<マングローブ>なぜ行き詰まったのか? アニメ業界の課題浮き彫りに
まんたんウェブ 10月11日(日)10時0分配信
注目の劇場版アニメ「虐殺器官」を製作していたアニメ制作会社のマングローブが9月29日までに営業を停止し、自己破産の申請準備に入ったというニュースは、アニメ業界に大きな衝撃を与えた。アニメファンにまでよく名前の知られた会社であったことに加え、オリジナル作も生み出し、近年も定期的に作品を世に送り出していたからだ。現在までのところ、裁判所から破産手続開始決定は出ていないが、一体何が起きたのか。関係者へ取材を進めると、業界が抱える課題が次々と浮き彫りになった。
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◇関係者一様に「なぜ?」
マングローブは2002年設立。オリジナルアニメ「サムライチャンプルー」をはじめ、マンガ原作のアニメ「神のみぞ知るセカイ」「ギャングスタ」などを世に送り出したことで知られ、小林真一郎社長は「ガンダム」シリーズのサンライズで活躍した実績がある業界ではよく知られた会社。それだけに業界への衝撃は大きかった。民間の信用調査会社の帝国データバンクによると、負債総額は約3億5000万円以上という。
同社によると、マングローブの年収入高は2013年度の約10億円から2014年度には約4億6000万円と1年で半減したといい、破産申請準備の引き金は、同業他社との競争にさらされて、資金繰りに苦しんだことだとされている。だが、多くのアニメ業界の関係者は一様に「なぜ?」と首をかしげる。
◇アニメーターの確保に苦心か?
アニメ業界といえば、月収10万円のアニメーターの薄給が話題になるほど給料が低いうえ、正社員はなるべく抱えず、契約社員や外注に出すというのが一般的で、会社運営のコストは一般的に低い。マングローブは売り上げを落としたとはいえ、直近にはアニメも制作しており、その状況でどうして……となるわけだ。
ある有力アニメ制作会社の関係者は、アニメ業界の現状として「アニメーターの確保が大変。今は作品数が多すぎて、1人が複数の作品を掛け持ちしている状況だ」と明かした。つまりアニメーターの確保で苦労していたのではと推測している。業界のアニメーター不足を解消するべく、新たに人を増やそうとしても、特殊な技術が必要な上に待遇面の弱さもあるため、厳しいのが現実だ。
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