10月10日の「今日のダーリン」
・ぼくの憶えている、ある時期の若い人たちは、
よく「有名になりたい」と言ってました。
いまだと、「有名」になったことで得られることと、
そのせいで傷ついたり失われたりすることを比べて、
「有名にならないほうがいい」と思っている人が
多くなっているかもしれませんね。
「有名になりたいんですけど、どうしたらいいですか」
と質問されていたとき、ぼくは、
「すっごく一所懸命にラーメン屋をやればいい」
と言っていました。
思えば、とても親切な答えだったと思います。
もちろん、ラーメン屋が簡単じゃないのは知ってます。
ただ、本気でひとつのことにしぼって、
その業界の頂点に近いところにいくのには、
スポーツ選手になるとか、音楽をやるとかよりも、
ずっと可能性の高い挑戦になるでしょう。
そして、ほんとにおいしいラーメン屋になれたとしたら、
「そのラーメン屋には、有名な人がいくらでもくるよ」
という次のステップになります。
やがて、おいしいラーメンをつくるすごい人として、
メディアが少しずつ集まってきます。
そのうちには、ラーメン以外のことについても、
質問されたり、役割を求められるようにもなります。
「あのラーメン若大将は、こう思う」なんてね。
求められたところで、うまくふるまえたりすると、
ラーメンはただの「出身地」みたいになって、
「有名人」になっていくことになります。
そのうち、本人も錯覚しはじめます。
「みんなが、おれの意見を求めている」くらいのね。
じぶんが、他の人より優れているわけじゃないテーマに、
平気で口を出すようになります。
そこから先は、その人によって、いろいろでしょう。
いまは、「有名人」にならなくても、
同じようなことは、いくらでもできるので、
わざわざ遠回りする必要もない時代だと思います。
どちらも、「どこでやめておくか」が大事な気がします。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
ぼくの毎日の反省はたいがい「しゃべり過ぎ」であります。
|
|