生徒会は、そもそも第二次世界大戦後、GHQにより、民主主義を確立するために設置されたもので、アメリカの生徒会議(student council)をモデルに、校長から一定の権限を認められ、立法、執行組織などを持ったものとされた。
1960年代後半から70年代後半のいわゆる学園紛争時、当時の文部省は高校生の政治活動にも厳しい規制を加えるようになり、その後は全般的に生徒会活動に積極的に参加する生徒が減少し、生徒会は形骸化してしまったが、海外においては、生徒会が非常に積極的に活動をしている。
若者参画先進国のスウェーデンやドイツには、各学校に最高意思決定機関として学校会議や学校協議会(School Board/School Conference)がある。
この会議には、校長や教員、保護者代表、地域代表、弁護士といった専門家と共に、生徒会の代表もメンバーして加わる。
その権限は、予算編成、日程調整、学校方針、雇用、学校環境などにおよび、学校規則・校内規則・教室の割振 ・授業時間や休憩時間の配列といった学校生活や授業の組織編制にわたる。また、通学路の安全・就学援助・校内事故防止の取組といった児童生徒の保護、学校パートナーシップ・林間学校の原則・遠足・企業見学や美術館見学といった学校行事にも携わる。
こうした国々では、さらに学校ごとの生徒会は、州レベルや国レベルに連合体を持つ。連邦制をとるドイツでは、州ごとに州生徒会連合の仕組みを持ち、各学校代表が州生徒会委員会等を構成する。
昨年ドイツ視察を行った際には、ブランデンブルグ州が州における地方選挙権年齢を16歳に引き下げ初めての選挙を行うにあたり、州生徒会が行政と連携し、16歳選挙権の浸透と若者の政治参加を促進させるために各政党青年部を招いたイベントやキャンペーンを実施していた。
また、生徒会を支援する生徒会支援協会(SV-Bildungswerk)という組織があり、リーダー育成の研修やコンサルティングなどを行う。
スウェーデンには、国レベルでも全国生徒会(SVEA)という組織があり、各学校生徒会のエンパワメントを行うとともに、国レベルでの生徒の影響力強化にも取り組んでいる。
こうした生徒会の連合体は、単に学校内での民主主義の仕組みに留まらず、国や地域といった様々なレベルでのまちづくりや政策形成にさえ関わっていく仕組みなのだ。
日本における行政と教育現場が連携した自治体の取り組みにおいても、大いに参考になるのではないだろうか。
自治体レベルでの参画の取り組みにおいては、質の問題とは別に、特定の層の特定の者だけが参加しているという問題もある。また、参加の仕組みが個人単位であるため、提案された内容もまた個人レベルの意見であることが多い。
世代の意見として提案していく仕組みを創るという側面や、合意形成をはかるプロセスを加えるということを考えれば、生徒会活動には、大きな可能性があるのではないだろうか。
興味のある首長、行政職員、学校関係者は、是非、声をかけて欲しい。
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