子供の運動能力が向上している。スポーツ庁が11日公表した2014年度の体力・運動能力調査によると、走ったり跳んだりする体力テストの結果は現行の調査方式になった1998年度以降で最高となる年齢が多かった。スポーツ庁は「20年東京五輪・パラリンピックの開催が決まり、スポーツへの関心が高まっていることが影響している」と分析している。
6~19歳は50メートル走、握力など8項目を測定し、それぞれの結果を点数化(80点満点)した。男子は7歳、8歳、13~18歳の8つの年齢で、合計点が98年度以降で最高となった。例えば16歳は55.71点となり、98年度より7.71点高くなった。
女子も8~11歳と13~19歳の11の年齢で最高の成績だった。
種目別にみると、50メートル走、長座体前屈、上体起こし、反復横とび、20メートルシャトルランで成績が向上していた。11歳男子の反復横とびは20秒間に46.15回で、98年度と比べ4.84回多かった。
調査に関わった順天堂大の内藤久士教授(運動生理学)は「学校現場で過去の調査結果を検証して、体育の授業中に苦手分野を鍛えるなどの取り組みが功を奏した」と分析する。
一方で、握力やボール投げは横ばいか低下する傾向がみられた。「野球をする子供が多かった時代と比べてスポーツが多様化し、投げる動作に慣れていない子供が増えている」(内藤教授)という。
子供の体力は全体的に向上しているが、ピークだった85年の水準には戻っていない。国は12年に定めたスポーツ基本計画で、今後10年以内に85年ごろの水準を上回ることを目標としており、スポーツ庁担当者は「今後も学校や地域で運動する機会を増やすことが重要」としている。
65~79歳の高齢者は上体起こしなど6項目を60点満点で調査した。75~79歳男性(35.34点)、同女性(35.14点)のほか、65~69歳男性(42.56点)、70~74歳女性(39.05点)が過去最高となった。
体力・運動能力調査 国民全体の基本的な体力や運動能力の状況を把握し、政策に反映させるため、東京五輪が開かれた1964年度から毎年実施し、体育の日に合わせて公表している。98年度から現行の調査項目となり、対象年齢も60代と70代が加わって、6~79歳となった。
今回は昨年5~10月に調査を実施し、約6万5千人の結果を集計した。調査はこれまで文部科学省が実施していたが、今年10月に発足したスポーツ庁に引き継がれた。〔共同〕
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