上司の言うことは絶対
9月23日午前9時、フォルクスワーゲンの取締役会監督機関かつ最高意思決定機関である監査役会は、メディアの目を避けるために本社ではなく、ドイツ北部のブラウンシュヴァイク空港の会議室に集まっていた。
顔を突き合わせたのは、監査役会長のベルトルト・フーバー氏、大株主のニーダーザクセン州首相のシュテファン・ヴァイル氏、ポルシェ社の監査役会長であるヴォルフガング・ポルシェ氏などの主要メンバーである。
彼らはこの日、フォルクスワーゲン会長のマルティン・ヴィンターコルン氏を辞任させる考えだった。
ヴィンターコルン氏は、不正が公表された9月18日以来、辞任の意向を口にせず、トップの座に残ろうとしていた。
この日もヴィンターコルン氏は約1時間半にわたって、自分は不正について知らなかったと主張。社長を続投したいと、必死の抵抗を続けていた。
フーバー氏が口を開いた。
「残念ですが、誰かが責任を取らなくてはなりません」
ヴィンターコルン氏に自ら辞表を提出させようと仕向けた形だ。
黙っているヴィンターコルン氏に、フーバー氏は畳み掛けた。
「米国議会の公聴会で徹底的に尋問されるのですよ。あなたは10分も耐えられないでしょう。契約延長には同意しません」
フーバー氏に続いて、ヴァイル氏とポルシェ氏が同じ意見であることを明らかにしていくと、ヴィンターコルン氏は追い詰められていく。ポルシェ氏も口を開いた。
「カタールの大株主も、手紙であなたの契約の延長に同意しないことを伝えてきました」
カタールの政府系ファンドはフォルクスワーゲンの約17%の株を保有している。その大株主がヴィンターコルン氏を認めていないと、最後通牒を突きつけたのである。
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