イラク:ISの化学兵器使用を確認 兵士の血液検査で検知

毎日新聞 2015年10月11日 20時35分(最終更新 10月11日 21時04分)

 【カイロ秋山信一】イラクのクルド自治政府は7日、過激派組織「イスラム国」(IS)が8月に化学兵器のマスタードガスを使用したことが被害者の血液検査で確認されたと発表した。ロイター通信が報じた。ISは塩素ガスやマスタードガスの使用疑惑が再三報じられており、独自に化学兵器開発を進めている可能性がある。

 ロイターなどによると、ISは今年8月、イラク北部での戦闘で自治政府の治安部隊ペシュメルガを迫撃砲で攻撃。死者はいなかったが、ペシュメルガの兵士らは窒息や目の痛みを訴えた。兵士約35人の血液や傷痕を検査した結果、マスタードガスの特徴が検知されたという。

 ISは地上戦で優位に立つため、化学兵器開発を進めている可能性がある。一方、ISが活動するイラクやシリアでは過去に化学兵器が開発・保有された経緯があり、ISが既存の化学兵器を奪った可能性もある。ペシュメルガは米国など支援国に対して、化学兵器に対応できる防衛装備の提供を求めている。

 マスタードガスは皮膚のただれや呼吸困難を引き起こし、化学兵器禁止条約で武器としての使用や開発が禁止されている。

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