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【暮らし】性的少数者(LGBT) 6割「職場で差別を受けた」同性愛や性同一性障害など性的少数者(LGBT)の六割が、職場で差別的言動を受けたと感じていることが支援団体などの調査で分かった。睡眠障害やうつなどにかかる割合も高く、当事者は今も根深い無理解に苦しむ。 (山本真嗣) 「もっと女らしくした方がいい」「いつ、スカートをはいてくるか賭けよう」 大阪市の団体職員(29)は三年前、当時勤めていたIT会社で、日常的なセクハラに悩んだ。 戸籍上は女性だが、「男性にも女性にも思えないX(エックス)ジェンダー(中性)でバイセクシュアル(両性愛者)」。それを隠すため、嫌いなハイヒールをはき、付き合っているのは女性なのに、同僚には「彼氏がいる」と偽った。 それでも「少しでも自分らしく」と化粧を薄くし、いつもパンツ姿。それがからかいの対象になった。未婚の同僚男性が「おかまじゃないのか」と言われているのを見るのもつらかった。 認められようと仕事を頑張り、評価も上がった。でも、「いつもうそをつき、ブレーキを踏んでいるような感覚」がしんどく、上司に結婚予定を聞かれた際に自分の性を告白。数日後、社内に広まり、「周囲が腫れ物に触るようになった」。 人を信じられなくなり、ひどい耳鳴りも出て突発性難聴に。二カ月後に退社を余儀なくされた。その後、商品の開封作業や工場のラインなど、人と会わずにすむアルバイトを転々。いまもカウンセリングに通う。 LGBTが働きやすい職場づくりを目指すNPO法人「虹色ダイバーシティ」(大阪市)と国際基督教大(東京都)が昨年、LGBT千六百十二人と非当事者三百二十五人に行った職場環境アンケートで、差別的言動について当事者の57%が「よくある」「ときどきある」と回答。同性と付き合っていることを理由に退職を促されたケースもあった。 差別的言動のない職場では働き続けたいと答えた当事者は62%だったが、差別的言動のある職場では49%にとどまった。当事者は40%が睡眠障害、28%がうつにかかり、非当事者を大きく上回った。 虹色ダイバーシティ代表の村木真紀さん(40)は「自分を偽るストレスは大きく、もがき、追い詰められて心を病む当事者は少なくない」と話す。 一方、LGBTの存在を前提に支援に取り組んでいる職場は、当事者、非当事者ともに七〜八割が働き続けたいと答え、支援のない職場よりも二〜三割高い。 多様性の問題に詳しい民間シンクタンクのコンサルタント渥美由喜(なおき)さん(48)は「LGBTが、仕事に向けるエネルギーを隠すことに割かざるをえず、生産性やモチベーションを下げることは大きな損失」と指摘。介護や子育てなどを抱えれば、だれもが職場のマイノリティーになる可能性はあるとして、「マイノリティーへの理解を示すLGBTへの支援は、優秀な人材を確保するために不可欠」と話す。 ◆仕事を辞めてほしい/男に戻っては?・同性と付き合っていることを非難され、「仕事を辞めてほしい」と言われた。 (20代) ・小学校の職員室で、ベテラン教師がおとなしい男子児童に「おかまじゃないのか。将来が心配」と話していた。 (20代) ・女性として勤務しているが、伸ばしている髪を切れと言われた。管理職から「男に戻ってはどうか」と言われた。 (40代) ・勤め先に性同一性障害と思われるお客が来店した際、店長が陰で「ああいう女が一番嫌い」と言っていた。 (20代) PR情報
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