岡田匠
2015年10月11日20時27分
僧侶で作家の瀬戸内寂聴(じゃくちょう)さん(93)=京都市=が11日、名誉住職を務める岩手県二戸(にのへ)市の天台寺で約1年5カ月ぶりの「青空説法」をした。28年前に住職に就いてからの思い出や闘病生活を振り返り、社会問題を交えて教えを説いた。
境内を埋めた聴衆約2千人を前に、本堂前に法衣姿で登場。昨年5月以降、圧迫骨折やがんで約1年間療養した日々や、荒廃してほとんど参拝者がいなかった、かつての天台寺を振り返った。戦後の日本について「お金、お金、お金になり、恐ろしいこと」と指摘。「本当は目に見えないものが大切。神や仏、ご先祖様は目に見えない。もっと見えないのは人の心。しかし、生きていく上で一番大切。目に見えないものによって生かされていると考えて」と説いた。
6年半を費やして1998年に完成させた源氏物語の現代語訳にも触れ、「生涯で一番うれしいのは源氏物語を訳せたこと。なぜだか知らないが、天台寺へ来てから訳したくなり、その気持ちが抑えられなくなった。ここの庫裏でも書いた」と明かした。
「また来られるかわからない。今日が最後だと思って質問を」と聴衆に呼びかけた質疑応答では、安全保障法制の抗議デモを念頭に「若者が立ち上がったのは素晴らしい。若い人には『若さは恋と革命よ』と教えてます」。天台の教えを問われ、「自分の幸せを忘れ、他の人の幸せを祈りなさいということ。よその国で難民がいたら、どうしたらいいか。人の幸せを祈って下さい」と語りかけた。(岡田匠)
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朝日新聞社会部
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