広島雑居ビル火災:女性ら3人死亡 1人重体、2人重軽傷

毎日新聞 2015年10月09日 10時16分(最終更新 10月09日 11時53分)

火災があった雑居ビルを調べる消防隊員ら=広島市中区で2015年10月9日午前8時41分、山田尚弘撮影
火災があった雑居ビルを調べる消防隊員ら=広島市中区で2015年10月9日午前8時41分、山田尚弘撮影

 広島市中区流川町の飲食店などが入る2階建ての雑居ビルが8日夜全焼した火災で、広島県警は9日、焼け跡から男女とみられる2人の遺体が見つかり、病院搬送された男性1人が死亡したと発表した。他に女性1人が意識不明の重体、男女2人が重軽傷。一方、同ビルに備え付けられていた火災報知機が自動では鳴らず、従業員が手動でボタンを押していたことが県警への取材で分かった。県警はビルの防火体制についても調べる。

 県警によると、死亡したのは男性会社員(36)=広島市西区。ビル1、2階に入居するメイドカフェ「黒猫メイド魔法カフェ」の客で、死因は急性一酸化炭素中毒だった。また、女性従業員(28)=同市東区=と男性客1人と連絡が取れなくなっているといい、遺体で見つかったのはこの2人の可能性があるとみて身元の確認を急いでいる。

 重体になっているのは女性従業員(21)=同市安佐南区。別の女性従業員(25)=同市佐伯区=が重傷、男性客(43)=山口県岩国市=もやけどを負っているという。

 広島市消防局や県警などによると、火事は8日午後9時45分ごろ発生。鉄骨2階建ての雑居ビル延べ約500平方メートルを全焼し、隣接するビルにも延焼。約8時間40分後の9日午前6時半に鎮火した。ビルには複数の飲食店が入居している。

 県警によると、火災発生時、メイドカフェの男性従業員が報知機のボタンを押したという。県警は同日午後から現場検証を行い、出火元などを調べる。

 広島市消防局は2011年11月、このビルに対して消防法に基づく立ち入り調査を実施。その際、消火器や自動火災報知機などの設備に問題はなかった。ただ、消防計画ではテナントの代表者名が違うなどの不備が見つかったほか、避難訓練をしていないことも判明したため、指導した。

 また消防法では、ビルの所有者や管理者らに対して年に1回、設備を実際に作動させ、その結果を消防署に報告するよう義務付けている。このビルからは、今年4月に「問題なし」との報告が出ていたという。【植田憲尚、高橋咲子、五十嵐朋子、大島英吾】

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