IMF:「SDR構成通貨に人民元は要件満たすと確信」

毎日新聞 2015年10月10日 10時31分(最終更新 10月10日 11時02分)

 ◇中国人民銀行が声明を発表

 【リマ清水憲司】国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の構成通貨に中国の人民元を採用するかどうかをめぐり、中国人民銀行(中央銀行)は9日、「改革を実施することで運用上の要件を満たすと確信する。人民元が採用されると期待している」との声明を発表した。採用の是非はIMFが11月にも判断する予定で、採用されれば、米ドルやユーロ、日本円などに続き、主要国際通貨の仲間入りをすることになる。今年は5年に1度のSDR構成通貨の見直しの年にあたり、中国は人民元の国際化を進めるため、SDRへの採用を要請していた。

 IMF理事会は11月にも▽モノやサービスの輸出額が多い▽国際取引で広く使われ、外国為替市場でも広く取引されている−−の二つの条件を満たしているか判断する。輸出額基準は既に満たすものの、広く取引されているかどうかはIMFの判断待ちの状態。IMFは中国の金融市場が十分に整備されていないことを課題に挙げている。

 中国人民銀行の易綱副総裁は9日、リマで開催中のIMF総会向けに出した声明で「人民元は輸出額が多いのに、SDRに採用されていない唯一の通貨だ」と指摘。国外の中央銀行に国内の金融市場を開放して人民元を取引しやすくしたり、10月からは金利がスムーズに算出できるようにしたりすることも表明した。

 ◇SDR

 国際通貨基金(IMF)が外貨不足に陥った加盟国を支援するため1969年に創設した合成通貨単位。IMF加盟国は、国ごとに配分されたSDRと引き換えに為替市場への介入に必要な資金を他の加盟国から調達することができる。SDRは米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円の4通貨で構成されている。構成通貨は5年に1度見直され、今年は見直し時期に当たる。

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