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 欧州連合(EU)が中東やアフリカから来た難民を加盟国に振り分ける計画が9日に始まり、第1号のエリトリア出身の難民19人がイタリアからスウェーデンに向かった。EU各国が導入の賛否をめぐり激しく対立した難民計16万人の受け入れが、本格稼働する。

 対象となったのは男性14人、女性5人の若者。同日午前、ローマの空港から飛行機に乗り込み、定住先のスウェーデンに向けて出発した。現地に到着後、難民の認定手続きに入る。式典に参加したEUの閣僚にあたるアブラモプロス欧州委員(移民担当)は「欧州の名において、人々に希望を与えようと訴えたい」と歓迎した。

 EUはイタリアとギリシャの沿岸部に難民の登録をする専門家チームを派遣し、加盟国による振り分けの準備を進めてきた。一方で、各国世論には、難民の中に経済目的の不法移民が紛れ込んでいるとの反発も強く、8日にルクセンブルクで開かれた内相理事会では、不法移民の強制送還を強化することで合意。欧州対外国境管理協力機関に専門部署を設けるなど、身柄の拘束を含む厳しい姿勢で臨む方針を示した。(ブリュッセル=吉田美智子)