栄久庵憲司氏を偲ぶ

日本を代表する工業デザイナー栄久庵憲司(えくあんけんじ)氏が、85歳で亡くなられました。栄久庵氏は広島県の浄土宗寺院の長男として生まれ、当山前住職とは府立五中(現 東京都立小石川中等教育学校)、海軍兵学校と席を同じくしました。栄久庵氏は京都知恩院で僧侶の資格を取った後、東京芸術大学に学びました。大学在学中に設立した「GKデザイン」を工業デザイン会社として組織化し、キッコーマン醤油の卓上瓶をはじめ、住宅、鉄道車両等、あらゆるデザインを手がける一方で、人材育成、組織の大切さに重きをおかれていました。栄久庵氏は会社設立60周年にあたり当山にお出でになり、仏教精神にもとづく物のあり方について前住職と語り合い、旧交を温めておりました。栄久庵氏の暖かな笑顔が思い出されます。ご冥福をお念じ申し上げます。

メジロ

「年年歳歳花相似たり 歳歳年年人同じからず」

劉希夷(りゅうきい/651~679) 栄久庵氏も大切にしていた漢詩です。

更新日:2015.02.19