日本政府、南京事件の世界記憶遺産登録を強く非難
2015年10月10日11時44分 スポーツ報知
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に中国側が申請した南京事件に関する文書が登録されたことを受け、日本政府は10日、登録を強く非難し、記憶遺産事業の制度見直しを要求する川村泰久外務報道官の談話を発表した。中国側に対し、制度を「政治利用」しないよう働き掛けを強める方針だ。
川村氏は談話で「中立・公平であるべき国際機関として問題であり、極めて遺憾だ。政治利用されることがないよう、わが国は責任あるユネスコ加盟国として制度改革を求めていく」と表明。同時に「申請案件は中国の一方的な主張に基づき申請されたものであり、文書は完全性や真正性に問題があることは明らかだ」と説明した。
記憶遺産登録のための審査基準は、資料の保全や管理の必要性だけが検討対象で、歴史的に正しいかどうかは判断材料にはならない。日本政府はこうした基準を改めるよう要請するとみられる。
外務省幹部は「記憶遺産事業の手続きや透明性に問題がある。検討が必要だ」と指摘。中国を担当する外務省職員は「中国側には何度も話し合うよう要求してきたが、それにも応じず登録されたことは遺憾と言わざるを得ない」と不快感をあらわにした。(共同)