福家司 久保智祥
2015年10月10日15時30分
京都府舞鶴市の舞鶴引揚(ひきあげ)記念館が所蔵するシベリア抑留・引き揚げ関連資料と、世界遺産・東寺(とうじ、京都市南区)が千年以上にわたって伝えてきた古文書群「東寺百合文書(ひゃくごうもんじょ)」(国宝)が、ユネスコの世界記憶遺産に登録されることになった。京都府からは、藤原道長の日記「御堂関白記(みどうかんぱくき)」(2013年)に続く2回連続の登録。関係者から喜びの声が上がった。
舞鶴引揚記念館では10日午前2時過ぎ、大型画面に記憶遺産登録を伝えるユネスコのホームページが映し出され、待機していた多々見(たたみ)良三市長や約100人の市民らがくす玉を割って、祝った。「資料を提供していただいた引き揚げ者やご家族によい結果を報告でき、感無量だ。登録はまさにスタート。平和の尊さや史実を伝え、世界に未来に発信する」と多々見市長は声を弾ませた。
舞鶴港は戦後、引き揚げ者の約1割の約66万人が上陸。市は1988年、記念館を開設、登録が決まった全資料を所蔵する。若い世代にも伝わるよう全面改修し、先月28日に新規オープンしたばかりだ。
記念館で語り部を務める舞鶴・引揚語りの会の山田昌道・副理事長(73)は「提供された資料一つひとつに詰まっている抑留・引き揚げ体験者の思いを少しでもくみ取って、一人でも多くの人に伝えたい」と決意を述べた。
舞鶴市は61年、シベリア抑留者が引き揚げ船に乗船したソ連・ナホトカ市と日ソ間で最初の姉妹都市になり、各種訪問団の相互派遣や文化・スポーツ事業などで交流を深めてきた。記憶遺産の申請にあたっては、市職員がナホトカ市を訪問して説明するなどし、一時は共同申請する案も出るほど理解があったという。
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