日本の霜降り偏重にリスク=豪「WAGYUの父」が警鐘

時事通信 / 2015年10月10日 14時56分

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 【シドニー時事】アジアなどの高級レストランで、オーストラリア産「WAGYU(和牛)」が、本家・日本産和牛をしのぐ人気となっている。豪州で「WAGYUの父」の異名をとる酪農家デービッド・ブラックモア氏(64)が取材に応じ、日本の霜降り至上主義や飼育方法が海外販売で障害になる恐れがあると警鐘を鳴らした。

 同氏は1990年代、「門外不出」とされる和牛遺伝子を独自入手。黒毛和牛の血統を100%引き継ぐ牛の生産にも成功した。豪州が日本以外で世界最大の「和牛生産国」に躍進する立役者となった。

 「霜降りなど肉質では和牛にまだ及ばない」と本家に敬意を払う。一方で、健康志向が高まる中、和牛は脂肪分が多すぎ、敬遠されるリスクがあると指摘。WAGYUは霜降りと赤身のバランスが良いため、ステーキとしても食べやすいという。ブラックモア氏は「現地のニーズに合わせた肉質にする必要がある」と強調した。

 肉質が異なるのは、飼育方法が違うからだ。牧場で飼育する同氏は「(日本に多い、狭い場所での飼育は)工場みたいだと感じる人もいるかもしれない」と警告し、「われわれはもっと持続可能な方法で育てている」と自信を示した。

 日本の農家には「好機を逃している。和牛遺伝子を海外で売れば、強い需要がある」と訴えた。 

[時事通信社]

jiji

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