福島第1原発:排気筒を本格調査…解体や補強など検討

毎日新聞 2015年10月09日 20時48分(最終更新 10月09日 20時51分)

 東京電力は、福島第1原発事故の際に原子炉格納容器の圧力を下げるベント(排気)で使用した排気筒について、本格的な点検作業に着手した。事故から4年半が経過して鉄骨部分が劣化し始めているが、根元付近の放射線量は非常に高く、調査が困難だった。東電は「倒壊の可能性はない」としているが、解体や補強など今後の対策を決めるため調べることにした。年内にも調査結果を公表する。

 排気筒は高さ約120メートルで、運転時は1、2号機で共用していた。根元付近の放射線量は、事故時のベントの影響で非常に高く、東電が2011年夏にガンマカメラで測定した際には毎時10シーベルト超を記録。13年に、車両の先端に線量計を付けて調べたところ、推定値で同25シーベルトを測定した。いずれも、被ばくすればほぼ全員が死亡するほどの高いレベルだ。

 調査では、カメラの目視点検のほか、根元の線量測定も再び実施し、線量の変化を調べる。排気筒の高さ66メートル地点では、支柱の鋼材の接合部で破断や変形が計8カ所確認されており、その経年変化も点検する。

 東電は、支柱の鋼材をコンピューター解析した結果を基に「東日本大震災と同じ程度の地震(震度6強)でも倒れない」と分析。当面は、使用済み核燃料プールからの燃料回収などの廃炉作業を優先する方針だが、「点検結果によっては、補強工事や解体作業が必要になるかもしれない」としている。【斎藤有香】

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