「憲法9条を保持している国民」今回もノーベル平和賞受賞ならず
神奈川県相模原市の市民団体がノーベル平和賞に推薦した「憲法9条を保持している日本国民」は昨年に続き候補との声が挙がったが、今年も受賞を逃した。取り組みを発案した座間市の主婦、鷹巣直美共同代表(38)らが相模原市で会見し「この活動でさらに9条を広めていくことができて本当にうれしく思います」と話した。活動は今後も続けていく。
鷹巣さんがこの活動を始めたのは、祖母から聞いた戦争体験がきっかけ。大学時代に留学したオーストリアで難民と出会い、戦争に巻き込まれる悲惨さを痛感。2013年にノルウェーのノーベル委員会に「憲法9条にノーベル平和賞を」と直訴メールを送ったところ「賞は個人や団体に贈られるもの」と返信が来たため「憲法9条を保持している日本国民」を受賞者として推薦。ネットでの署名運動を開始した。
地元で実行委員会を起ち上げ、大学教授など知識人からの推薦も得た。14年4月9日にはノーベル委員会から推薦を有効とする受理通知が届き、正式なノーベル平和賞候補に。さらに海外にも支援の声を広げるため、英語、韓国語、中国語でのネット署名も対応できる態勢を整えた。14年度は44万2443人を集めたが、受賞を逃した。
今年はフランス語、スペイン語のネット署名も呼び掛け始めて、署名100万人の目標を掲げた。2月1日には超党派国会議員61人に大学教授らを加えて84人が推薦人となった。署名は紙とネット合わせて69万3951人集めたが、今年も受賞はならなかった。
しかし、実行委員たちには落胆した様子はなかった。相模原市の元教員、石垣義昭共同代表(74)は「もう一歩かな、と思っていました」と振り返った。今後も活動を続ける意義について、鷹巣さんは「日本国憲法が機能すればどういう世の中になるのかという青写真を描いていくことだと思います」と話した。