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FIFA会長と副会長 活動停止処分に
10月9日 7時26分

FIFA会長と副会長 活動停止処分に
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FIFA=国際サッカー連盟は8日、背任などの疑いでスイスの検察当局の捜査を受けているブラッター会長とプラティニ副会長の2人を90日間の暫定的な活動停止処分にしたと発表しました。
ブラッター会長は2011年にヨーロッパサッカー連盟の会長を務めるプラティニ副会長に対し、200万スイスフラン(日本円にして当時1億7000万円余り)の不正な支出を行ったほか、2005年にはFIFAの不利益になる内容の契約をカリブ海サッカー連合と結んだとして、背任などの疑いでスイスの検察当局から捜査されています。
これを受けてFIFA内部の倫理委員会は独自の調査を進めていましたが、8日、ブラッター会長とプラティニ副会長を90日間の暫定的な活動停止処分にしたと発表しました。また、すでに職務停止となっているバルク事務局長についても同じ処分にするとしています。
FIFAの倫理委員会は、処分の理由については「守秘義務がある」として具体的な中身は明らかにできないとしています。ブラッター会長の活動停止処分を受けて会長の職務は
ハヤトウ副会長が代行するということです。
このほか、2018年と2022年のサッカーワールドカップの招致を巡って、倫理規定違反があったとして、韓国のチョン・モンジュン元副会長は、6年間の活動停止処分と、10万スイスフランの罰金が科されました。
ブラッター会長はこれまで弁護士を通じて、「プラティニ副会長への支払いはFIFA内部での適切な手続きを経た正当なものだ」などとして、容疑を否定しています。
FIFAを巡ってはことし5月、当時の副会長などFIFAの関係者9人を含む14人が多額の賄賂の受け渡しなどに関わったとして、組織的不正の罪でアメリカの司法当局に起訴され、ブラッター会長は来年2月の会長選挙で退任する意向を示していました。FIFAは次の会長選挙を待たずして組織の建て直しを迫られる事態となりました。

「失望している」と処分不当を主張

ブラッター会長の弁護士は8日、声明を発表し「倫理委員会が内規に従わず、自分から話を聴く機会を設けなかったことに失望している。さらに、倫理委員会の決定はスイスの検察当局が捜査を始めたということだけをもって、誤った理解のもとに下されたもので、実際には捜査開始からすでに2週間がたっているが、十分な立証ができなければ不起訴にすることが法律で義務づけられている。ブラッター会長は自分が一切の不正や犯罪行為に関わっていないことを示す証拠を示す機会が与えられることを望んでいる」として、今回の処分が不当なものだと主張しています。

会長代理「サッカーファンのために全力尽くす」

ブラッター会長の職務を代行することになったカメルーン出身のハヤトウ副会長はアフリカサッカー連盟の会長を務めていて、2002年のFIFA会長選挙ではブラッター会長に敗れました。ハヤトウ会長代理は8日、「私は会長の職を引き継ぐが、新しい会長は来年2月26日の臨時総会で選ばれ、私自身は立候補しない。それまで私はFIFA、その加盟団体や職員、協賛各社、そしてサッカーファンのために全力を尽くすことを誓う。FIFAは引き続き信頼回復に不可欠な組織改革を進めるとともに、当局の捜査に全面的に協力していく」というコメントを発表しました。

ブラッター会長 不正事件で辞任の声も再選果たす

FIFA=国際サッカー連盟のジョセフ・ブラッター会長はスイス出身の79歳です。ローザンヌ大学を卒業したあと、スイスの州観光局の広報やアイスホッケー連盟の事務局長、さらにスポーツ記者を経て1975年にFIFAに入りました。そして5か国語を使いこなす頭脳派として存在感を高め、1981年から17年間事務局長を務めたあと、当時のアベランジェ会長のあとを継いで、1998年に8代目の会長に就任しました。会長としてはアジアやアフリカなど競技環境が整っていなかった国や地域でのサッカーの振興に力を入れたほか、女子サッカーの普及にも取り組みました。ことし5月、FIFAを巡る不正事件が発覚し、辞任すべきだという声が高まったにもかかわらず、その直後に行われた会長選挙に5期目を目指して立候補し、改革を掲げたヨルダンのアリ王子を破って再選を果たしました。しかし、その4日後、「再選がすべての人に支持されているわけではない」として、次の会長が決まる来年2月で辞任することを表明しました。FIFAのホームページで、ブラッター会長はみずからの信条として「信頼性、透明性、そしてフェアプレー」を掲げています。

プラティニ副会長 次期会長の最有力候補

FIFA=国際サッカー連盟の副会長で、ヨーロッパサッカー連盟のプラティニ会長は、フランス出身の60歳です。現役時代は華麗なパスワークに高い得点能力も兼ね備えた世界的な名選手として、イタリア1部リーグ、ユベントスなどで活躍しました。フランス代表でもエースとしてワールドカップに、1978年から3大会連続で出場し、1986年のメキシコ大会ではチームを3位に導きました。現役引退後は指導者を経て、2002年からFIFAの理事などを務め、2007年にはヨーロッパサッカー連盟の会長に就任しました。そしてヨーロッパのナンバーワンクラブを決めるチャンピオンズリーグへの出場を、ドイツやスペインなどの強豪リーグだけでなく、多くのリーグに広く参加の機会を与えるなどして、ヨーロッパの各協会の支持を広げました。現在はFIFAの副会長も務め、ブラッター会長に対しては、批判的な立場を取って後任を決める来年2月の会長選挙へ立候補することを表明し、次の会長の最有力候補とみられていました。

プラティニ副会長「処分には適切な時期に異議唱える」

FIFAのプラティニ副会長は8日、会長を務めるUEFA=ヨーロッパサッカー連盟を通じて声明を発表し、「倫理委員会の処分には適切な時期に異議を唱える。私に対する申し立ては驚くほどあいまいで、私はそのすべてを却下する。FIFAの会長選挙への私の立候補をつぶすため、急いでなされた政治的な判断と思いたくない。これまで私のもとには多くのサッカー協会や連盟から支援の表明が寄せられていて、サッカー界に貢献しようという私の取り組みは止められない」とコメントしています。また、UEFAの理事会もプラティニ会長を全面的に支持するとともに、処分が確定するまでUEFAではプラティニ会長が職務を続けるという声明を出しました。

バルク事務局長 実質的なナンバーツー

FIFA=国際サッカー連盟のジェローム・バルク事務局長はフランス出身の55歳です。フランスのテレビ局でジャーナリストとしてスポーツを担当したあと、2003年にFIFAに入り、マーケティングとテレビ担当の部長を務めました。2006年にはスポンサーが絡む訴訟で、FIFAに多額の賠償金を課せられた責任を問われて、ブラッター会長から職を解かれましたが、翌年、ブラッター会長みずからの提案で事務局長に任命されました。その後は、主に財務と、ワールドカップをはじめとする大会の準備を担当してきたほか、FIFAの最高意思決定機関である理事会の決議事項を実行に移す責任者を務めてきました。バルク事務局長は記者会見など公の場では4か国語を流ちょうに使いながら、ブラッター会長に代わってFIFAの方針を説明するなど、実質的なナンバーツーとして、ブラッター会長を支えてきました。しかし、ことし7月に職務上の疑惑を理由にFIFAから事務局長の職務を停止されていました。

チョン・モンジュン元副会長 日韓大会で韓国側の組織委員長

チョン・モンジュン(鄭夢準)氏は、韓国出身の64歳。韓国の財閥、ヒョンデグループの創業者の六男です。1994年から2011年までFIFA=国際サッカー連盟の副会長を務め、日本と韓国が共催した2002年のワールドカップでは韓国側の組織委員長として大会の運営に当たりました。チョン・モンジュン元副会長は、ブラッター会長が辞任することを受け、来年2月に行われる次の会長選挙に立候補することを表明していました。その一方、FIFAの倫理委員会から、2018年と2022年のワールドカップの招致を巡り、不適切な行為があったとして調査を受けていました。
チョン・モンジュン元副会長は、8日、声明を出し、「FIFAは無責任で不道徳な実態をあらわにした。大きな失望を感じる」と批判しました。そして、「著しく平等性を失ったもので到底、納得できない」として、今回の処分は重すぎると主張したうえで、「すべての法的手段を取って、今回の決定が不当だということを明らかにする」としています。

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