情勢を理解するのは未来を変えていくため 2016参院選 
なぜ2016年の参院選が厳しい選挙になるんだろう?
野党は安保法制に否定的な世論をバックにしてねじれ国会(参議院で過半数)をつくるんじゃなかったのか?
どうしてこんなふうになっちゃうんだ? 理由を考えたい。
野党4党(民主・共産・社民・生活)が選挙協力した場合
野党5党(民主・共産・社民・生活・維新)が選挙協力した場合
野党5党(民主・共産・社民・生活・維新)が選挙協力して、かつ比例票が2010年なみに伸びた場合
2016年参院選の議席数――選挙協力が実現しても野党はとても厳しい情勢
●改選勢力と非改選勢力
その理由の一つは改選勢力と非改選勢力にある。
改選勢力っていうのは次の選挙で入れ替わる議席。非改選勢力っていうのは、次の選挙では変らない議席だ。
参院って任期が6年だけど、半分づつ入れ替える(改選する)制度だから選挙は3年ごとにあるんだ。だから来年に選挙をするのは2010年に当選した議員になる。
2010年の選挙。あの時は、2009年の民主党の政権交代もあって、民主党はすごい勢いを持っていた。それでいっぱい議席を獲得した。それが2016年の参院選で改選になるんだ。
つまり、次の参院選で民主は多くの議席を失うリスクがある。それは、2009年に政権交代して、あれだけ民主が勝った結果でもあるんだ。
主要政党の改選勢力と非改選勢力
自民: 改選49 非改選65
公明: 改選09 非改選11
民主: 改選41 非改選17 ←民主だけ大部分が改選
共産: 改選03 非改選08
維新: 改選05 非改選06
●今の民主党支持率は2010参院選当時の3分の1
次に、支持率を前々回の選挙のときと今の支持率を比べてみる。
前々回参院選(2010年7月)当時の民主党支持率は30%くらいあった。
民主党支持率(2010年7月)
日経 38%
報ステ 32.8%
日テレ 32.7%
読売 31%
毎日 31%
NHK 29.7%
JNN 29.6%
共同 29.6%
産経 29.0%
朝日 28.5%
時事 18.0%
(RPJのサイトより。複数回の調査の、サンプル数を加味した平均値だと思います)
今はどうだろう?
10%しかない!!
意外にも、あの安保法制の審議を経ても支持率の平均はわずか1、2%(ポイント)しか上がっていない。平均10%程度しかないんだ。
このまま大きな変化をつくれなかったなら、民主は支持率が30%あったときに獲得した議席を支持率10%の状態で防衛しなきゃいけなくなってしまう。
しかも相手の自民党は支持率を倍増させて勝負に出てくるんだ。
●今の自民党支持率は2010参院選当時の2倍近く
自民党の支持率は2010年参院選当時はこんな感じだった。
自民党支持率(2010年7月)
日経 24%
報ステ 24.9%
日テレ 24.7%
読売 21%
毎日 14.3%
NHK 20.3%
JNN 17.5%
共同 24.4%
産経 17.5%
朝日 18%
時事 16.2%
(RPJのサイトより。複数回の調査の、サンプル数を加味した平均値だと思います)
平均20%くらいかな。それで今はこう。民主党と自民党のグラフは縦軸が同じじゃないから注意してね。
自民は平均35%を持っている。
まとめると、2010年から今までのあいだに支持率はこう変った。
民主: 30% → 10%
自民: 20% → 35%
いま自民党の支持率が落ちているように見えたところで、大事なのは2010年との比較なんだ。民主は当時の3分の1の支持率で議席を守らなきゃいけない。自民は2倍近い支持率で議席を奪いに来る。
●民主党が議席を守れないと自公が取ってしまう
「改選議席の多さ」と「2010年からの支持率の落差」――こんな情勢なんだから、選挙協力しなければ民主党が議席を失う事は確実だとわかってもらえたと思う。冒頭のグラフで、選挙協力した場合でも与党が議席を伸ばしているようになっているのは、そこまでやっても改選議席の多さと支持率の落差を補いきれてないからだ。
議席を失った場合はほとんど自民・公明が取ってしまう。
改選になる民主の議席を守りきれないと自公が増えてしまうんだ。
このことは民主党の人たちもよく知っているはずだ。
●改憲に必要な議席は守られると思うけれど……
与党が議席を伸ばす可能性が濃厚な事はわかった。じゃあ、憲法改正の発議ができる圧倒的多数(162議席)には達するだろうか? これは実は、野党が選挙協力できなかった場合でもけっこう難しい。改憲のハードルが高いことがわかるね。
野党が選挙協力をしない場合でも接戦を制しないと圧倒的多数に達しない
けれど、橋下新党が勢力を持てば野党の票が割れてしまうし、また橋下新党そのものが改憲勢力の一つなので危ないかもしれない。
参院選は2016年7月。11月にはアメリカ大統領選挙があり、それが終われば米軍が大きく動く時期に入る。政府はそれとともに自衛隊を動かそうとするはずなので、やはり次の参院選後の改憲を考えると思う。
それを防ぐために、いま民主党の動きがとても大事になってる。民主には小西さん、福山さんのような戦争法制に反対する勢力がいるけれど、一方で長島さんみたいな改憲勢力だっている。そして両者の中間派がいる。この中間派を、戦争法制に反対する側と実質的な賛成勢力のどっちがとるのか。
民主党の内部はそういう勢力の争いになってる。
民主党が割れるとしても、どういう比率で割れるのか。戦争法制に反対する側と賛成する側で、どっちが中間派を取るのかが大事になってくる。それは改憲勢力の大きさにも直接かかわってくる。
●橋下新党の影響は未知数
10月3~4日のJNN世論調査を見てみる。
橋下大阪市長の新党に期待する?
期待する33%(増減なし)
期待しない59%(3ポイント減)
答えない・わからない8%(3ポイント増)
これを、「<期待しない>の方が二倍もあるから橋下新党はダメだろう」と見るのはまずいかもしれない。これは賛否(世論が過半数をとっているか)で見るよりも勢力で見た方がいいと思う。他の野党の支持率がほとんど10%以下であることを考えると、<期待する>の33%はかなり大きな数字だといえそう。
それからJNNは選挙協力についても聞いてる。
野党による選挙協力の実現に期待する?
期待する37%
期待しない57%
答えない・わからない6%
※新規の質問のため前回との比較はなし
橋下新党への期待とあまり違わない数字だ。大阪W選挙(大阪府知事選、大阪市長選)に橋下さんが勝った場合、他の野党にとってあなどれない勢力になることもありえると思う。
●情勢を理解するのは未来を変えていくため
これは2014年衆院選や2013年参院選という、野党にかなり不利だった選挙の票をもとにした集計です。今はもうすこし野党の支持は多いし、与党は支持を失っています。とはいえ情勢が動きにくい選挙区はやはり勝ち目がなかったりするのですが、それでも比例票を伸ばすことはできます。
これからいろいろな情勢の変化があって、そのなかでいろいろなことがあります。
次の選挙が全てではないです。もちろん。安保法制に反対したデモが可決で終わらないように。次でひっくり返せなかったら次の次でひっくり返す。そのための勢力をいまから育てていく。選挙は次の足がかりだと言ってもいいとおもいます。
こんな試みも行われています。
2000万署名運動って凄いな。これが集まれば自民の比例得票数を超えてしまう。しかもそのまま参院選の支持者名簿になる。 pic.twitter.com/XmncxjNicc
— はる (@harunosippo) 2015, 10月 8できることをやっていきましょう。分析をするのは傍観者になるためではありません。情勢を理解するのは未来を変えていくためだと思います。
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