マルチ商法で百億円集金か 大阪のコンサル、出資者が刑事告訴
クレジットカードの決済端末機器のオーナーになれば、設置した飲食店からのレンタル料や月々の報酬が得られると持ちかけ、大阪市内のコンサルティング会社が法人から100億円前後を集金しながら、支払いを停止していることが分かった。オーナー側に約1万6千台と説明していた稼働端末数が、今年になって約2500台に急減したとするなど運営実態が不透明なことから、マルチ商法の疑いがあるとして出資者が詐欺罪で大阪府警に刑事告訴した。代金返還を求める民事訴訟も相次いでいる。
問題のコンサル会社は大阪市西区西本町の「サンク」(鳴瀧順史社長)。6月になって、レンタル料や報酬支払いの停止をオーナー側に一方的に通知。さらに「ネットワーク商法と間違われる組織の解体を行う」として契約内容の変更を求める文書を送りつけており、端末事業はすでに頓挫しているとみられる。
複数のオーナーや訴訟の原告側代理人によると、サンクは決済端末のオーナーになれる「取次店」の権利として100万円を徴収したうえ、端末1セット4台を100万円で販売。実際は端末の権利を売買するだけで、管理運用はサンク側に委託する仕組み。端末1台あたり月に2千円のレンタル料がオーナー側に支払われるほか、飲食店舗での決済金額に比例した報酬が受け取れると説明していた。
取次店になったオーナーが新たな顧客を勧誘し、契約を取り付ければ、サンク側から手数料が支払われることになっていた。契約は法人に限定されていたが、一般の消費者が勧誘されるがままに、ペーパー会社を設立しているケースが多数あった。
店舗設置台数については、平成26年末時点で「1万5980台」とオーナー向けの機関誌に記載していたが、今年4月末時点でいきなり「2495台」に激減。レンタル料や報酬の支払いも今春ごろから滞るようになったという。
サンク側が訴訟外で原告側に示した文書によると、26年12月時点で契約台数は約10万台(単純計算で約250億円)だったのに対し実際の設置台数は千台しかなかったという。大きなずれが生じた理由については「特定の上位幹部らが特別の手数料を受け取っていた」「端末機器の開発に失敗した」などと釈明している。
サンクに数千万円を支払ったオーナーは「設置台数を大幅に水増しし、5年で元金が回収できると虚偽の説明をした」として詐欺罪で大阪府警に告訴。大阪地裁では、損害賠償請求や代金返還の訴訟が複数係属している。
サンク側には文書で取材を申し込んだが回答はなく、電話に出た担当者は「取材には答えられない」とした。