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予想以上に夜釣りでした定刻の午後6時半に電気が消され、オマールエビ釣りがスタート。もちろん夜釣りであることはわかっていたのだが、これが思っていたよりも本気の夜釣りなのである。
室内にあるほとんどのライトを消しての釣りなので、びっくりするくらい何も見えない。でもこの暗さがワクワク感を増幅させる。 そういえば私は夜釣りが大好きだったんだということを、久しぶりに暗闇の中で竿を出して思い出した。 デジカメの夜景モードで撮影。肉眼だとほぼ真っ暗です。
店長の選曲であろう B'z や yui などの J-POP が流れる中、暗闇で竿先の光だけを見つめるという、現実からかなり乖離した世界。
「指先で送るキミへのメッセージ」ではなく、「竿先が送る僕へのメッセージ」を静かに待つ。 これが貸し竿にセットされている標準の仕掛け。ハリはカエシのないものを使う。
ウキは使わずに、竿先に光るやつを付けて、それでアタリをとるのだ。
竿は手に持たないで、置いておくのがいいらしい。
こんな感じで竿先の光をじっと見つめる訳です。
自然界での釣りとは違って、思いっきり人工的な空間なのだが、真っ暗で景色が見えないので、明るかった時の釣り堀っぽさは感じない。
もはやこの時間のこの場所は、釣り堀を超えた何かであるとすら言えよう。 なんといきなり釣れてしまった!一通りの撮影を終えて、とりあえずエサでもチェックしてみようかと竿先を上げてみると、なんといきなり重いじゃないですか。
まさかと思いつつリールを巻くと、間違いなく重い。しかも魚が引っ張る感じではなく、なにか固い物体を持ち上げている感じ。そしてビンビンという重量級のエビキックが伝わってきた! うおー、まったく水中の様子が見えないけれど、これはオマールエビに間違いないだろう。今までに感じたことのない釣り味だ。 あとはこの獲物を水面まで引き上げて網ですくえばいいのだが、水槽が真っ暗なのでこれが一苦労。水面をライトで照らすのは禁止なので(エビが食わなくなると嫌う人もいるから)、うっすらと見える波紋だけを頼りに、その下へ網をすくい入れるのだが、これが外しまくって焦る。瞳孔よ、もっと開け! うっかりすると網の枠でエビを叩き落としそうになるという緊張感の中、4回目のチャレンジでどうにか竿に掛かった重みを網の中へと移すことに成功! よっしゃー!
オマールエビという生き物がどんな姿なのかよく知らなかったのだが、イメージ的に似ているイセエビと比べると、断然ザリガニの方が近いシルエットで驚く。
そしてザリガニっぽいのに、ばかでかい。これぞザリガニ界の大親分である。まったく現実感がなくて素晴らしい。 幼稚園児の頃に恐る恐る掴んだマッカチン(でかいアメリカザリガニ)の感覚を思い出す巨大なボディ。
輪ゴムで封印されたハサミを振り上げるオマールエビ。このポーズこそがまさにザリガニっぽい。
すごい、本当に釣れてしまったぞ、オマールエビが。
オマールエビ狙いの釣り堀なので釣れて当然なんだけれど、やっぱり暗闇からこんなのを釣り上げると、そりゃもう興奮してしまう訳ですよ。 ハサミが輪ゴムで固定されているので、挟まれる危険性の無さがちょっとつまらなくもあるのだが、やっぱり危ないんだろうな。 そしてまさかの連続ヒット!この日はどうも運気が良かったようで、次の一匹もすぐに釣れてしまった。今度は竿先が小さく上下に動いたのを確認し、ドキドキしながら竿先を上げてしっかりと掛けてやった。
やっぱりこういう流れの方が、たまたま釣れていたよりも、自分の腕で釣ったという感じがして気分がいい。早くもこれで放流分の割り当てを確保した訳だ。 ハリが口ではなく脇の下に刺さっていた。この釣りではハリがどこに掛かっていてもOKだそうです。
エサを底にたらして竿先にアタリが出たら合わせるだけのシンプルな釣りなのだが、それでもオモリを何センチ浮かせて待つか悩んだり、どのタイミングで合わせるか迷ったりと、やってみると奥が深い。アタリがあってもハリに掛からないことが結構あるんですよ。
屋根も壁もある室内なので、風もないし雨の心配もない。もし落ちても全身が濡れる程度で死ぬことは無い。釣りに集中できるのもいい。 すぐに釣れたからという要因が強いのだろうけど、すごく楽しいぞ、この遊び。 こちらはじっくりと待って、しっかりとハリまで食わせた一匹。
オマールエビ以外も釣れましたオマールエビがポンポン釣れたのはいいのだが、そうなるとさらに欲が出てくるもので、できれば魚系も釣ってみたくなるのが人情。
狙って釣れるものではないのだが、モゾモゾっとしたアタリに合わせると、エビとは明らかに違う躍動感が伝わってきた。さっきから対岸側でタイがやたらと釣れていたようなので、こっちもタイかなと思いつつ網ですくったのだが、これがなんとクロソイだったのだ。 なぜおまえがここに!
クロソイと言われてもピンとこないかもしれないが、岩礁帯とかに住む根魚であり、まさかここで釣れるとは思っていなかった魚だ。旅行先でたまたま幼なじみに遭遇した気分。
この意外な魚を釣り上げた時、一瞬自分が佐渡島の防波堤で夜釣りをしているような錯覚に陥った。いやいや、実はこの釣り堀が地下で本物の海につながっているのではと考え直し、この私もそんな子供っぽいことを思うんだと少し驚いた。 一応オーナーに確認したら、クロソイも少し放流されているらしい。夢を見させてくれてありがとう。 これこそマダイっぽい引きだなと思ったら、今度こそマダイだった。「エビでタイを釣る」ならぬ「エビとタイを釣る」を達成。
後半戦は隣に人形が置かれていて、見回りしているオーナーと間違えて、何度も話しかけそうになった。
そんなこんなで集中しっぱなしの3時間が終わり、オマールエビ4匹、マダイ1匹、クロソイ1匹という、素晴らしい戦績で無事終了。
はじめてのオマールエビ釣りにしては立派だが、たぶんビギナーズラックというやつだろう。エビギナーズ。 ちょっと釣りすぎたので、もし釣果ゼロの人がいたらおすそ分けしようかなとも思ったのだが、この日は1〜4匹と、ゼロの人が一人もいなかった。席替え制度によってチャンスは平等ということなのだろう。 あー、楽しかった。 同行いただいた友人と勝利のオマールピース。ところで後ろの子は誰だろう。
こちらのお二人はマダイが連発したそうです。
この日は運転中の眠気覚ましに飲んだコンビニのコーヒーの影響もあり、なんだか明け方まで寝つけなかった。
ちょっと興奮しすぎたようだ。
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