今週は、モヤモヤ特集ということで、読者からメールでいただいたモヤモヤする相談を四日連続で紹介していきます。最終日の四日目は、寺の跡取り息子の嫁視点での介護です。普段知ることがない、寺の内情も語られていて面白いですよ!寺の話をまず読みたいという人は、目次の中の<寺談話>をチェックしてみてください。
相談内容
初めまして。こんなモヤモヤでもメールしていいものか悩んだのですが、思い切ってメールさせてもらいました。まゆみというものです。実は義妹のことでモヤモヤしています。
以下、モヤモヤの登場人物です。
登場人物
私・・・アラフォー。実家が寺。母は病死。父親は存命だがいわゆる「毒親」なので交流はほとんどない。兄もいるが私に理不尽に切れるので極力会わないようにしている。一応、僧侶資格を持っている。夫の仕事の都合で大阪府在住。再来年には義実家近くに引っ越し予定。未就学児の子ども二人。
一人目の子供を授かるまでは週末ごとに奈良県にある義実家にいき、ほぼ同居を経験。あらゆることで義家族の古い価値観やコロコロ変わる予定につきあわされ、体を壊し喧嘩。今は3か月に一度くらい日帰りで寺にいくが、「子供が邪魔だ、あんたが邪魔だ」と姑に言われ続け、いまだ寺行事、お盆に参加したことがない。
夫・・・アラフィフ。跡取り。穏やかで非常に頭がいいが、浮世離れしたところがある。結婚してから徐々に人間味を帯びてきた。「結婚したら兄貴がロボットから人間になった!親になって社会性がでてきた!」と妹に言われるほど。幼いころから勉強してばかりで家事はもちろん買い物もできない、友達と遊びに行ったこともない。今が人生で一番楽しい様子。ずっと親を崇拝してきたが、子供の成長とともに世間とかかわるようになり、自分の親に疑問を感じ始めた。
義理家族・・・奈良県の寺。姑は祖父母がぽっくり逝ったため介護経験なし。嫁というものは私が初めて。舅は入り婿で実家がない人だったため舅絡みの親戚付き合いがない。家族全員インテリで、親戚も裕福。
舅・・・80歳。温和だが、はっきりものを言わず、不利になると逃げる。私が女だてらに僧侶であることが気に食わない。家族が困っていても知らんぷりだが、娘(私にとっての義妹)とその子供のピンチのみ動く。会社を定年退職後、寺の雑務に専念をしている。
姑・・・79歳。やや発達障害の気あり。お金の管理ができない。家事も不得手で、よくわからない理屈で家族を翻弄。発言がコロコロかわる。就業経験がない。頭はよい。女はだめな人間という価値観。目耳足が悪いが内臓は丈夫で病気の人間に対して、思いやりなし。世間知らずな知識で家族を縛る。義妹を働かせたことがないのが自慢。嫁は息子の世話係と公言。嫁の予定を勝手に決める。暴言もひどいが耳が遠いため、私の反論も届かない。社会性がなく家にこもりたがる。社交的な女性に対して敵意あり。お洒落に興味がない。孫をかわいがるが、面倒はみない。テレビは見ず価値観は昭和のまま。衛生観念、ほかに甚大な問題あり。ここ数年、町内から一歩も出ておらず、世間の溝も深まる。
姑は、あまりの世間知らずすぎて嫁はお手上げです。私は親が毒親だから実家に帰省をすることがないのに、なぜか頻繁に帰省する嫁として攻撃されます。義妹は年に十回は帰省するのに、なぜか姑の中では年一度帰省になっています。
義妹・・・40代。大学卒業と同時に結婚。京都に在住。子供は二人。子供が小さいときは2か月おきに実家に帰省。義妹夫は有名企業で高収入。就業経験は大学時代の家庭教師のアルバイトのみ。義妹夫が仕事で寺まで迎えに来ないと、いつまでも実家に滞在する。嫁姑問題は他人事。親(私にとっての姑舅)に家を建ててもらったのでノーローン。お金は豪快に使う。義妹夫両親は淡白な人達のようで、あっさりした交流のみ。
基本的に姑舅、義妹、夫とも、一見、温和でいい人達に見えるのですが、他人に対して妙に冷たかったり、筋が通らないことを平気でしたり、私としてはモヤモヤします。
前置きが長くなりすみません。
モヤモヤポイントその1 義妹による介護の押し付け
上記内容を背景に、結婚以来、私はかなりハードな毎日を送ってきました。姑に関するエピソードだと、
- 「おでんに卵を入れます」と言ったら「おでんに卵をいれるなんて!卵なんて・・・聞いたことないわ。○○○○にもほどがある!!」と言われた。(義実家のおでんは練り物、じゃがいものみ)
※○○○○はとてもブログには掲載できないのでtopisyuが伏字にしています。 - 「シャンプーは化学物質が危険!すべてに石鹸よ」と言って私が買ってきたシャンプーを全て廃棄。ボディソープで頭を洗う姑。シャンプーはだめでもボディソープはいいのか。
- 「この世には安全な食べ物がない!化学物質が!汚染が!」と姑が叫ぶので、私が気を使ってナチュラル系高級スーパーに行けば、「得体のしれない怪しい店に行った!」と、近所の人が普通に農薬を使って作ったブロッコリーを買ってくる。
- 息子が乳児のころ、「哺乳瓶は常に水で濡らしておかねば危険!」と、私がせっかく滅菌して乾かしておいた哺乳瓶を、腐りかけのおかずが入った戸棚に入れ、定期的に霧吹きで水を吹きかける。産院の先生にも説得をお願いしたけれど、まったく聞き入れない。
この他、常識を疑うようなこと多数です。
姑の困った性格を夫家族は自覚しているものの、私がどんなに姑にいじめられても「悪気はない」「母は◎◎という考え、分かってわかってあげて」「あなたも母に何か言ったのでは??」という感じです。夫も基本的にそうです。
最近、舅姑が明確に衰えはじめ、介護の問題を家族が意識するようになりました。今度諸事情で義実家の寺近くに引っ越す予定ですが、介護だけは勘弁してほしいと思い、先日、寺に帰省していた義妹に不安を話してみました。
主に、
- 介護はしたくない
- 今まで姑にはたくさん嫌なことをされてきた
- それを知りながら私に親の行為を謝ることなく、常に姑の味方をし、私の立場に一度も立ってくれなかった義妹に対して不満を抱いている
- 姑にいびられる私の立場を少し考えくれれば、私も少々、介護できるかもしれない
- 義家族からいつも「あなたがおかしい」など言われ非常に孤独だった
- 姑たちと一定時間いると体調不良になるため、仮に介護するにも限界がある
- 私も父親の介護の可能性が出てきたので、義妹の協力がないと、とても困る
という話です。
すると、今まで私にやや冷たいこともあった義妹ですが、一応、謝ってくれました。でも!です。ここがモヤモヤポイントです。義妹は、
義妹「私も親のことは心配で・・・でも私も育児がひと段落したから働いてみたいし・・・(ごにょごにょ)。私が親を引き受けるのは・・・(ぼそぼそ)」
義妹「でも、あなたのお父さんの問題はあなたのことなので、私は何もできませんから・・・(ぼそぼそ)」
と言ってきたんです。
私は、義妹が姑の嫁いびりがあったということを聞いてくれただけでも嬉しく、この発言がおかしいなと感じつつ、その場では何も言えませんでした。
ただ、改めて考えてみると、この義妹の発言は、
あなたの親の介護はあなたがすべき。だって私に関係ないし。
でも私の親の介護は嫁であるあなたが主にやって。だって私、働いてみたいし(お金には困ってないけど)
ということですよね?
義妹は親に家をプレゼントされていますし、義妹にとっての義両親の介護も不要なようです。義妹の夫も、まさか現金で一括で家を買ってくれ、結婚式のお金も負担してくれた義妹の親の介護を一切しないとは、言えないのではないでしょうか。
それに姑舅は義妹の料理以外は信用できない(私の料理については「あんたの料理は奇妙だ!」)と言い張っていますし、私ではとても生活の面倒をすべては見きれないです。
私の予定を無視して、家政婦のごとく使うのに、「ここはあんたの家じゃない。娘の家だーーーー!!!」と絶叫した姑。できれば自分の子供たち同士を結婚させたかったという姑。「あんたの人生なんか・・・はっ」と笑い、私の母を「水商売女」と言った姑。入院した私に冷たく、病院の先生たちもドン引きしたほど……無理です。
モヤモヤポイントその2 世間の冷たさ
ここからモヤモヤポイント2です。上記の話を知人友人にしたところ、
「そりゃあ、嫁より娘がかわいいに決まっている。差別なんて、当たり前。それがわからない、あたながおかしい」
「自分がさみしいからって義理実家に嫉妬している。仲間外れにされて僻んでいるだけ」
という返事が大多数で、モヤモヤしました。
実際に嫁いびりされた、同居で苦労したおばあちゃんは違いましたけど、そういう、今となっては少数派の「苦労嫁」のみ、私の気持ちを汲んで解決策を考えてくれたような気がします。同居したことがない、または義家族がいい人達、いびられても実親に甘えられるから平気、という人は私がやはり「身の程知らず嫁」に見えるんでしょうか?
私の親は、毒親で母親もあんまりいい感じではなかったので、夫と結婚するとき「本当の家族ができる!」と嬉しくて期待していたのは確かです。でも私は嫁。姑舅にとっては他人。という意識は常に持っていました。
ただ、「いずれ介護も担わせる気であろう嫁になぜこんなに冷たいのか。邪険にするのか。介護されることは考えてないのか。義妹と同じようにとは言わないが、もう少し気を使ってほしい」と思う私は、世間から見れば、おかしいのでしょうか。
長くなりました。読んでくださってありがとうございます。この二点(義妹による私への介護の押し付け、世間の冷たさ)について斗比主様に切っていただきたく思います。お願いできますでしょうか? お願いしたいのは、背中を押す、ロジカルなアドバイスです。すでにママ友などから辛口言われてますので、さすがにこれ以上辛口なコメントは受け止めきれるかな、というところです。
まゆみ
topisyuによる回答
まゆみさん
こんにちは!メールありがとうございます。なぜモヤモヤするのかという点についてできるだけ丁寧にコメントしますね。
>モヤモヤポイントその1 義妹による介護の押し付け
まゆみさんがモヤモヤするのは、元々はこの義妹への要求水準がそれほど高くなかったからですよね。まゆみさんとしては話さえ聞いてくれて、労をねぎらってくれれば、まだ納得できた。それが、義妹が介護ができない理由をごにょごにょ言うからイライラする。しかも理由が合理的じゃない。
介護に関わらない親族が介護に関わる親族に対してする姿勢と言うのは、基本は平身低頭であるべきですからね。義妹がこのようなコメントをしたのは、恐らく、まゆみさんが話を聞いてくれるだけでいいと思っていたのを、義妹にも介護を押し付けられるんじゃないかと誤解していたからだと考えられます。
こういう時の良い方法としては、
「介護については、長男の嫁だし、近くに住んでいるから私がある程度やらないといけないのは分かっているんだよね」
とまずはこちらのスタンスを明確にし、相手を安心させ、
「でも、やっぱり折り合いが悪かった相手の介護となるとちょっと辛いところがあって。そういうことを義妹ちゃんにも分かっていて欲しいんだ。そっちも色々あるから簡単じゃないのは分かってるよ」
と相手を持ち上げつつ、こちらが何をして欲しいか伝えるというのがあります。
なお、個人的には家庭内の介護の話はやったやらないの感情論でおさめるのはあまり得策ではなく、(感謝の気持ちを表明してもらうにせよ)金銭面での保証がどれだけなされるかがポイントかと思います。
具体的には、介護に携わるまゆみさんには一定程度自由になるお金が与えられるようにすることです。そして、義妹からは介護に関わらない代わりに一定の金銭を支払わせること。結局、まゆみさんがどれだけ一所懸命介護しても、まゆみさんには相続を受ける権利はないですからね。この点については、まゆみさんの旦那さんにもちゃんとケアしてほしいところです。
>モヤモヤポイントその2 世間の冷たさ
こういうと申し訳ないんですが、残念なお友達を持たれましたね(笑) 普通、友達の愚痴は愚痴として、うんうん頷くものだと思います。お友達選びに問題があるか、愚痴を言い過ぎているのか、どちらかでしょう。
それはそれとして、
実際に嫁いびりされた、同居で苦労したおばあちゃんは違いましたけど、そういう、今となっては少数派の「苦労嫁」のみ、私の気持ちを汲んで解決策を考えてくれたような気がします。同居したことがない、または義家族がいい人達、いびられても実親に甘えられるから平気、という人は私がやはり「身の程知らず嫁」に見えるんでしょうか?
相手の環境に思いをはせられる人は少ないですからね。特に最近は、義実家両親を介護しないと決めている人もいますし、加えて、毒親率はそれほど高くないですし。
「いい収入の、資産もある、優しい人と結婚できたんだから、それぐらい我慢したら?」という風に、多少やっかみ的なところを言われるのは、(それがいいかは別として)あるんだろうなと思います。
義理の両親としてもまゆみさんが仰るように、嫁や外の親戚との付き合い経験の無さから、どうやって嫁を扱ったらいいか分からないんでしょうね。介護云々についてももしかしたらあまり想像ができていないかもしれません。
ちなみに、介護については誰かからまゆみさんがやるようにという話があったのでしょうか。ある程度お金がある人の場合は、家族ではなく、外部に任せる人もいます。
後は、もう少し気を遣ってほしい場合は思いっきり頼ったり甘えたりするのもアリですね。結局相手も人間なので、下手に出る人間には優しいところがありますから。こちらが「愛している、大好きだ」と表現して、相手の懐に入っちゃうというのは戦略としてあります。
以上です。
topisyu
相談者さんからの返信
斗比主様
姑の介護についてモヤっていたまゆみです。
義妹と再度の会話
返信ありがとうございました。あれから義妹ともう一度、話をしました。
義妹には自分たちきょうだいがどう介入すれば嫁いびりが緩和されるのか考えているようです。もし両親に何かあればかけつけるなど、具体的な内容も聞けました。そして「嫌なことをした相手のお世話をするのは辛いこと」にも理解を示し、私の気持ちを汲んでくれる発言もみられました。
とても不思議なのですが、義妹が気持ちを汲んでくれた途端、義父母をただの「物」として淡々と接することができるかもしれないなぁ、という気分になりました。
ありがたい・・・ただ義妹も姑と似て「気分屋」なところがあるので、話は耳半分で聞きました。
寺談話その① 檀家との付き合い方、寺ならではの作法
返信いただいた中に、お金を使って介護をするという話がありましたが、老人ホームに入れるということでしょうか。これは難しいと思います。施設に「入るまで」の義父母とのかかわり方が大きな問題なのです。
※ここからまゆみさんがヒートアップして寺談話が始まります。
なにしろ「寺」なのです。寺は地域によって運営の仕方、考え方が大きく違います。同じ宗派でも、檀家の気質にもよります。封建制な檀家が多いのか、開放的な檀家が多いのか。寄付をいただける檀家はどういうことに不愉快を示すのか。
寺の運営、檀家との付き合い方は、日々の生活の中でマスターしていくことが多いです。なにせ24時間運営で、300件檀家がいれば、一件一件違う檀家の法事の内容や習慣、寺との付き合い方など、300通りあるわけです。さらに檀家一件、一件の顔ぶれなども頭に叩き込みます。
行事もあり、「ボス寺」との付き合いもあります。近場の「上司」的な立場の寺の奥様を怒らせると、村八分になりますので、きっちり彼らの好みも把握する必要があります。こちらは、かなり緊張する仕事です。歌舞伎の家の、もっと優しい版=寺って気がします。
生まれた寺なら小さいときからわかっているので楽なんですが、別の寺となると姑から教わらないと、姑の死去=檀家の内容がわからなくなる(記録があるけれど細かいところはわからない)、わからなくなると檀家離れが加速し、最悪寄付がいただけなくなる=閉山でしょうか。
話がそれてしまいましたが、上のことがあるので義父母が入所するまでに上記のことをマスターし(本来なら私はすでにマスターしていなければならない)、同時に普通の生活も続け、義父母の世話もせねばならない。
『義父母が入所するまで知らんぷり、入所したら寺の仕事する』
なんてしたら、おそらく仏教界に私の居場所はなくなるでしょう。檀家からも総スカン。そもそも仕事がわからなくなります。
うちの寺は完全に「分担作業」で運営しているので、姑の仕事を家族はあんまりわかっていません。誰か一人が欠けると寺がだめになる仕組みです。私はみんなで仕事を共有しないとダメだろって思うんですが。姑はそもそも「記録」をしない人なので「家事」以外の寺の奥さん業務は姑の頭の中にのみです。かなりハードです。
『施設に入所するまで=中途半場に自由で不自由な肢体の老人の世話』がハードなのです。
その他
かつて義父母に甘えて懐に入る作戦もたてましたが、より一層、嫌われる結果となりました。「あんたは私たちの娘じゃないのに図々しいんだよ」って感じでしょうかね。
あとお金は自由になると思います。
夫、姑ともに頭がいいのに、なぜか金銭管理ができないので、私がすることになるでしょう。義妹は、むしろ使っていいよ〜って風です。相続はできないけれど、何らかの形で私に何かが回ってくる(遺産→夫→息子の学費→ゆとりある生活)と感じている私は甘いのでしょうか・・・。
最後に友人たちのきつい物言いについては、私に嫉妬しているなぁって気はします。愚痴を言いすぎて差っていた方も多数。ご指摘の通りです。これでも親にお金の面でかなりいろいろやられてきたのですが、そういうのがわからないように努力したのが裏目にでている感じです。貧乏にみえないようにしてきた、色々な努力が。
私からみれば親に愛情をもらえて、自分も親に持っている関係を築けている点で、どんだけうらやましいか、って思うんですがね。できるかぎりの努力はしていきましが私の「ゆがみ」は一生付き合っていく闇だと思っています。毒親本「ゆがみちゃん」は共感できすぎます。
ゆがみちゃん 毒家族からの脱出コミックエッセイ (メディアファクトリーのコミックエッセイ)
- 作者: 原 わた
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
- 発売日: 2015/07/17
- メディア: 単行本
※かなり歪んでいるゆがみちゃん。
感謝
今回いだたいた返信、私の心の励みになりました。
やはり人間はある程度誰かに認知してもらわないと、ゆがむ生き物なんだと思います。次回はもう少しゆるい短文で!!!!(長くて暗くて申し訳ない気持ちはあるのです)
モヤモヤ斬りのお願いをするかもしれません。その際は、よろしくお願いします。
まゆみ
topisyuによる返信へのコメント
まゆみさん
返信ありがとうございます。
とても不思議なのですが、義妹が気持ちを汲んでくれた途端、義父母をただの「物」として淡々と接することができるかもしれないなぁ、という気分になりました。
ご自身でも書かれていましたけれど、誰かが理解してくれるという気持ちが持てるだけで、意外とモチベーションというのは沸くものですよね。お金の話も関わりますが、もしかしたら、義妹が熱心ではないということで、この義実家の家を金子千恵さんがコントロールできる(誰かの介入がない)という、思い切った踏ん切りがついたのかもしれないなと思いました。
なお、
返信いただいた中に、お金を使って介護をするという話がありましたが、老人ホームに入れるということでしょうか。これは難しいと思います。施設に「入るまで」の義父母とのかかわり方が大きな問題なのです。
こちらについては、老人ホームには限定していませんでした。
ちなみに、介護については誰かから千恵さんがやるようにという話があったんでしょうか。ある程度お金がある人の場合は、家族ではなく、外部に任せる人もいるように思います。
ということで、有料の訪問介護も含まれます。
ただ、まゆみさんの状況ですと、姑が相当偏屈であり受け入れるかどうかというのもありますし、檀家さんとの関係もあるでしょうから、なかなか選択し辛いかもしれません。
話がそれてしまいましたが、上のことがあるので義父母が入所するまでに上記のことをマスターし(本来なら私はすでにマスターしていなければならない)、同時に普通の生活も続け、義父母の世話もせねばならない。
何というか、この一文から全てを覚悟された印象を受けました。さすが寺の娘さんですね。なかなかお目にかかれない、内部事情は非常に面白いです。
かつて義父母に甘えて懐に入る作戦もたてましたが、より一層、嫌われる結果となりました。「あんたは私たちの娘じゃないのに図々しいんだよ」って感じでしょうかね。
お疲れ様でした(笑)
あとお金は自由になると思います。
夫、姑ともに頭がいいのに、なぜか金銭管理ができないので、私がすることになるでしょう。義妹は、むしろ使っていいよ〜って風です。相続はできないけれど、何らかの形で私に何かが回ってくる(遺産→夫→息子の学費→ゆとりある生活)と感じている私は甘いのでしょうか・・・。
お金が自由になるのはいいですね!何らかの形では確かに結果的にお金は回ってくるとは思います。
とにかく、介護はストレスフルで、嫌いな人間であればなおのことですから、目に見える形でリターンがあるのは望ましいです。そうでないと心が折れることがあります。
これでも親にお金の面でかなりいろいろやられてきたのですが、そういうのがわからないように努力したのが裏目にでている感じです。貧乏にみえないようにしてきた、色々な努力が。
繰り返しですが、相手の環境に思いをはせられる人は少ないんですよね。旦那さんのように?理解をしてくれる人もいるでしょうから、自分を気に入ってくれる人とできるだけ接点を持つといいと思います。人間、合う合わないはありますからね。
次回はもう少しゆるい短文で!!!!(長くて暗くて申し訳ない気持ちはあるのです)
いえいえ、全く問題ありません。美味しくいただけました。
ちなみに、ブログへの掲載を許可頂きましたが、僧侶資格を持っている女性が、他家の寺に嫁入りするというのは、よくあることなんでしょうか?それで身バレするなんていうことはありませんか?
topisyu
相談者さんからの返信2
斗比主様
お忙しい中、返信ありがとうございました。
謝罪
あんなにまとまりのない文章を美味しくいただいてもらえて嬉しいです。確かに斗比主様は「老人ホーム」と限定されておりませんでした。私の思い込みでした。申し訳ない。
ただ、まゆみさんの状況ですと、姑が相当偏屈であり受け入れるかどうかというのもありますし、檀家さんとの関係もあるでしょうから、なかなか選択し辛いかもしれませんが。
姑の偏屈ぶりを理解していただけて嬉しいです。斗比主様がおっしゃるように他人の環境を思いやれる人は少ないです。自分もそうならないよう、人を思いやれるよう、努力したい。
寺談話その② 寺院同士の親戚関係の意味、法類、ボス寺の実態
僧侶資格を持っている女性が、他家の寺に嫁入りするというのは、よくあることなんでしょうか?
寺同士の結婚はよくあることです。
※ここからはまゆみさんによる寺談話(続き)です。
寺院同士が親戚関係になるとボス寺の仕事に繋がったり、色々、有利なのです。ちなみに嫁に僧侶資格があると、住職が突然亡くなっても寺を出ずに寺に住み続けられます。基本的に住職が亡くなると家族は寺を出なければなりません。
この場合は「法類」と呼ばれる寺院同士の仲間で助けあうことが前提ですが、寺を手伝うという名目で法類に寺を乗っ取られ一家離散、というケースもあるので、私などは全く法類を信用していません。
たいていの寺は明治期〜何らかの形で「住職不在で家が傾く」を経験しているので、男の子がいない場合は保険で「妻」「娘」どちらかに資格をとらせるようになってきていると感じています。私の現在いる寺はこのようなことを経験しておらず、あまりにのほほんとしています。
余談ですが、ボス寺の仕事というのは誰でもできるわけでなく(ボス寺は各々の寺の僧侶が兼務して運営しています)、
- お金と暇があり
- 寺院の格もそこそこあり(寺院には格付けがあり、格付けによってボス寺に支払う登録料が違います。当然、格上の寺ほど登録料が高くなります。ボス寺に寄付もしないと示しがつきません。○○宗と名乗るには、ボス寺に使用料を払うって感じですね、確か)
- 仏教系大学で学び、宗派内で親がそこそこコネがある
こういう人でないとなれません。
ボス寺としての仕事をいただけるというのは僧侶として勉強になりますし名誉なことです。ただ、やる気があるだけではダメで、上記を満たしていないといけません。
そこで「コネ」をつくる、寺院同士の結束を固めるために「寺同士の結婚」が多いのです。もし住職が急逝しても、長男が修行にいける年齢まで嫁の実家が手伝ってくれたりしますしね。
上記の条件がなくてもボス寺運営に関わる方法としては、
- 佛教系大学で学んだり、知り合いの寺の手伝いに行く、勉強会に参加するなどして頭角を示せる
- 頭のいい僧侶になること。男性であるともっと望ましい
でしょうかね。女性僧侶は実家の力が強くないと宗派の仕事には中々つけません。まだまだ男尊女卑な世界。それが僧侶の世界です。まあ、近年、寺院同士の結婚も少なくなりつつありますが。
ちなみに、私が結婚したころ周囲には3組ほど寺嫁がいましたが今は全員離婚してしまいました。寺同士の結婚でも離婚が多いです。世間知らずで独特な価値観の姑、嫁より親が大事な夫、が原因なことが多そうです。私はいま修行仲間から「最後の砦」として、僧侶としても寺嫁としても何もしてないのに褒められます。複雑な気持ちです。
私は実際に僧侶の仕事を始める前に結婚→リタイアしてしまったので、厳密にいうと違うところもあるかもしれないのが不安ですが、だいたい、メールした寺院事情で合っているかと思います。
斗比主様が興味をお持ちかと、熱をいれて寺院事情を書いてしまいました。しかし、ほかの宗派はまた違うところもあるかと思います。取り急ぎ連絡まで。いつも丁寧な対応、心から感謝です。
まゆみ
締め
以上、寺談話でした。
モヤモヤもいただきましたけど、それ自体は軽かったですよね。恐らく、介護が始まったらこんなもんじゃないモヤモヤが押し寄せてくると思うのですが、僧侶として、嫁として、夫実家の寺運営に本格的に乗り出すことを決めたまゆみさんであれば、何とでもなりそうな気がします。文章からでも分かりますが、まゆみさんは、かなり強い人ですよね。
ただ、外から見て、明らかに強そうに見える人というのは、弱音を吐いても、スルーされてしまうことがあって、そういう意味では損をすることがあります。相手が対抗意識を燃やしやすいというか。ここら辺、親が毒親である中で色々ご苦労があって今の性格等も出来上がったところなので、簡単にスタイルを変えるということはできないし、それを良しとはできないですよね。
ちなみに、最近、築地本願寺にある東京仏教学院(作中では関東仏教学院)を舞台にした、能條純一『月をさすゆび』を読んでいて、なぜ、跡取り息子がいる寺の娘が僧侶資格を取るのだろうと不思議に思っていたので、このメールは個人的には大変ヒットしました。
こちらで試し読みできます。⇒小学館:コミック 『月をさすゆび 1』
ということで、四日間に渡って、お送りしたモヤモヤ特集は以上となります。明日は読者向けにちょっとしたお知らせをいたします。電子書籍の出版です。
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何か、モヤモヤがありましたら、etsuko.topisyu@gmail.comまでお送りください。大抵何でも美味しくいただきます。