「ペルー・リマを訪問中の麻生太郎財務相は8日(日本時間9日)、楼継偉中国財政相と会談し、中国国外で人民元建て取引を集中決済する銀行(人民元クリアリングバンク)を日本国内に設置するよう要請した。
日中間の貿易や投資、金融取引を促進するとともに、国際金融センターとして東京の地位向上を図るのが狙い。
麻生財務相は、中国が国別に指定する人民元適格外国機関投資家(RQFII)枠の開設も要請した。RQFII枠が認められれば、日本の機関投資家が中国本土以外で流通する人民元を使って、中国市場の元建て株式や債券に投資できるようになる。」(時事通信)
如何でしょうか?
貴方も、麻生氏の発言に失望した口ですか、それとも…
それにしても、難しい言葉が並んでいます。
一体、人民元クリアリングバンクとはなんぞや。そして、人民元適格外国機関投資家(RQFII)枠とは何ぞや。
それが分からないでは評価のしようがありません。
では、麻生氏の発言に失望しているネット上の住人たちは、発言の意味が分かっているのでしょうか?
どうもそうとは思えません。意味は分からないながらも、中国に頭を下げるのが怪しからん、或いは中国と仲良くするのが怪しからん、とただそれだけのようにしか思えません。
では、先ず人民元決済銀行とは何か?
ここで言っている人民元決済銀行とは、クロスボーダー、つまり中国の国外において活動する銀行であって、貿易の決済等を人民元建てで行う銀行を意味しているのです。
では、何故ドル建てではなく人民元建ての取引が増えるのか?
それは、もちろん外貨(ドル)を稼ぐことが中国の最大の目的であるとすれば、人民元建ての取引を増やす必要もないのですが、しかし、ドルには為替リスクが付きものである上に、また、ドルを他の通貨に交換するには手数料がかかるというデメリットもある一方、人民元を決済通貨として使用すれば、為替リスクはないし手数料もかからないからです。
それに、2008年のリーマンショック以降、どうも中国はドルに不安を感じているとも言われています。
さらに言えば、人民元を基軸通貨にするのが究極の目的だとすれば、人民元の国際化は避けては通れないのです。
我が国の企業の立場からしても、例えば、現地で人を雇ったり、資材を調達する際に人民元がどうしても必要であることを考慮すれば、輸出入に使用する通貨を人民元とすれば、これまた為替リスクが伴わず手数料もかからないのです。
まあ、そのような事情もあって近年人民元建ての取引が急拡大してきているので、日本に人民元決済銀行を設立してもらえば、日本企業にとっても便利である上、東京市場の国際金融センターとしての地位も高まるというメリットがあるのです。
要するに、麻生氏は、もっぱら日本の利益を考えて発言したと思われるのです。
それに、これまでどのような国に人民元決済銀行の設置がなされているかと言えば…香港、マカオ、台湾、シンガポール、韓国、マレーシア、オーストラリア、カタール、タイ、英国、ドイツ、フランス、ルクセンブルク、スイス、カナダ。
そんな状況を知れば、日本もうかうかしてはいられないと思うのは、ある意味分かるでしょ?
但し、米国にはまだ設置されていないようです。
当然ですよね。決済通貨として、ドルではなく人民元が使用される割合が高まれば、その分、ドルの基軸通貨としての地位が落ちてしまうからなのです。
では、次に、人民元適格外国機関投資家(RQFII)枠とは何か?
上海株についてご存知の方ならお分かりだと思うのですが、中国は外国人の証券投資については、例外としてというか、上限を限ってしか認めていません。
そして、そのようにして認められた外国人の投資家には、適格外国機関投資家QFII(Qualified Foreign Institutional Investors)と人民元適格外国機関投資家がありますが、この後者の投資の枠を認めて欲しいと麻生氏は言っているのです。
前者は、一旦ドルを人民元に交換して行う投資であるのに対し、後者は、直接人民元で行う投資であることに違いがあります。
では、麻生氏が何故そのような要望をするかと言えば、我が国の機関投資家にとってビジネスチャンスが増えるだけではなく、これまでは一旦円をドルに交換した後、さらに人民元に交換して投資を行っていたのが、円を人民元に交換すれば済むからということもあるのです。
最近では中国株の暴落が関心の的になっているので、今このような話が出てくるのは理解しずらい面があるかもしれませんが、麻生氏は長期的な視点から言っているのでしょう。
それに、日本を含め世界中に中国製品が溢れかえっている訳ですから。
中国側としても、人民元の国際化を進める上で日本の協力が欠かせないでしょうから、恐らく日本側の要望を受け入れるのではないでしょうか。つまり、日本は焦る必要はないということです。
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