キチンと寝たらちゃんと出る/男性更年期障害
日刊スポーツ 10月10日(土)12時23分配信
<健康連載:男性更年期専門外来へようこそ!(6)>
性機能だけでなく、うつやメタボのリスクも高めることが分かってきた男性更年期障害。原因は男性ホルモン(テストステロン)の低下でした。潜在的な患者数は600万人、専門外来も誕生し始めた“男の病”に迫ります。
男性ホルモン(テストステロン)は朝方高く、徐々に減少して夕方から夜にかけて最も少なくなる。そして睡眠中に回復するという日内変動をしている。
睡眠中に、テストステロンの分泌を促す性腺刺激ホルモン(黄体形成ホルモン)が脳内でパルスのように出るためだ。ラットを使った実験では、4日間、寝かせないと、テストステロン値はほぼゼロになった。その後、ラットは寝ることができるようにしたが、テストステロン値は元に戻らなかったという。
「テストステロンの分泌を促すパルスが徹夜で起きていると出ないんです。睡眠時間が短いと、やはりパルスによる刺激が少なくなってしまうので、テストステロンの出る量が少なくなる。これは女性ホルモンでも一緒で、睡眠が取れないと、ほとんどのホルモン分泌は低下します。患者さんに『どうしたら男性ホルモンが上がりますか』と尋ねられますが、最初にお話しするのは睡眠時間をきちんと取ること、それも何時に寝て何時に起きるという規則正しい睡眠を取ることを心掛けて下さい、ということです」
メンズヘルスクリニック東京・男性更年期専門外来の辻村晃順天堂大浦安病院泌尿器科先任准教授は、睡眠の重要性を説明する。
問題は日本人の睡眠時間が短いことだ。NHKの国民生活時間調査では、7時間14分。40〜50代は6時間台と全世代で最も短い。経済協力開発機構(OECD)の国際比較調査では、日本は韓国に次いで短く、フランスより1時間も短かった。
男性更年期障害になると、うつの症状が出る人が少なからずいる。基本的にうつになると、眠れなくなる。辻村先任准教授は「テストステロン値が落ちて、うつになれば、睡眠が取れない。睡眠が取れなくなると、テストステロン値を落とす。落とすと、うつが進む」と、悪循環を指摘している。(取材協力・メンズヘルスクリニック東京)
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