いまや「認知症大国」とまで言われるようになった日本。だが実は、遠い昔から、原因不明の「認知症多発」に苦しんでいる人々がいた。この村の謎を解けば、日本中の患者を救えるかもしれない。
急に物忘れがひどくなる
青々とした山並みのふもとには、古びた瓦屋根が点々と顔を出している。集落の真ん中を流れる小川沿いに、少し車を走らせると、ほどなく太平洋も見えてきた。東京から電車と車を乗りついで約6時間。一見、風光明媚な農村としか思えない近畿地方のこの場所には、こんな謂れがある。現地に住む70代男性が語る。
「私より上の世代の人たちは、『この辺りには、昔から風土病があるんや』と言っていました。毎年必ず村のどこかで患者が出て、誰かが亡くなる。それが普通のことでしたね。
手足が震えて動かんようになって、ご飯も自分で食べられなくなり、認知症のような症状が出る人も多い。思えば、私のおじもおそらくその病気で亡くなった。私が子供の頃、父が『おじさんが変なことを言うようになったから、病院に行く』と言って、町の病院へ連れて行きましたから」
高齢化が進むとともに、全国で増え続ける認知症患者。その数は、'12年の時点ですでに460万人を超え、'25年に700万人を突破するとみられる。
その一方で、認知症はまだまだ謎の多い病だ。今なお原因もメカニズムも分からない点が多く、抜本的な治療法は見つかっていない。まして、住む場所によってリスクが変わるなど、まずあり得ない—というのが、医学界の常識である。
だが、脳や神経の専門家たちの間では、この「常識」に真っ向から反する事例が、長年語り継がれ、人知れず研究されてきた。
日本には、認知症が「多発」する地域がある—。
前出の男性は、その地域の中でも、最も患者数が多い集落に生まれ育った人物だ。彼の家族や親戚からも、これまで何人も患者が出ているという。
「『何でなんや』とは思うけど、私たち素人にはどうしようもない。前兆もないんです。『もしかしたら、自分も(病気になるのではないか)』という気持ちはあります。患者が出るたびに、『次は自分かな』と」(前出の男性)
同地の住民には、今もこの病気に悩み、苦しんでいる人が少なくない。本誌は住民の思いを尊重し、また地域の特定を避けるよう、慎重に現地での取材を進めた。
この地域にみられる特殊な病気は、正しくは「紀伊ALS/PDC」と呼ばれる。「ALS」とは「筋萎縮性側索硬化症」、そして「PDC」とは「パーキンソン・認知症複合」の意味。つまり、紀伊半島の一部でしかみられない、ALSとパーキンソン病・認知症が合わさった、不可解な病気ということである。
「ミステリアス・ディジーズ(謎めいた病)」
専門家たちは、皆こう言って首をひねる。長年研究に携わる、三重大学大学院地域イノベーション学研究科・招聘教授の小久保康昌氏が言う。
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