異分野の研究評価、論文か著書か 京大准教授調査
人文社会科学や自然科学などの学術分野によって研究成果の評価手法や研究風土がどのように異なるのかを明らかにしようと、京都大学際融合教育研究推進センターの宮野公樹准教授が全国の研究者を対象にホームページ上でアンケートを展開している。それぞれの分野に合った業績評価や研究者間の相互理解に結び付ける狙いで、「人文社会系を軽視する風潮にも一石を投じたい」としている。
大学による研究者の業績評価には、論文の本数や他の研究者による論文の引用回数が用いられることが多い。一方、宮野准教授らが以前、京大の研究者に行った調査では、論文と著書のどちらを高く評価するかという質問に対し、自然科学系の84・6%が論文と答えたが、人文社会科学系は同等に評価するが44・2%と最も多く、著書が34・2%で続いた。
宮野准教授は「学問に一律の評価指標を当てはめるのはおかしい。各分野の価値観や研究手法の違いをもっと知る必要がある」と考え、全国の研究者を対象にした調査を着想。「学術分野の文化比較大調査」と銘打ったアンケート専用サイトをこのほど開設した。
アンケートでは、学術分野を情報学や哲学、機械工学など79種類に区分。回答者に当てはまる分野や学位のほか、「研究で重要なのは経験か推論か」「論文以外の成果を高く評価するか否か」「国の政策動向に敏感か否か」など100項目に答えてもらう。回答結果からうかがえる傾向を分析し、ホームページで発表している。
宮野准教授は「異なる学術分野の文化をお互いに知ってほしい。かけ離れた分野で意外な共通点が見つかり、融合研究に結び付く可能性もある」と期待する。
【 2015年10月05日 17時00分 】