小学6年生と中学3年生を対象に行われる全国学力調査。都道府県別の成績が下位になった自治体は、あの手この手でアップを目指す。そんな中、今年8月発表の集計で2年連続で小学校の成績が躍進したのが沖縄県だ。他の自治体からも注目される教育現場の取り組みは――。

■春休みの補習も提言

 9月上旬、沖縄県南部の小学校。県教委の指導主事ら6人が授業中の5年生の教室に現れた。教師の問いかけや板書、子どもの動きなどをチェック。その後、図書室で算数担当の主事が教師にこう助言した。「最後にひし形の問題を出す前に、二等辺三角形の問題をはさめば、なおよかった」

 県が約2年前から進める「学校支援訪問」の一幕だ。2007年度に始まった全国学力調査で、沖縄県は13年度まで小6と中3の全教科区分で最下位レベルが続いた。県教委は同年11月に学力向上推進室を発足。「16年度までに全国水準に」と目標を掲げ、目玉のひとつに訪問を据えた。

 主事らの助言は具体的だ。例えば、板書。教師には、板書計画ノートを作るよう求める。「めあて」から「まとめ」まで、1回の授業で黒板1枚分を完成させ、それが児童のノートの見開き2ページになるのが基本。推進室の宮國義人室長(51)は「書いちゃ消し、なんて板書は、もうありません」と語る。

 推進室は、放課後や給食時間の補習も提言。4月下旬の学力調査が近づく春休みにも補習し、直前には復習の徹底を促した。「運動会の練習は2週間以内に」「日記を毎日課すことは取りやめる」なども提案した。

 結果はめざましかった。昨年度、小学校の全4教科区分で最下位レベルを脱出。基礎的な知識を問う「算数A」は全国6位に躍進した。今年度は活用力を見る「国語B」も全国平均を上回った。宮國室長は「現場が全校体制で頑張った。子どもたちの夢や学習意欲も高まっている」と話している。