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野党やメディアが「若者がついに動き出した」と煽るのは、若者全体を見ていない証拠

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安保法制をめぐる与野党の攻防の中で、広がっていった国会前デモ。その中でもとりわけ、SNSなどを活用して急激に規模を拡大した「SEALDs」など若者や母親たちの反安保法制の活動は、大きな注目を集め、多くの野党議員や学者、著名人が賞賛した。

これらの活動は「若者」「母親」という文脈で注目を集めることになったが、法案通過後は、どのような可能性があるのだろうか。そして、こうした活動は、実際の政策にどの程度影響を与えうるのだろうか。かつてネット選挙運動解禁に向けた「One Voice Campaign」の活動に携わり、現在も「若者と政治をつなぐ」活動に従事しているNPO法人YouthCreate代表の原田謙介氏に話を聞いた。【取材・執筆:永田 正行(BLOGOS編集部)】

国会前デモに参加しているのは “代表”ではなく“一部”

-原田さんは普段から、若者と政治をつなぐ活動をしていますが、今回の国会前デモに多くの若者が参加していることについて、どのようにご覧になっていますか。

原田謙介氏(以下、原田):彼らとはまったく面識がないのですが、確実に言えることとして、今回一部の若者が中心となって、かなりの熱量で動き出したということは新しい動きですし、面白いとは思っています。政策に対して中立ではない形で声を挙げ始めたことは、今までにない動きなので印象的ですよね。

その上で指摘したいのは、当たり前かもしれませんが彼らは“若者の代表”ではないということです。私自身も「若者と政治をつなぐ」という活動をしていますが、“若者の代表”ではないですし、「若者の利益を政策に反映!」というイメージで活動をしているわけではありません。私自身が、「若者と政治が繋がったほうがいい」と考えているからやっているだけの話です。ですから、今回の動きについて、メディアや野党が「若者がついに動き出した」と煽るのは、若者全体を見ていない証拠だと思います。

割合はわからないですが「若者の一部」が、安保法案反対を訴えたというだけの話で、彼らが若者全員を代弁できるわけでもないですし、若者全員が安保法案に反対しているわけでもないでしょう。そこに対する違和感というのはありました。

そういう意味では、彼らを変に持ち上げるメディアや野党はズルいですよね。今まで若者を無視してきたにも関わらず、「若者が訴えているから世の中が変わらなければいけない」「こんなに若者が動いているのに、なぜ変わらないの?」と、今度は若者をうまくダシにしている。

若者の投票率が低いことは事実ですが、じゃあ投票に行かない若者が政治にまったくの無関心か、日本の未来に関心がないかといえば、そうでないでしょう。逆にいえば、投票に行っているお年寄りが、毎回マニフェストを吟味しているわけでもない。

もし私が、若者や学生を中心にある法案を通さないという動きをするのであれば、絶対に特定の政党とは組みません。政党とは関係なく、「いち若者の意見」として、安保法案の手続きなり内容に反対を主張すると思います。有権者として声を挙げるのであれば、政局に巻き込まれる必要はまったくありません。若者なり大学生の意見として「こうなんだ」と訴えた方がよいでしょう。純粋にそうであったとしても、「何党が付いているんじゃないか?」と勘ぐられますから、「そうじゃないんだ」ということを明確に言う必要も出てきます。

政党であれば、若い人が盛り上がっているという状況には、勢いがありそうだし相乗りしたいと考えるでしょう。ただ、それをどこまで受け入れるかは慎重に判断する必要があると思います。

-原田さんは、かつて「One Voice Campaign」という活動に携わり、ネット選挙運動解禁に尽力しました。その際には、どのようなことに注意して活動していたのでしょうか。

原田:現在の立場でいえば、NPO法人なので制度上、特定の政党や候補者への支持を明確にできないというのはありますが、「One Voice Campaign」なり、それ以前の「ivote」なりの頃から「中立」ということは意識していました。

これまでも様々な政党や候補者の方からイベントへの登壇を依頼されたことはありますが、公開のイベントに関しては原則として「学生時代からの友人だから」といったように、私自身が引き受けた理由を明確に語れないもの以外は断っています。何故なら「あの人は、あの政党の、あの政治家のイベントに出ていた」と“色”がついてしまうことが怖いからです。

どこかの政党の“色”が付いていると見られた瞬間に、その逆の立場の人から「敵だ」と認定されてしまいます。私自身は敵を作るのがすごく恐い。「One Voice Campaign」の時も、「中立」は多くのメンバーが意識していたと思います。多くの人が味方になってくれる方が望ましいですし、であれば、特定政党から支持を受けているように見えることには注意すべきだと思います。

-何らかの主張をもって運動をしていると、どうしても先鋭化しますし、反対勢力を“攻撃”してしまう傾向はあると思います。ネット選挙運動解禁までには、消極的な議員の抵抗もあったと思うのですが。

原田:攻撃をしなくても、自分たちの目的に対する障害が消えればいいわけです。もちろんネット選挙運動解禁の時も、積極的ではない政党もありました。そういう時は、その政党の中で、私たちに賛同してくれている議員をいかに“気持ちよくさせるか”を考えました。自分たちの運動に好意的な議員が党内で活躍出来る、自分たちの主張を広めてくれるような場を作るといった動きをして、その政党や議員に対して「なんで動かないんだ」と批判することはやらないというスタンスでした。

これは参加しているメンバーの性格的な要因もあると思いますが、私の場合は、ネット選挙運動解禁後のことを考えていました。「ネットと政治」という分野が、引き続き盛り上がって、政治家にも、候補者にも、国民にも利益になると納得してもらう状況を作り出すためには、政治側に「みんなでやったよね」という状況を作らなければいけないと考えたんです。

「ネット選挙運動解禁法案は、自民・公明だけで通したんだ」となってしまうと民主党を中心にした野党が後から批判するような状況を作ることになります。一部の党が主導して、蚊帳の外になってしまった党が後から批判するというような状況だと、その後の「ネットと政治」にかかわる活動にマイナスとなる可能性が高い。だからこそ、敵を作らないというやり方を重視しました。

今回の国会前での活動についても、安保法制成立後の活動をどうするのか、ということに注目しています。また、今回、仮に安保法案が成立しなかった場合、どういう活動になったのか、というのも気になるところです。例えば、「超党派で安全保障に関して議論が出来るような場を作ってください」と要望する活動に切り替えていくのであれば、もう少し支持は広がるかもしれません。

やはり何事も「100%理想通り」というのは、難しいと思うので、「どういう落とし所に持っていくか」というのは考えるべきだと思います。相手側の譲歩を引き出すためにも、こちらの考えを明確に示す必要はありますし、「今のはダメ」というだけでは、それができません。もちろん、安保賛成側も「いや、これしかないんだ」というだけでは、ダメでしょう。

今回の場合、具体的な方法はわかりませんが、何か法案を通す、何かを変えていく時には、反対側の人との折り合いをどうつけるか。あるいは、その人たちと、どう対話を繰り返していくかを考える必要があると思います。

-他に特定の目的のために運動をしていく際に注意していたことはありましたか?

原田:「One Voice Campaign」の時は、基本的な情報を定期的に発信することを意識していました。自分たちは1年ぐらい継続的に活動してきたので、非常に詳しくなるわけです。ただ一方で、ネット選挙運動に興味を持ったばかりの人たちも、私たちの活動を見る。そういう人たちに対して、「SNSだけじゃなくて、電子メール解禁もやらなきゃダメでしょ」というところから議論をスタートさせても、チンプンカンプンになるだけです。そうならないように「私たちが何故ネット選挙運動の解禁に取り組んでいるのか」ということを事あるごとに発信してきました。

安保法案について言うならば、いろんな文脈をすっ飛ばして「安倍ダメだ」になってしまった時に、共感を持つ人がいるのかということは考える必要があると思います。おそらく、ずっと反対派の動きを見ていた人はなぜ「安倍ダメだ」になったのか理解できるでしょう。しかし、直近2~3日の間に興味を持つ人も絶対いるわけです。そういう人たちに対して、いきなり「安倍ダメだ」と言って、本当に共感してもらえるのか、というのは考える必要があると思います。もちろん逆に賛成を訴える側も、「反対派はお花畑だ」と罵倒するだけではなく「そもそも安全保障環境が…」といったことを定期的に説明する必要があります。

これは政治に限りませんが、周りとの温度差は常に意識する必要があると思います。何かに夢中になっていて、「僕がこれは絶対に正しいと思うし、こうあるべきだ」と思って熱くなればなるほど、他の人は引いていくということを忘れてはいけません。温度差がある周囲の人を巻き込む時に、「敵をみんなで攻撃しよう」ではなく「みんなでこういうおもしろい未来を作ろう」という巻き込み方にしないと、引いていく人はドンドン引いていくと私は考えています。そういう意味では如何に「自分を客観視できるか」というのも重要でしょう。

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