初交年齢は15~16歳が5割超、女子は14歳以下が2割―岩手県

高校生調査から

 岩手県内の思春期支援を目的とした「いわて思春期研究会」のメンバーらは、同県内の高校生を対象にした調査で、セックス経験者に初めて経験した年齢(初交年齢)を訪ねたところ、15~16歳が半数以上に上ったと、8月29~30日に大津市で開かれた日本思春期学会の会合で報告した。さらに女子は、14歳以下で経験した人が2割だったという。経験のある生徒は家族との関係が希薄なこと、交際相手からの暴力「デートDV」を示唆する性行動があることも明らかになった。

全体の経験率は01年から半減

 今回の調査は、「岩手県高等学校教育研究会」がいわて思春期研究会と共同して2013年に実施したもの。岩手県内の全日制高校78校、生徒9,055人を対象にアンケート調査をし、96.8%の有効回答率を得た。結果は、2001年に行われた同様の調査(以下、前回調査)や2011年の「第7回青少年の性行動全国調査」(以下、全国調査)の結果と比較した(関連記事:男女交際を望まない高校生が増加、理由は「面倒くさい」)。

 キスの経験率は男子33.2%、女子38.8%。セックスの経験率は男子12.5%、女子15.1%で、いずれも全国調査とほぼ同じ割合だった。ただし、前回調査に比べてセックスの経験率は半減しており、岩手県の若者像が”草食系”に変化していることをうかがわせたという。

 一方、セックスを経験している生徒は、男女問わず半数近くが複数人とのセックスを経験しており、前回調査と同様だった。初交年齢は男女とも15~16歳が半数以上を占め、女子では2割が14歳以下で経験していた。

「初交で避妊」8割だが...

 初交の際に避妊した割合は男子82%、女子77%と、前回調査(男子65.8%、女子66.5%)より上昇していた。しかし、初交以降の避妊実施率は下がり、「いつもしている」は男子71.9%、女子60.5%だった。避妊実施率は全国調査(男子53.7%、女子53.2%)と比較すると高かったが、避妊方法としてちつ外射精を挙げた生徒が約5%認められた。

 報告した福島裕子氏(岩手県立大学看護学部教授)は「性交経験者の経験人数は前回調査と変わらず、低年齢化や活発化が続いている。避妊実施率は上昇しているものの、性交経験を重ねるに従い妊娠への危機感が低下している可能性もあり、正しい性知識の普及を続けることが重要」と強調した。

初交のきっかけに「デートDV」?

 男女とも性交経験のある生徒は、ない生徒に比べて「家族とあまり話をしない/ほとんど話をしない」割合が高かった。自尊心を評価したところ、女子では性交経験の有無で差がなかったが、男子では性交経験ありの生徒で自尊心が高い傾向にあった。

 「異性との関わりを面倒だと思わない」「男女交際を望んでいる」「セックスすることに関心がある」割合は男女とも性交経験ありの生徒で高く、高校生の交際で許される範囲は「セックスまで」とした割合も高かった。さらに、セックスに対する規範意識の5項目(愛情がない性交、売買春、恋人以外との性交、知り合ってすぐの相手との性交、妊娠をきっかけとした結婚)に関しても、男女とも性交経験ありの生徒で「構わない」とした割合が高かった。

 初交の理由は「愛していたから」「好きだったから」が大半を占めたが、「相手から強く要求されたから」と回答した女子が22.3%と、全国調査の約20倍だった。「強く要求された」と答えた女子では約3割が14歳以下で初交を経験しており、「デートDV」など暴力の存在を懸念させる結果だった。「正しい性知識の提供に加え、デートDV予防啓発教育を工夫する必要がある」と福島氏は述べた。

性的少数者は10%

 調査の有効回答者(8,769人)から無回答と性的多数者(心と体の性別が一致して異性愛の人)を差し引いたところ、性的少数者(セクシュアルマイノリティ)は890人(10.1%)だった。内訳はレズビアン(心の性別が女性の同性愛者)1.9%、ゲイ(心の性別が男性の同性愛者)1.2%、バイセクシュアル(両性愛者)5.1%、トランスジェンダー(心と体の性別が一致していない)2.9%、X(エックス)ジェンダー(心の性別がどちらでもない)3.2%だった。

 ゲイやバイセクシュアルの男子は、性的多数者の男子に比べて自尊心が低く、バイセクシュアルの女子は性的多数者やレズビアンの女子に比べて自尊心が低かった。またXジェンダーの生徒は、心の性別がはっきりしている生徒に比べて自尊心が低かったという。

 報告した佐藤卓氏(岩手県環境保健研究センター地球科学部首席専門研究員)は「岩手県の高校には、決して少なくない数の性的少数者が存在し、これらの多くが自己肯定しづらい状況にあることが分かった。教師、生徒が性的多様性を尊重できるよう、性的少数者に関する学習の機会を設けるなどの対応が必要である」と考察した。

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2015年10月9日 読売新聞)

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