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【国際】

チュニジア対話 ノーベル平和賞 4団体民主化貢献

 【オスロ=小嶋麻友美】ノルウェーのノーベル賞委員会は九日、二〇一五年のノーベル平和賞を、チュニジアの民主化に取り組む民間四団体「国民対話カルテット」に授与すると発表した。一一年に同国で独裁政権が崩壊した後、カルテットが民主主義の構築に貢献したことが評価された。 

 カルテットは、チュニジアの労働組合と経団連、人権団体、法曹団体の四組織で構成される。

 チュニジアでは一〇〜一一年の「ジャスミン革命」の結果、二十三年続いたベンアリ政権が崩壊。中東の民主化運動「アラブの春」の先駆けとなった。

 その後もイスラム勢力と宗教色が薄い世俗派の対立が続いたが、一三年に結成されたカルテットは与野党間の仲介や政治家と市民の間の対話を進め、新たな政治プロセスを構築。チュニジアでは一四年一月の憲法制定に続き、十一月には大統領選が行われ、民主化の成功事例とされている。

 ノーベル賞委のフィーベ委員長は「チュニジアは基本的人権の尊重を求める活発な市民社会に支えられ、民主的な移行を遂げてきた」と評価。授賞で「中東や北アフリカをはじめとした各地で、世俗勢力とイスラム勢力が共に平和と民主主義に取り組むことが促進されるのを望む」と述べた。

 賞金は八百万スウェーデンクローナ(約一億一千六百万円)。授賞式は十二月十日、オスロで行われる。

<チュニジアの民主化> 2010年12月、チュニジア中部で男性が抗議の焼身自殺を図ったことをきっかけに反政府デモが広がり、11年1月、ベンアリ長期独裁政権が崩壊した。「ジャスミン革命」と呼ばれる。同年10月の制憲議会選を経て、イスラム政党アンナハダ主導の暫定内閣が誕生したが、野党政治家の暗殺事件などを受け、世俗派との対立が激化した。民主化プロセスは崩壊の危機に直面したものの、労働組合など4者による「国民対話カルテット」の仲介で各勢力は対話を継続、14年1月の新憲法制定にこぎ着けた。

 

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