小北清人
2015年10月13日07時16分
2020年東京五輪・セーリング競技の江の島開催決定を受け、「市民一丸となった盛り上がりを」の声が高まる神奈川県藤沢市。だがそれ、口で言うほど楽じゃない。「オリンピック」の文字自体、自由に使えず、イベントのパンフレットできちんと紹介できないケースも。テレビ中継がめったにないセーリングの魅力を広める取り組みも、大きな課題として残されている。
9月26日夜、藤沢駅北口のビル壁面に、1964年の東京五輪でヨット競技が江の島で初めて開かれた当時の模様が映し出された。市が所有する記録映像。この日始まった「藤沢市民まつり」の一環で、主催する実行委員会が企画した。
だがその少し前、新聞の折り込みで市内に配られた「まつり」の案内パンフレットには「オリンピック」の文字はなく、「幻の映像上映会 51年前のフィルムを最新技術で修復」とあるだけで、何の映像だかわからない。事情はこうだ。
共催する同市の五輪担当課の問い合わせに対する2020年東京五輪の組織委員会の回答は、「上映自体は市の共催ならOK」。だがパンフへの「オリンピック」の記載は「大会公式スポンサーの権利を侵害する」と認めなかった。パンフに地元企業の広告が多数掲載されるからだ。五輪は大会スポンサーからの収入が運営の大きな柱になっている。
企業広告とは関係のない藤沢市のウェブサイト。アクセスすると、五輪関係の写真を背景に「5年後……『世界の江の島へ!!』」の文字が登場する。五輪への直接言及はない。五輪組織委からの通知に「文章のタイトル(表題)にオリンピックと入れるのは認められない」とあるので表現を工夫した。開催決定祝いの横断幕があるのは数カ所、公共的な場所ばかりだ。
残り:530文字/全文:1245文字
おすすめコンテンツ
PR比べてお得!