会での日本代表の健闘をたたえるとともに、2019年日本大会への期待を込めた描き下ろしイラストをスポーツ報知に寄せた。12日に米国を下し、1次リーグで過去最高の3勝(1敗)を挙げながら勝ち点差で惜しくも予選敗退となった日本代表に、かわぐちさんは「よく戦った!」とエールを送った。
「大会前は1勝できるかと思っていたが、強豪南アフリカを破り、サモア、米国にも勝った。何で予選突破できないの? 不思議なものだね」。かわぐちさんは苦笑しつつ、戦前の評価を覆したエディー・ジャパンの健闘を称賛。スポーツ報知に、トライの後に雄たけびを上げる日本代表のイラストを寄せた。
「歓喜の瞬間といえば、やはりトライの後。その場面を私なりに表現してみました。明治出身だから、間違えて(チームカラーの)紫紺のユニホームを描きそうになった(笑い)」
ベストセラーとなった「沈黙の艦隊」、「ジパング」や現在ビックコミックで連載中の「空母いぶき」など近未来を感じさせる軍事もの漫画のイメージが強いかわぐちさん。これまでの作品でラグビー選手を登場させたことはあるが、日本代表を描くのは初めてだ。
明大漫画研究会に所属し、在学中の1968年に漫画家デビューした。卒業後に、母校・明大のラグビー部は1972~1982年度まで11年連続で大学選手権の決勝に進出し、5回の優勝を飾るなど黄金期に突入。75年には日本選手権も制覇した。
かわぐちさんがラグビーの魅力にハマったのは、早明戦を筆頭に大学ラグビー人気が絶頂期を迎えたころ。「ラグビーといえば、(死去まで67年間明大の監督を務めた)名将・北島忠治さんです。フォワード戦重視の攻撃的なラグビーが忘れられません。一点突破でこじ開ける。ああいうプレーが好きでしたね」
今回の日本代表では田村優(NECグリーンロケッツ)が明大出身で、スコットランド戦にも出場した。「ライバル」早大出身の五郎丸歩(ヤマハ発動機)が国際舞台で躍動する姿にも心を打たれたという。
3勝しながら、悔しさを胸に帰国する日本代表へ、かわぐちさんはイラストとともにメッセージを送った。「よく戦った! 2019年日本大会は、3勝してベスト8を期待しています」
◆幼少期は巨人党 今は地元広島党
明大在学中は、ラグビー部より、1学年上に中日で活躍した星野仙一氏(現・楽天球団副会長)がいた野球部を応援することが多かったというかわぐちさんは「もともとは野球少年でした」。
ふるさとは広島県尾道市だが、「長嶋対金田正一の対決を見て、弟(双子の弟・協治さん)が国鉄ファンになって、私が巨人ファンになった。母に野球帽を買ってもらうことになったが、お店の売り場に巨人の帽子しかなかった。弟はYGマークをはがして、Kマークを張ったりしてね」。ちなみに、星野氏と東京六大学で同期だった山本浩二氏(法大)が広島に入団したことで、広島ファンに。現在もカープ党だという。
◆かわぐち かいじ(本名・川口 開治)1948年7月27日、広島県尾道市生まれ。67歳。明治大学文学部在学中の68年に「ヤングコミック」の「夜が明けたら」で漫画家デビュー。87年「アクター」、90年「沈黙の艦隊」、00年「ジパング」、02年「太陽の黙示録」などヒット作多数。現在は「ジパング 深蒼海流」(講談社、モーニング)、「空母いぶき」(小学館、ビッグコミック)を連載中。