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<児童虐待>福祉司の増員急務…解説

毎日新聞 10月8日(木)13時11分配信

 増加の一途をたどっている全国の児童相談所の児童虐待対応件数は約8万9000件(2014年度)に達した。厚生労働省が調査を始めた1990年度(1101件)の80倍だ。

 だが、対応の中核を担う児童福祉司の増員は追いついていない。児童虐待防止法が施行された00年度の対応件数は1万7725件。14年間で5倍になったのに対し、児童福祉司は00年度が1313人、14年度が2829人で、約2倍。1人の職員にかかる負担は重くなり、現場からは「パンク状態だ」との悲鳴も漏れている。

 虐待の全体像には質的な変化も出ている。13年に国の指針が見直され、きょうだいが虐待を受けた子どもも心理的虐待を受けたとみなすようになった。このため13年度に心理的虐待は2万8348件に達し、身体的虐待(2万4245件)を初めて上回った。

 一方、虐待被害が重症に至るケースも増えているとみられる。全国児童相談所長会の調査では、08年4〜6月に頭部の外傷など生命に危険が及んだ子どもは129人、重度の虐待で継続治療が必要な子どもが468人だったが、13年4、5月はそれぞれ114人、442人だった。1カ月平均にするといずれも増えている。多様化する虐待に対応するためにも、児相や自治体の対応力を強化する抜本的な対策に、国は責任を持って取り組むべきだ。【野倉恵】

最終更新:10月8日(木)15時3分

毎日新聞

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