英国の大学はこの1週間で、ふたつの朗報を受け取った。まず、2015年のタイムズ・ハイヤー・エデュケーション世界大学ランキングで、英国の大学34校が上位200校に入り、昨年の29校から数を伸ばした。もう一つはシンクタンクの高等教育政策研究所(HEPI)は「これぞ我々がソフトパワーと呼ぶものだ」と題した調査研究だ。オーストラリアのマルコム・ターンブル首相やイランのハッサン・ロウハニ大統領をはじめ、英国で大学以上の高等教育を受けた55人の大統領、首相、君主を特定した。
外国人学生を引きつけることの意義は、世界中に英国に好意を抱く有力者を育てるということにとどまらない。外国人学生がいなければ、多くの英国の大学の課程は存続し得ないのだ。この国の成功にとって最も重要な科学、技術、工学の大学院課程がそれにあたる。
だが、他国もこうした外国人学生の獲得に必死になっている今、英国が失っているものも多い。外国人学生を引きつけているのは、米国、オーストラリア、カナダなど、伝統的な英語圏のライバル校だけではない。オランダとドイツの大学は今年、ランキングの順位を上げており、英語でコースを提供する大学も増えている。
■中国人学生は増加
一見すると、欧州域外から英国へ来る学生の減少は、それほど警戒するような数字には見えない。132人の大学長を代表する全英大学協会(UUK)の昨年の報告書によると、受講を始める学生の数は10年から12年にかけて1.7%減少した。
だが、これは外国人学生の市場が急成長している中での減少であり、減少の背後にはいくつか重大な変化がある。英国の大学に来る中国人学生は大幅に増加しており、07年が2万5645人だったのに対し、12年は5万6535人に上った。対照的に、10年は2万3985人だったインド人学生の数は12年に1万2280人に減少した。
なぜ、これが問題になるのか。英国のインド人学生のかなりの割合が大学院生だが、中国人学生は大学の学部生が多い。また、中国人学生の49%は商学・経営学を専攻している。インド人学生の数がほぼ半減したことに伴い、科学、技術、工学、数学を専攻する外国人学生が10%減り、大学院のトートコース(科目履修型コース)が特に大きな打撃を受けた。UUKは、大学院生の数の減少は、こうしたコースの運営を困難にしかねないと話している。
UUKによると、英国がインド人学生を失っている一方で、米国とオーストラリアの大学に入る学生数は増えている。
英国はなぜ、インド人学生を失っているのか。第1に、インド人は歓迎されないという認識のためだ。英国を訪れるインド人観光客に3000ポンド(約55万円)の保証金の支払いを求める政府の計画(後に放棄された)はこの認識を強くした。
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