戒律の国・インドネシア 酒を楽しむ人増加

10月10日 6時30分

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世界で最も多くのイスラム教徒が暮らすインドネシアでは、イスラム教の戒律から多くの国民に飲酒の習慣がありませんでした。しかし経済成長に伴い、海外からの食文化が浸透するなか、お酒を気軽に楽しむ人が増え、日本の酒造メーカーが試飲会を開くなど新たな市場として注目を集めています。

人口２億５０００万のインドネシアは国民の９０％がイスラム教徒です。お酒の販売は法律では認められていますが、イスラム教の戒律でアルコールを口にすることは禁じられています。このため多くの国民には飲酒の習慣がありませんでした。
しかし、年間５％以上の高い経済成長に伴って次々と新しい飲食店がオープンし、日本や欧米の食文化が急速に浸透するなか、イスラム教徒でもお酒について柔軟な考え方を持つ人たちが増えています。首都ジャカルタの国際ＮＧＯで働くダニー・ヌルダディさんは、５年ほど前から女友達と一緒にバーなどに出かけるようになっています。恋愛や家族の話に花を咲かせ、お酒を飲みながらの交流は人間関係を一層近しいものにすると感じています。お酒を楽しむ人が増える現状に国内の保守的な人たちからは、大多数がイスラム教徒の国にふさわしくないと反発の声も出ていますが、ダニーさんは「信仰の深さは人それぞれ。お酒を飲むか飲まないかは、個人のライフスタイルの問題で、規制されるべきではないと思う」と話していました。
インドネシアでのアルコール需要の高まりを見て、日本の酒造メーカーも動き出しています。山梨県の７つの酒造メーカーは、ことし、ジャカルタで日本酒やワインの試飲会を開き、イスラム教徒も含め、およそ２００人が集まりました。年内にもインドネシアに向けて輸出を始める予定で、参加した酒蔵の代表は「インドネシアの方がこんなにも日本酒に興味があって来ていただけるとは思っていなかったので、大変うれしく思っています」と話し、新たな市場に期待を寄せています。