【ワシントン=共同】国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は11日までに、シリア北部アレッポ近郊でロシア製のクラスター(集束)弾が投下されたとの報告書を発表した。シリアで空爆を実施するロシア軍と、同軍から武器の提供を受けたシリア軍のどちらが使用したかは特定できないとしている。
クラスター弾は、1発の親爆弾が空中で多数の子爆弾をまき散らす仕組み。紛争後も不発弾による被害が絶えず、全面禁止を訴える声が強い。
地元メディアの映像などを分析した。投下が確認されたのはロシア製の対戦車クラスター弾で、シリア内戦では初めて使われた型だとしている。
米メディアは、ロシア国防省が公開した空爆の動画に多数の子爆弾がさく裂する様子が撮影されており、ロシア軍がクラスター弾を使用した可能性を指摘していた。
内戦下のシリアでは政府軍が反体制派にクラスター弾を使ったとみられている。国際非政府組織(NGO)「クラスター弾連合」は、2012~13年だけでもシリアでクラスター弾による死傷者が少なくとも1584人に上ったとしている。
HRWは「ロシア、シリアのいずれもクラスター弾を使用すべきではない」として、全面禁止する条約(オスロ条約)への加盟を求めた。
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