2008年08月26日

【田中陽希選手】トランスジャパンアルプスレースを終えて

P8160200.JPG

 初出場となったこのレース、経験者の話を聞くだけでその過酷さが伝わってきた。正直なところ完走する自信はあったが、不安だらけだった。アドベンチャーレーサーとして、このレースへの挑戦は必須であった。完走したものにしかわからない感動。レース前、レース中、ゴール後に感じたものの変化は激しかった。

 レース前、精神的な緊張感はスタートが近づくにつれ高まっていった。それにともなって、高揚感が出てきて、この偉大な挑戦に参加できることが嬉しくなっていた。さまざまな感情が交錯する中で最後は興奮する気持ちを抑えてのスタートなった。

 レース中(序盤)は「絶対に完走する」などと気負わずに行くことだけに努めた。先は長い、焦ってもしょうがないと言い聞かせた。以前から、レースとなると先頭に立ちたくなる性分で、周りの人のペースに惑わされやすかったのだが、岩瀬さんから事前に送られた行動計画表の予想通過タイムはペース配分がわからない僕にとっては終始心強いものとなった。北アルプスで強く感じたことは、一般登山者との接触が多く、自分のことよりも他の人を気遣うことが多いと感じた。実際に上高地まで、疲れていてもどんなときも元気よく挨拶をして、道を譲ってもらったり、応援をしてもらったりした。登山者の中には無反応で快く思ってないだろうと感じる場面もあった。山にはいろんな方が来て、それぞれのペースで山を楽しんでいる、レースだからといってその人たちがみんなすぐに道をあけてくれたり、待ってくれたりするものではなく、登山者の方の好意であると思って走らなくてはいけないと強く感じた。

 このレースでは全行程の半分がロード区間であり、初めはロード区間のほうが高低差も激しくないし、整備された道路を歩くため、楽で安全であると思っていた。しかし、山から下りてくると、最初に感じたのは、山から無事に下りられた安心感と山を後にする寂しさやむなしさであった。それと、山よりもロード区間のほうに危険が多く、身の危険を何度も感じた。せまいトンネルを通過するときに猛スピードで通過する大型トラック、最後まで足にダメージを与え続けるアスファルト道などであった。

 今回のレースで一番楽であると考えていた中央アルプスで一番苦しめられるとは想像もつかなかった。夜間走行・濃霧・風雨・極度の睡魔そして一人。このレース中一番集中し、一番多く幻覚を見ることになった。笑う小さな子供たち、女性の笑う声、鈴の音、熊に見える大木、襲い掛かる影、あるはずのない山小屋などであった。

 この時ほど、孤独を強く感じたことはなく、菅の台に到着したときに生きていることを嬉しく思ったことはなかった。

 駒ヶ根は今レース中一番の楽園に感じた。2日ぶりに山北選手に会ったときは涙が出そうだった。

 長居しすぎたため、この後の市ノ瀬までのロードは地獄を味わった。

最後のアルプス南は100キロ、現状の体の状態を見ても無事に畑薙ダムに着けるかが不安になった。しかし、歩みを止めることは出来なかった。

 南アルプスは試走もしておらず、このレースではじめて足を踏み入れるところだった。なので、レース前から南アルプスは今回一番の不安があった。山小屋が極端に少なく、標識も少ない、もちろん登山者も少なく、水場も少ない、そして、何より雷が多いという不安要素がいっぱいであった。膝の痛みが激しく南は走ることは出来なかった。淡々としたペースで太平洋を目指した。

 不思議な力が背を押した。南は終始1人であった。孤独であったが同じように太平洋を目指す選手たちが頑張っている姿が目に浮かんだ。身体的には踏ん張りどころであり、きつい南アルプスであるはずだか一番楽に感じられた。

 残念だったのは、南アルプスの雄大な景色がほとんど、ガスのせいで見ることが出来なかったことだった。そんな中でも、一度だけ雲海の切れ間から遥か遠くに富士山が薄っすらと見えたときは、感動を覚えた。

 南アルプスはどこの山小屋でも暖かく向かいいれてくれた。山小屋の人たちの心温まる笑顔やサービスに感激させられた。

 何とか2日で名残惜しくも南アルプスを後にして7日目早朝畑薙ダムを出発し、ラストスパート80キロ先のゴールを目指した。

 途中2時間半のロスをしてしまったが、目標から11時間遅れの6日と22時間55分で太平洋にたどり着きこのレースの幕を閉じた。

最後は涙・涙の感動のゴールでした。ゴール後は気が抜けて体の痛みがいっぺんに噴出した。

 今回のレースは、初め参加者はこの過酷なコースにチャレンジする挑戦者であり、選手同士はライバルだと思っていました。しかし、ゴール後は全く違うものになっていました。

 このコースに広がる自然は巨大でその力は計り知れない、その自然を相手にする、挑戦するのではなく、この苛酷な自然環境の中を走れることに感謝し、胸を借りる気持ちで走らなくてはいけないのだと感じた。さまざまな経験をさせてくれるフィールドを自然が僕たちに挑戦させてくれる機会を与えてくれているのだと強く感じたレースとなっていた。

 参加者はライバルではなく、同じ挑戦をする同志であるとレース中幾度となく感じさせられた。

 また、2年後この挑戦に参加し、自分の飛躍につなげたいと決心した。

新たな自分が発見できたこと多くの感動をありがとうございました。

posted by TJAR at 10:38| Comment(0) | 田中陽希 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月16日

【田中陽希選手】ゴール!

田中陽希選手、6日間22時間55分でゴール!

「海が見えた瞬間、自然と涙が出てきちゃいました」と、感動のゴールシーン。

posted by TJAR at 23:13| Comment(5) | 田中陽希 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【田中陽希選手】玉機橋

6d 17h 50m  玉機橋(県道27号と29号の分岐)。

笠張峠で道に迷い、2時間半〜3時間のロスト。精神的にダメージがあったが、肉体的には問題ないようだ。
posted by TJAR at 18:06| Comment(0) | 田中陽希 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【田中陽希選手】畑薙ダム

5d 23h 40m 畑薙ダム
posted by TJAR at 08:08| Comment(0) | 田中陽希 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月14日

【田中陽希選手、山北道智選手】市ノ瀬種発

4d 03h 40m 市ノ瀬発

「ヤマキーと一緒に出発しました!これからが正念場です!昨日の鰻パワー全快で頑張ります」

posted by TJAR at 07:40| Comment(0) | 田中陽希 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月13日

【田中陽希選手】市ノ瀬

3d 18h 12m  市ノ瀬着
posted by TJAR at 18:20| Comment(0) | 田中陽希 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【田中陽希選手】昼食はすき家

200808131020000.jpg

3d 19h 28m  すき家でうな牛特盛!

飯島さんも一緒です!
posted by TJAR at 12:46| Comment(2) | 田中陽希 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【田中陽希選手】ランドリー

08.13.09.44.洗濯.jpg

駒ヶ根インター脇のコインランドリーで中アでギタギタに汚れたレースのとも達を南アに備えてリフレッシュ!
写真は着たばかりの僕の表情。
9時半に出発したが外はすっかり灼熱地獄、直ぐに臭くなるだろうな!
posted by TJAR at 09:57| Comment(0) | 田中陽希 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【田中陽希選手】経過報告(菅ノ台より)

夜中、中央アルプスにいたが、雨が降り、足場の悪いところが何箇所かあったため、足をかばって下っていたら、痛みが出始めた。

途中、飯島選手と一緒だった。おそらく今は、飯島選手と飴本選手が同じくらいなのではないか。
その後、間瀬選手が宝剣山荘あたりでビバークをしていたのを見た。

ともかく眠い!!!

posted by TJAR at 06:53| Comment(0) | 田中陽希 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【田中陽希選手】菅の台

20080813051000空木岳.jpg

3d 05h 01m  菅の台

「昨日から一睡もしていなかったので、倒れそうです。夜中、中央アルプスを一人だったので、かなりきつかったです。ず〜と雨が降っていてガスって視界凄く悪かったです。足の小指は爪ごとマメになりました」
posted by TJAR at 06:06| Comment(0) | 田中陽希 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月12日

【田中陽希選手】木曽駒高原スキー場にて一時停滞

200808121440000.jpg

「雷雨の予報が出たために木曽駒高原スキー場にて一時停滞です。
下界はこんなに天気がいいのに…焦る気持を押さえて休憩です。
臭かったユニフォームも水で洗って少し臭いも落ち着いた!?」
posted by TJAR at 15:07| Comment(0) | 田中陽希 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【田中陽希選手】木曽駒スキー場

2d 13h 00m  木曽駒スキー場

「境峠のあたりでスズメバチに刺されました。ポイズンリムーバーをもっていなかったため、口で毒を吸って吐いたんですが、今はしびれが少しあるけど大丈夫です」
posted by TJAR at 13:04| Comment(0) | 田中陽希 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【田中陽希選手】境峠

200808120534000.jpg

2d 05h 37m  境峠に向かう最中。「いつも以上に顔がむくんでます。予定よりも2時間遅れで境峠を目指しています」
posted by TJAR at 05:52| Comment(0) | 田中陽希 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月11日

【田中陽希選手】これから上高地を出発

200808111803000.jpg

「たらふくご飯を食べて、眠気におそわれましたが、気を引きしめて涼しい夜の内に中央に向かう事にしました!
後半の事を考えてオール徒歩です。
ロードの時こそ足の負担を軽くするためにストックを使うべきですね!」
posted by TJAR at 18:37| Comment(0) | 田中陽希 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【田中陽希選手】経過報告

0808101204000.jpg

田中(陽)選手の今までの経過報告

10日
馬場島 03:20
剱岳 08:01
立山 11:36
五色ヶ原 14:10
スゴノ乗越山荘 17:15

11日
スゴノ乗越山荘出発 23:50
薬師岳 01:34
太郎平小屋 02:34
黒部五郎小屋 06:52
双六山荘 09:21           
槍ヶ岳山荘 11:45
上高地 15:35
posted by TJAR at 17:58| Comment(0) | 田中陽希 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【田中陽希選手】上高地河童橋到着

1d 15h 35m  田中陽希選手が河童橋に到着。
「膝が痛いけど大丈夫です」
posted by TJAR at 15:51| Comment(0) | 田中陽希 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月10日

TJARスタート前

200808092356000.jpg

元気100倍の三人です!楽しんできます!
posted by TJAR at 00:19| Comment(0) | 田中陽希 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月07日

田中陽希選手の意気込み

IMGP4038.JPG

今回のレースの目標は6日と12時間以内です。
僕の人生において大きな財産となるでしょう。
五体満足でゴールできるかはわかりませんが、今持てる力でこのレースにうちかちます!
皆さん応援よろしくお願いします。
posted by TJAR at 13:52| Comment(2) | 田中陽希 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。