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【日曜経済講座】
TPPでの国益忘れた対米協調を憂う 空白30年の愚を繰り返すな! 田村秀男
元のSDR認定について、IMFは11月の理事会で決定する予定だ。ラガルドIMF専務理事はすでに「時間の問題」だと習国家主席に伝えているし、欧州主要国も支持している。オバマ政権は、元の変動小幅拡大、切り下げ抑制と金融の部分自由化を条件に認めかねない情勢だ。
米金融界は中国市場でのシェア拡大のチャンスが得られる。米国にとってはニューヨーク・ウォール街中心のグローバル金融市場に中国の元金融を取り込むことが国益であり、元そのものが脅威となる日本と利害が微妙に異なる。
プラザ合意後の30年間、国際金融は米国が要となり、日本が協調する構図になっている(グラフ参照)。先進5カ国によるドル高是正がプラザ合意の主眼だったが、欧州が離反してドル安に歯止めがかからなくなると、米国は日本だけを頼りにしてきた。
87年10月の史上最大の株価暴落「ブラックマンデー」後、日本は米国の圧力のもとに超金融緩和を続ける一方、対米証券投資に励んだ。国内では不動産と株式市場がバブルとなって膨張し、90年代初めに破裂した。