記憶遺産登録、元抑留者も期待 京都・舞鶴引揚記念館資料
終戦直後に中国・内モンゴルから日本に引き揚げた人たちなどでつくる「張家口倶楽部(ちょうかこうくらぶ)」が8日、京都府舞鶴市平の舞鶴引揚記念館を見学した。記憶遺産候補の絵画の作者と抑留生活を送った元抑留者も訪れ、9日にも決まる記憶遺産登録に期待の声を寄せた。
倶楽部の名称は、終戦まで内モンゴルにあった自治政府の首都・張家口に由来。約4万人の在留邦人の多くは旧ソ連軍などの侵出から逃れ、博多港や佐世保港に引き揚げた。引き揚げ者や抑留者らでつくった「日本張家口の会」が高齢化で2012年に解散、倶楽部として再発足した。
この日は会員約90人のうち16人が記念館を訪れ、記憶遺産候補である元抑留者の安田清一さん(93)=東京都=のスケッチブックや手作りの絵筆などに見入った。
メンバーの長沼五郎さん(92)=神戸市=は、張家口から満州へ出征、終戦後に抑留された収容先で安田さんと一緒だった。抑留中に凍傷で右足親指、左手中指の一部を失い、体にわいたシラミに苦労したという。シラカバの木を削ってスプーンを作ったことや、収容所に貼り出される壁新聞を安田さんが手掛けていたエピソードを紹介、「ぜひ登録してもらい、安田さんに電話でおめでとうと伝えたい」と話した。
【 2015年10月09日 16時20分 】