テレビでの間違えた報道
2015 / 10 / 11 ( Sun ) 10:00:00
先日、イベルメクチンが元々私たち獣医療では、昔から使われていると言うことは書かせていただきました。

10月9日の羽鳥慎一モーニングショー。
前のモーニングバードですが、そちらで、残念ながら間違えた情報が流されてしまいました。

イベルメクチンは海外だけでなく、日本でも多くが助けられている。

人の疥癬や、沖縄の糞線虫。
人だけでは無く、犬のフィラリアの予防薬として・・・。

VTRが流れました。
その中で、イベルメクチンは犬フィラリアの予防と治療薬として~~~と流れました。

ん、ちょっと引っかかりました。
治療と言えば治療だけれども、ちょっと違うなぁ~って。


VTRが終わって、長嶋一茂さんが、「このお薬を投与すれば、治療も出来るんですか!?」と、専門家?に聞くと、ちょっと戸惑いながら、「はい、治療も出来ます」と答えた。

私はテレビの前で、釘付け。

え!!!

そして、長島さんも疑問に思われたんでしょうね。
「このお薬を投与すれば、感染しても治すことが出来るんですね」

その詳しいという人。
「はい、治せます」

そんなニュアンスのやりとりでした。



これは間違えた情報です。

感染が重度の子に、イベルメクチンを投与すると死ぬ危険性があります。
だから、毎年フィラリアの薬の投与前には、血液検査が必要なのです。

感染しているケースの投与する場合は、他の薬を併用したり、獣医師の指導の下、慎重に投与されます。

また疥癬などの場合は、感染してもこれを投与することで駆除できて、治すことが出来ます。
しかし、フィラリアの場合は、感染して、成虫を即効性で殺す効果はありません。
また、感染して症状を出しているワンちゃんは、基本的に心臓病の治療が必要になります。
そして、ほとんどの症例で一生心臓病の治療をすることが多いです。
そこまでなると、治るというニュアンスとはほど遠いでしょう。

なので、テレビでのやりとりとは、かなり異なります。

「予防せずとも、感染したあとに帳尻あわせで薬を投与すれば間に合うのに、なんで動物病院の先生は、毎月薬を飲ませろなんて言うんだろう」
「獣医師が、間違っているじゃん!」
なんて事にもなりかねないないですよね。

人って、楽な楽な情報の方を選択する傾向にありますから・・・。
しなくて良いという先生方が神扱いされます。
しなきゃいけない情報が正しくても、一人間違えた人がしなくて良いというと、人ってそっちの意見に、ドドッと流れ込みます。

このように、飼い主様方へ伝わってしまったのであれば、この報道は、とても責任の重いものとなってしまいます。

動物のことを知らないのに、軽はずみなコメントはしないで欲しかった。

動物のことは、きちんと獣医師に聞いて下さい。
そして、テレビで間違えた情報を流さないで下さい。

テレビは訂正したとしても、特に朝の番組などは、すべてを見るわけでは無いですし、後日訂正されたとしてもその訂正が届かない可能性があります。
ですから、テレビはもう少し慎重に放送をして欲しいって、いつも思います。



今回の放送内容は、まちがっています!
正しい情報は、かかりつけの先生に必ず確認して下さいね!


涼しくなって、予防薬をそろそろ止めようかなって思っていませんか?
最後の投与忘れ、もしくは意図的な終了で、感染してしまった症例を、私はたくさん見てきています。
それは、毎年きちんとお薬投与前に血液検査をしているからです。
(検査の限界で摘発されないケースもあります)

フィラリアの予防を、きちんと最後まで続けましょうね。
イベルメクチンだけでなく、他にもいっぱいお薬はあります。
当院では、開発会社を応援(新薬開発のため)したい気持ちと、先発品の安心安全性で、特に命にかかわるようなお薬などは、出来るだけジェネリックは使わないようにしています。
イベルメクチンも、安心のジェネリックでは無いお薬を取り扱っています。


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