松本市などの女性9人が憲法9条を解説する子ども向けのパンフレットを作り、市内の催しで無料で配っている。きっかけは、7月に市内で行われた安全保障関連法案に反対するデモ。同市の障害者支援施設職員、寺平美雪さん(47)が、見知らぬ男児に「9条って何?」と尋ねられて十分に答えられなかったことから、子どもが理解できるように―と形にした。
デモの際、「9条をよろしくね」と言いながら歩いていた寺平さんに質問したのは、小学生ぐらいの男児。「ひと言でなんと言ったらいいのか…。即答できなかった」。寺平さんはとっさに「おうちでお父さん、お母さんに聞いてね」と答えたという。
友人で松本市の八百屋で働く村井完江(やすえ)さん(63)がその経験を知ってパンフレット作りを思い付いた。「その男の子に渡すのは難しくても、同じように疑問に思う子はほかにもいると思った」と村井さん。友人ら計7人が加わり、「こどもに伝える9条パンフの会」を結成した。
批判に耐えられるよう事実関係をしっかり調べたといい、寺平さんは「私自身も憲法についての認識が深まった」と語る。
「戦争って、かんたんに言うと、殺し合いなんだ」「だから、戦争が終わると、日本人はつくづく戦争がいやになって、二度と戦争をしないと決めた新しい憲法の誕生をよろこんだ」「過去は今とつながっている。今も、世界では、戦争が絶えない。だから、きみたちにも、昔の戦争のこともきちんと勉強してほしいんだ」
子どもに話し掛けるようなパンフレット「憲法9条ってなあに?って聞いてきたキミへ」が完成したのは今月初め。寺平さんは「お父さんやお母さんにも読んでもらい、家族で話題にしてほしい」と話している。B6判、7ページで、300部印刷。文章の電子データを希望者に分けることを検討している。問い合わせは同会へメール(kodomo9jo@gmail.com)で。