【Q&A原子力規制庁職員のノーリターン・ルール】推進官庁への異動可能に 規制の独立、守れるか
Q 規制庁とは。
A 東京電力福島第1原発事故の反省を踏まえ、2012年9月に規制委とともに発足しました。原子炉や放射線防護の専門家である5人の委員で構成する規制委の事務局です。約900人の職員がいて、再稼働の条件となる原発の審査や検査などの実務を担っています。
Q 発足の狙いは。
A 経産省は原発の利用を進め、文科省は核燃料サイクル政策の研究開発を担う推進官庁です。福島事故前は、規制当局の原子力安全・保安院が経産省の下にあり、厳格な規制ができませんでした。経産省などから規制の独立性を守るのが狙いです。
Q 異動のルールは。
A 規制庁は発足時、主に経産省と文科省の職員で構成されました。そのため規制委設置法は、規制庁職員が原子力を推進する行政組織に異動することを認めない「ノーリターン・ルール」を設けました。出身官庁にいずれ戻る可能性があれば、その官庁の意向を気にして厳格な規制ができない恐れがあるからです。
Q 「行政組織」とはどこを指しますか。
A 法が成立した時点では明確になっていませんでした。法をめぐる国会の議論では、省全体でエネルギー政策を担う経産省への異動については厳格にルールを適用すべきだとの意見があった一方、教育行政なども担う文科省は柔軟な対応も必要との声もありました。具体的な運用は規制委に委ねられました。
Q 規制委はどうしましたか。
A 審議官以上の幹部を除き、原子力政策に強く関わる一部の部署以外であれば両省への異動を認めることにしました。
Q なぜですか。
A 規制委は、継続的な人材の確保のためと説明しています。両省に戻る道があれば規制庁への異動を前向きに検討する職員もいるとみています。
Q 異動を認めないのはどんな部署ですか。
A 経産省資源エネルギー庁の電力・ガス事業部や、高速増殖炉もんじゅを担当する文科省原子力課、原子力委員会事務局などです。
Q 問題点は。
A 幹部職員も含め、いったん別の省庁に異動になった場合は規制庁の人事権は及びません。規制庁は関係省庁に「相当の期間」は原子力の推進部局に配置換えしないことを求めるだけです。規制庁は異動した職員について、その後も異動状況を追跡調査するとしていますが、実効性は不透明です。「ノーリターン・ルール」は形骸化し、独立性が後退するという懸念の声もあります。
(共同通信)