◇ツアーワールドC<第3日>
▽10日、茨城県小美玉市、石岡ゴルフ倶楽部(7071ヤード、パー71)▽曇り、気温21・5度、東1・5メートル▽賞金総額1億円、優勝2000万円▽63選手▽観衆2254人
9位から出た宮里優作(35)が9バーディー、1ダブルボギーの64とスコアを伸ばし、通算12アンダーで首位と2打差の2位に浮上した。序盤に2度も池に入れながら崩れず、鮮やかなバーディーラッシュで1年半ぶりの優勝へ猛追した。近藤共弘(38)が67で回り、通算14アンダーで単独首位を守った。
船出は快調だった。1、2番で連続バーディー。だが、3番パー4の1打目が池へ。3打目をピン右2メートルに寄せ、パーでしのぎ、安堵(あんど)したのもつかの間だった。続く4番パー3でも池にぶち込み、痛恨のダブルボギーをたたいた。「3番のナイスパーを生かせなかった」。宮里優は悔やんだが、不思議と焦りも動揺もなかった。
「アイアンがすごく良い。1打目をフェアウエーに置けば、バーディーチャンスにつけられる」
自慢のショットに対する揺るぎない信頼が、湧き上がりそうになる不安を押し殺してくれた。だから「リズムを崩さず、落ち着いてできた」。5、6番ですぐさまバーディーを奪い返した。8番は2・5メートル、9番は3メートル、10番では5メートルにピタリと寄せて、3連続バーディー。納得の表情には、膨らむ自信がにじんだ。
今大会の開催コースはJ・ニクラウスによる設計だった。戦略性に富み、「大好き。技術が上がるようなセッティング。それが面白い」。東北福祉大時代の2001年、日本アマを制した北海道クラシックGCもニクラウスによる設計だった。「帝王」によって闘争心がかき立てられ、一級品の技が引き出されていた。
今季は未勝利ながら、出場16試合のうち、12位以内が9試合と安定感は抜群。トータルドライビング(ドライビングディスタンスとフェアウエーキープ率を換算した数値)、9部門をポイント換算した順位でともに1位。優勝する材料は十分、そろっている。
今季2度目の最終日最終組。「優勝が懸かった場面で、自分の展開をつくれるかどうか」。優勝だけを見て、つかみ取る。目指すのは、その一点だけだ。 (松岡祐司)
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