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ツタヤ図書館は評判が悪い。
武雄市のツタヤ図書館は、さんざんな評判だ。
→ 武雄市図書館にTSUTAYAの在庫が押しつけられる?
→ 劇的! 武雄市図書館 ビフォー・アフター
これほど不評なのだから、武雄市は怒り狂って当然なのだが、逆に、業者を弁護している。
→ 不要本、市教委「安全対策で図書費削った」
このことから明らかに、武雄市は業者と癒着しているとわかる。実際、前市長はツタヤ(CCC)に天下りした。
→ 樋渡啓祐・前武雄市長、CCC子会社の社長に就任
武雄市に続いて、海老名市でもツタヤ図書館が開館した。
→ 海老名市でオープンした2館目のTSUTAYA図書館は何が違う?
→ 海老名市立図書館がオープン 画像120枚で館内を速報
その結果は? 問題続出で、おおいに不評だ。
→ 海老名「ツタヤ図書館」、蔵書にタイの風俗案内 貸し出し中止へ
→ 海老名市立図書館に行ってみた ……(★)
これ(★)を読むと、およそ最悪の図書館という感じだ。武雄市図書館より、もっとひどい感じ。何しろ、図書館としての機能がまともに果たせていないのだ。
ま、図書館とはまったく無縁の素人が、会社の利益増加を目当てに仕事をしている(させられている)だけだ、とわかる。
これほど評判が悪いので、小牧市の住民投票では、ツタヤ図書館の建設計画が否決された。(10月04日)
→ TSUTAYA図書館に「NO!」 愛知県小牧市の住民投票で反対多数
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さて。以上のようにツタヤ図書館は評判が悪いのだが、自治体では導入しようという動きが強い。なぜか?
それは、「図書館を民間委託しよう」という発想があるからだ。
「官営のままでは、平日の昼間しか開館できないが、民営化すれば、夜間や休日にも開館できるようになって、市民サービスが向上する。さらに、コストも低減する」
これは、PFI という名称で知られている発想だ。
→ 民間受託 - Wikipedia
→ PFI - Wikipedia
→ 民間資金等活用事業推進機構 | PFIとは
武雄市などのツタヤ図書館では、「スターバックの併設。ツタヤの書籍販売の併設」ということばかりが唱えられているが、図書館の民間委託の本来の目的は、上記のような「サービス向上とコスト削減」であるのだ。ここを見失わないようにしよう。
さて。それが目的であるならば、委託する業者は、ツタヤである必要はない。もっと多くの業者を公募で募ればいい。実際、そのような動きはあった。小牧市では、公募して、2社が応募した。(うち1社がツタヤ)
→ 愛知県小牧市の新図書館建設に関わる連携民間事業者に決定(ツタヤ)
2社のうち、ツタヤの方が選ばれたとのことだが、その理由は、どうも、「集客力に優れているので、地域活性化の点で上回っている」という評価だったらしい。
現在の図書館は建て替える必要がある一方、再開発が進まず活気がない中心市街地に「ツタヤ図書館」を建てれば人が集まり活性化する。そんな「1粒で2度おいしい」をもくろんだ計画だった。建設費は約 42億円。延べ床面積を約 2.6倍、最大収容冊数を2倍強に増やし、書店やカフェを併設。3年後の開設をめざしていた。
参考にしたのが、佐賀県武雄市が2013年に開設した全国初の「ツタヤ図書館」。CCCが指定管理者として運営している。初年度の訪問者は92万3千人と当初見込みのほぼ倍。市外からの訪問も多く、武雄市は食事や土産など年間の経済効果を約20億円とはじく。
( → 朝日新聞デジタル 2015年10月9日 )
ここでは、「図書館の民間委託」という枠を越えて、「地域活性化」という任務まで委託されている。そうなると、商売上手で客寄せの上手なツタヤがいい、ということになったのだろう。
だが、商売上手なツタヤは、地域活性化を目的としているのではなく、自社の利益を目的としている。そこで、一定の金を委託料として受け取ったあとは、「図書館サービスの最大化」を狙うかわりに、「図書館サービスの最小化(経費の最小化)」をめざした。かくて、書籍は隅に押しやられ、購入する書籍はクズ本だらけとなった。……ま、当然のことだが。(詐欺師というのは常にそういうものだ。口先ではうまいことを言って、実際に渡すものはクズだけだ。)
これが、武雄市や海老名市で起こったことだ。そして、それを理解できないまま、ツタヤの口先を信じて、「すばらしい地域活性化ができる」と信じたのが、小牧市の市長だ。いかにもだまされやすい。(政治家には向いていないね。)
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では、どうすればいいか? そこは、困ったときの Openブログ。正解が見つからない人のために、正解を示そう。
ツタヤは駄目だが、PFI(民間委託)そのものは悪くない。だから、PFI の成功例を見出せばいい。それは、ある。日本では、三重県の桑名市図書館がそうだ。これは 2004年に、PFI 事業として建設された。
→ 桑名市立中央図書館 - Wikipedia
→ 桑名市立図書館 | トップページ
これは、図書館の PFI ということだけを目的として事業がなされた。6グループが応募して、鹿島建設に決まった。
→ 新しい形の図書館−PFI−(三重県桑名市立中央図書館):文部科学省
→ 日本初の図書館PFI事業 / 三重県桑名市
結果はどうか?
サービスはかなり高い。
開館時間 午前9時〜午後9時
閉館日 毎週水曜日 年末年始
( → 桑名市立中央図書館 ガイド )
その一方で、コスト削減もなされた。市の財政負担軽減率は、22.0%だ。
→ 効果検証 コスト削減効果
利用者も大幅に増えている。
入館者数はオープン効果の影響が大きく、開業から44日間(平成16年10月1日〜11月20日現在)で12万4千人以上にのぼっており、1日あたりの平均入館者数は昨年度の887人から3,914人と大幅に増加、1日あたりの貸出冊数も3倍以上に増加している。また、今まで土日にしか利用できなかったサラリーマンなどの潜在的なサービス需要に対応することが可能となったことから、19時以降の利用率が全体の10%以上を占めるという状況になっている。
( → 民間ノウハウ導入によるサービス水準の向上 )
当館の現在までの入館者数は開館半年で約36万人、その後半年で約34万人と、以前に比して約3倍の入館者数を数えています。(開館1年後の時点で。)
( → 日本総研のアドバイザー )
上で示されているように、日本総研のアドバイザーが関与していたらしい。優秀な人に頼んだだけあって、ツタヤ図書館とは雲泥の差となったようだ。
結果的に、住民にも、とても好評だ。
→ レベル高いぞ、桑名市中央図書館(体験記)
以上のように、いいことずくめに思える。ゆえに、これが私の示す代案となる。
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こういう代案は、すでにある。ではなぜ、武雄市や海老名市や小牧市は、ツタヤ図書館という最悪の選択肢を選んだのか?
その理由を推察すれば、次のような点が考えられる。
・ 図書館自体よりも、付属のスタバやツタヤを重視した。
・ Tポイントカードでポイントが付くのを重視した。
・ 市長があとで天下りができるとの内約を得た。
ま、一言でいえば、「図書館の役目は図書館業務だ」ということを失念した、と言えるだろう。かわりに、「図書館の役目は、市長が票をいっぱい取ることだ」と思い込んだ。それで、図書館そのものよりも、スタバやツタヤやTポイントカードなどばかりに目を奪われた。
物事の本質を見失った結果だ、と言える。逆に言えば、「詐欺師の口先にだまされた」とも言える。
だから、結論を言えば、「詐欺師の口先にだまされるな」ということで済む。正解は、「図書館の PFI だ」ということは、とっくの昔からわかっている。文科相もそれを推進している。にもかかわらず、ツタヤのような詐欺師が、口先で言いくるめて、お馬鹿な市長をだまそうとしているわけだ。
「当社にお任せ戴ければ、これほど素晴らしくなりますよ」
と。で、それを信じて引っかかったのが、武雄市や海老名市や小牧市の市長であるわけだ。
これらはいずれも、市長が単独でこの方針に邁進した、という点が重要だ。住民の反発があっても、市長がものすごくこの方針を推進する。……私が思うに、これは、ツタヤからものすごい接待があったからだろう。そうとしか思えない。
ま、詐欺師がだますときは、接待をするのが通常だ。それに引っかかった市長が多い、ということなのだろう。
馬鹿なやつほどだまされる。「自分は利口だ」と自惚れながら。
【 関連項目 】
→ 武雄市長が痛い件
(自分はITに強い利口者だ、と自惚れている武雄市長の話。)
かつてこれほど市民の税金を使って市民に実害を与えた首長は日本の歴史上いただろうか。
照明が明るい、本棚の高さが適切、本棚の横に検索図がある。タリーズとスタバは引き分け。
指定管理者は、一定年月で変更できるだろうから、努力が必要です。