阿蘇山噴火:マグマ水蒸気噴火か 収束の可能性

毎日新聞 2015年09月14日 21時48分(最終更新 09月14日 22時39分)

噴火のため火山灰に覆われた「阿蘇山ロープウェー」の火口西駅(手前左)や火口付近=熊本県阿蘇市で2015年9月14日午後0時6分、本社ヘリから津村豊和撮影
噴火のため火山灰に覆われた「阿蘇山ロープウェー」の火口西駅(手前左)や火口付近=熊本県阿蘇市で2015年9月14日午後0時6分、本社ヘリから津村豊和撮影

 14日に噴火し、噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げられた阿蘇山(熊本県)について、気象庁は同日、今後は活動が収束へ向かう可能性が高いとの見方を示した。一方、今回と同規模の噴火が起きる可能性はあるとして、「警戒は続けてほしい」と呼び掛けた。

 気象庁によると、噴火の直前に火山性地震の増加や、顕著な地殻変動などの前兆現象は観測されなかった。噴石の飛散や、約60キロ離れた福岡県筑後市内など広い範囲での降灰が確認された。火砕流については今後詳しく調べる。また今回の噴火は、マグマが地下水に接して水蒸気と一緒に噴き出す「マグマ水蒸気噴火」の可能性が高いという。

 阿蘇山の中岳第1火口は、火山活動が高まると火口湖「湯だまり」の温度が上昇して干上がり、火口底が露出した後に噴火を繰り返し、沈静化するという活動サイクルが見られる。今回の活動では、昨年7月以降、湯だまりが消失し、同8月に噴火警戒レベルを「2」に引き上げた。

 同11月に小規模なマグマ噴火が起き、今年6月以降は火山活動が鈍化していた一方、今月も小規模噴火を繰り返していた。気象庁が地下のマグマ供給量を試算した結果、今回よりも大きな噴火の発生は考えにくく、小泉岳司・火山対策官は「今回の噴火は活動サイクルの終盤のものとみられ、今後は徐々に活動が収まる可能性が高い」と説明している。【久野華代】

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