支持基盤は「一枚岩」ではない
沖縄県の翁長雄志知事が、13日午前10時から沖縄県庁内で記者会見を開き、仲井眞弘多前知事による辺野古埋め立ての承認を正式に取り消すと発表する。これによって、現在、政府(沖縄防衛局)が辺野古で進めている建設作業は法的根拠を失うことになる。
沖縄防衛局はただちに取り消しの無効化にむけた処置に入る姿勢をみせているため、普天間移設問題は、国と県の「全面対決」という重要な局面に突入する。
翁長氏は昨年の知事選で「あらゆる手段で新基地建設を阻止する」ことを公約に掲げていた。そのため、この承認取り消しは当然のこと、という見方もできる。しかし、昨年12月に知事に就任して以来、今回の取り消し判断に至るまでの翁長氏の道のりは、実に苦渋に満ちたものだった。
まず、支持基盤への配慮が必要だった。
地元のマスコミは、翁長氏の言動を高く評価する記事を掲載し続けている。実際、昨年の知事選で翁長氏に票を投じた県民の多くは、新基地建設を強行する日本政府に毅然と立ち向かってほしいと願っている。
ただ、翁長氏を支える「オール沖縄」勢力は、決して一枚岩ではない。共産党、社民党、社会大衆党といった革新系や、琉球民族として独立・自治を目指す民族系だけでなく、元自民党議員など保守層も含まれている。
だからこそ、翁長氏は知事就任以来、一方だけが喜ぶような判断、発言は極力避けようと努めてきた。「腹八分、腹六分でまとまることが大事だ」とくりかえし呼びかけてきたのはそのためだ。
ところが、辺野古移設に反対する「オール沖縄」のなかでも、革新系・民族系(琉球民族の先住民としての権利を主張する人々)は、翁長氏の言動に「煮え切らなさ」を感じてきた。特に、革新系反対派の不満は日ごとに高まっている。
8月上旬、工事を一ヶ月中断し、その間は取り消し判断を知事はしないという方針が示されると、反対派の不審は一気に高じた。振興策も協議の議題になることが伝わると、不満の矛先は、かねてから菅義偉官房長官との密な関係が取りざたされていた安慶田光男副知事にも向けられた。
8月17日には、県内外49の市民団体が翁長知事宛に要請文を提出。「いらぬ疑念や誤解を招くことのないよう、また、政府の都合の良い宣伝材料として利用されることがないよう…」と、県首脳の姿勢に釘を刺したのだった。
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