【テヘラン=久門武史】イランを訪問中の岸田文雄外相は12日午後(日本時間同日夜)、ザリフ外相と首都テヘランで会談し、両国間の投資協定の締結で実質合意した。イランは核協議の最終合意を受け、経済制裁の解除の道筋がついている。投資を保護する枠組みをととのえ、大きな商機が見込めるイランへの日本企業の進出を後押しする。
会談では両国関係を強化するため、関係省庁を横断する「日・イラン協力協議会」を設置することでも一致した。環境、経済協力、貿易・投資、医療保健などの分野ごとに作業部会を置く。イランの核合意履行を支援するため、日本が原子力安全などの分野で協力することも確認した。
岸田氏は会談後の記者会見で「2国間関係が飛躍的に拡大することを期待している」と表明。ザリフ氏も「両国の協力関係には非常に明るい展望がある」と述べた。
投資協定は、日本からの進出企業の待遇をイランの現地法人と同じ扱いにすることや、投資の阻害要因となる資材の現地調達や技術移転の要求を原則禁じることなどを盛り込む見通し。両国は9月上旬に協定締結に向けた事務レベルの交渉を始めた。1カ月余りで合意に達するのは極めて異例だ。早期の締結・発効を目指す。
イランが7月に米欧など6カ国と核合意に達してから、日本の閣僚がイランを訪れるのは初めて。岸田氏の訪問には商社や自動車、エンジニアリング、医療、エネルギー、教育の分野から22の企業・団体が同行した。
イランは原油の確認埋蔵量で世界4位、天然ガスは世界1位の資源大国。人口は約7800万人と中東屈指の消費市場でもある。ドイツやフランスなど欧州各国は核合意直後から相次いで閣僚や企業団をイランに送り、制裁解除を見据えた関係強化を急いでいる。
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