これは実際に起きた交通事故の現場写真である。
自転車に乗っていた男性は奇妙な事に軽トラックの運転手は衝突した際目の前に自転車がいたにもかかわらずブレーキを踏んでいなかった。
一体どういう事なのか?うわっ…!亡くなった男性の息子は…。
父の無念を晴らしたい。
ある男に事故の鑑定を依頼した。
常識破りの発想で原因を究明するプロの鑑定人。
それだけなんです。
事故の謎を解き明かす…。
その事故は白昼の住宅街で起きた。
上野さんは通っている整骨院から自宅へ帰る途中だった。
家へ帰るにはこの先の丁字路を右に曲がらなければならない。
ちょうど同じ頃1台の軽トラックが丁字路へ。
うわっ…!
(衝突音)事故直後に撮影された写真がこれだ。
自転車に乗っていた上野さんは頭を強く打ち3時間後に死亡した。
軽トラックはフロントガラスを破損したものの運転手にケガはなかった。
警察による実況見分の結果事故の状況はこう推測された。
直線道路を走行していた軽トラック。
ドライバーが気づきにくい斜め後ろから上野さんは道路に進入。
そのまま衝突。
およそ13メートル引きずられたあと路上に投げ出された。
非常に不可解な事故だった。
現場は当日は晴天で駐車車両など視界を遮るものもない。
なぜ事故は起きたのか?その後の調べで軽トラックの運転手はこう供述している。
自転車に乗っていた上野さんはなぜはねられたのか?うわっ…!上野さんの息子は父についてこう語る。
そうですね…。
父の慎重な性格から息子は事故の状況が全く理解出来なかったという。
ですからそういうその…。
先生実況見分調書届きました。
ああありがとう。
事故の真相を突き止めるため遺族は石橋に鑑定を依頼した。
石橋は担当弁護士から資料を全て取り寄せまず現場の状況を精査した。
警察の実況見分調書を分析するとある事に気がついた。
通常現場にブレーキ痕などが残っている場合…。
位置や長さなど実況見分調書にも細かく記されている。
しかしこの事故の実況見分調書を見ると…。
走行中の軽トラックは斜めに横断してきた自転車と衝突。
その時に軽トラックがブレーキを踏んだ痕跡がなかった。
これは何を意味するのか?運転手は衝突の前にブレーキを踏まなかった。
これはつまり衝突したあとになって初めてブレーキを踏んだという事だ。
確かに…。
石橋は助手の中川を伴って現場に向かった。
はい。
石橋は必ず事故が起きた時刻と同じ時刻に現場を見る。
道路状況は1日のうちでも刻一刻と変化するからだ。
中川くん。
はい。
石橋が取り出しだのは通行車両を計測した結果…。
さらに実況見分調書を元に事故の状況を確認する。
軽トラックの運転手は衝突前ブレーキを踏んでいなかった。
そして衝突後11メートル走ってからブレーキを踏んでいた。
石橋は実況見分調書に記されていたブレーキ痕に着目。
そこに大事な要素が隠されていたのだ。
要するにこのaとbの線がブレーキ痕である。
石橋が指摘したのはこれは別の事故で作成された実況見分調書。
ブレーキ痕は力強く太く描かれている。
ブレーキを強く踏んでいる証拠だ。
石橋は実況見分調書からブレーキの踏み方の強弱を読み取ったのだ。
実況見分調書から石橋はこう読み解いた。
軽トラックは自転車が車道に出てきたにもかかわらずブレーキを踏まずに自転車に衝突。
その後慌てる事なくゆっくりとブレーキを踏み停車した。
中川くん…。
はい。
交通量調査データとは1日に何台の車がその道路を利用したのか時間単位で詳細が記されている資料。
事故現場の道路のデータを調べたところさらに石橋は重要な事に気がついた。
はい。
事故を起こした軽トラックの写真。
運転手は時速40キロで走行したと供述している。
しかし他の事故で実際に時速40キロで衝突した車両と比較すると…。
同じ速度で衝突しているのにくもの巣状のひび割れに大きな違いがあったのだ。
石橋は衝突地点と停止位置の距離道路の勾配などから速度を割り出した。
その結果…。
えっ!そんなにゆっくり?どうして交通の少ない真っすぐな道で軽トラックは20キロという低速で走っていたんだろう?不思議ですね。
中川くん。
はい。
はい。
死体検案書とはどこにどういった傷があったかなど専門の医師が記入し作成した文書である。
(中川)先生。
(石橋)うん。
ん?
(石橋)う〜ん…。
う〜ん…。
これは何を意味しているのか?さらに石橋はそこから衝突した瞬間の状況が見えてきた。
自転車はドライバーが気づきにくい斜め後ろから車道に進行してきたのではなく真横から車道に進入し…。
車を避けようと慌てて体をひねったというのだ。
石橋は再び事故現場へ。
うーん…。
あっ!
(中川)なんでですか?居眠り運転ではない理由。
それはこの道路に隠されているという。
日本では雨水などが道路にたまらないよう安全を考えてかまぼこ状に作られているのだ。
なるほど。
互いに通い慣れた道でなぜ事故は起きたのか?現場付近で住民に聞き込みをする。
一方軽トラックの運転手について聞いてみると…。
亡くなった上野さんはとても元気で周囲にも気を使う人。
軽トラックの運転手も普段無謀な運転をする人物ではないという事が聞き込みでわかった。
《どういう事だ?》
(石橋)《見通しのよい道路》《ブレーキを踏まず衝突》《車内で一体何が起きていたんだ?》
(石橋)《運転手には真横から車道に入る自転車が見えなかった》《しかも時速20キロ程度》《ん?そんなスピードの遅い車をなぜ自転車は避けられなかったんだ?》でも…ですからちゃんと…。
無思考状態とは科学的にどのようなものなのか?脳科学者に聞いてみると…。
無思考状態でどのように衝突したのか?石橋が読み解いた事故の全貌がこれだ。
うわっ…!事故当日上野さんは現場付近を自転車で走っていた。
同じ頃軽トラックも現場へ近づいていた。
だが本人が供述していた時速40キロではなく20キロという低速だった。
一見前を向いて運転しているようだが実は運転手の視界には何も入っていなかったのだ。
軽トラックが速度を落としているのを見た上野さんは…。
そう間違って解釈してしまった。
うわっ…!石橋が読み解いた事故の全貌。
鑑定結果は弁護士に提出され裁判は行われた。
当初軽トラック側はこの事故の過失割合を軽トラック側が6自転車側が4だと主張していた。
しかし裁判の結果過失割合は軽トラック側が9自転車側が1という判決が下された。
上野さんは自転車を運転する際の注意義務を怠っていた面があったものの軽トラック側の過失の程度が著しいと判断されたのだ。
鑑定人石橋はある事故現場を訪れていた。
この日はここで亡くなった男性の命日。
幾多の交通事故を見てきた石橋。
その彼が決して忘れられない事故とは…。
午前3時過ぎ。
20歳の大学生奥田公平さん。
大学の学費の足しにするため新聞配達のアルバイトをしていた。
その時…。
(ブレーキ音)うわーっ!鑑定人石橋が実際に撮影した現場写真。
追突された公平さんは路上に頭を強く打ちつけた。
現場にはおびただしい量の血痕が。
凄惨さを物語るスポーツカーのブレーキ痕。
その長さは66メートル。
スポーツカーを運転していたのは34歳の男。
飲酒運転で現行犯逮捕された。
公平さんの両親は病院へ駆けつけた。
嫌…嫌っ!
(警察官)ああちょっと!突然の息子の死を母は受け入れる事が出来なかった。
今でもその時の光景が頭から離れない。
それはね本当出来なかったです。
小学3年生から高校3年生まで野球一筋に打ち込んできた公平さん。
友達思いのとても優しい性格だったという。
公平さんの部屋は今でも事故当時のまま。
この部屋から笑い声が聞こえてくる事はもう二度とない。
飲酒運転をした男に対する父の思いは…。
飲酒運転は殺人行為。
罰則が厳しくなった現在でも飲酒事故件数は年間4000件を超える。
忌まわしい遺族への取材そして事故を起こした当人の供述調書から信じがたい全容が明らかになった。
そういった事故でした。
…とはどういう事なのか?事故の前日大学が休みだった公平さんは自宅で過ごしていた。
お母さん。
はい。
ありがとう。
じゃあいってきます。
これが母が見た元気な公平さんの最後の姿。
500円しかやらなかった…。
公平さんは深夜の新聞配達に備え就寝。
彼を巻き込む運命の歯車が動き始めていた事など知る由もなかった。
(沢井)ありがとうございます。
その頃同じ町のある家でその日に会社を退職した沢井隆の送別会が行われていた。
っつうか今日…。
2006年8月25日福岡の海の中道大橋で社会を揺るがす飲酒事故が起きた。
転落した車に乗っていたその事故から数カ月しか経っていなかった。
「電車で来た」と言った沢井。
確かにこのアパートの最寄り駅までは電車で来ていた。
だが少し離れた大きな駅の近くに車を置いていたのだ。
しかも契約していない月極駐車場に無断駐車。
このあと沢井は悲惨な飲酒事故を起こす。
その事故の実際の供述調書がある。
供述調書によると沢井はこう述べている。
送別会はお開きとなった。
結局沢井は沢井は酒を飲んでいない仲間の車に乗せてもらった。
そして自分の車が置いてある駐車場の近くで降りた。
このあと意外な行動に出る。
なんと送別会のあと行きつけの店でまた飲み始めたのだ。
(ため息)どこ行ってきたの?ホステスは沢井の焼酎が少し減ればすぐにつぎ足していった。
(目覚まし時計のアラーム)公平さんは新聞配達のアルバイトに向かうため起床。
事故当日に着ていた服を両親は大事に保管している。
ようやく成人まで育て上げた息子を突然事故により奪われた無念。
息子と話したい事は山ほどあった。
結局沢井は午前3時まで酒を飲み続けた。
(ため息)
(操作音)飲食店で一緒にいたホステスに電話をかけた。
ホステスと食事の約束をした沢井は車で24時間営業の飲食店に向かった。
その頃公平さんは新聞配達店で配達の準備をしていた。
よろしくね。
はいわかりました。
はい。
よいしょ…。
一方沢井は飲食店の駐車場でホステスを待っていた。
(呼び出し音)
(操作音)
(ため息)しかし何度電話しても繋がらない。
(エンジン音)諦めて自宅に帰る事にした。
そしてこのあと悲惨な飲酒事故を起こしてしまう。
(呼び出し音)ホステスに何度電話をかけても繋がらない。
沢井はもしかしたら電話がかかってくるかもしれないと思い助手席に置いた携帯電話を気にしながら運転していた。
その時助手席に置いていた携帯電話が下に落ちた。
時速は110キロ。
その速度のまま携帯電話を拾おうとした。
(車の走行音)
(ブレーキ音)うわーっ!20歳の青年の命は奪われた。
これまで1000件以上の事故を鑑定してきた石橋が飲酒事故を徹底調査。
そしてある意外な結論を導き出す。
一体それは…?石橋は飲酒事故の調査からある事を導き出した。
飲酒運転。
さらに時速110キロというスピードの中携帯を拾おうとわき見。
そんな状況ならその先のカーブで加害者が命を落としていた可能性が高いと石橋は言う。
これがですねもう一番最初…。
10月に他界した20歳の息子。
母は秋に花を咲かせる十月桜を自宅の庭に毎年1本ずつ植えている。
このあと東京都小金井市に存在するミステリーな道路を石橋が分析。
直線道路を走行していた乗用車がなぜかその先にある丁字路の壁に激突した。
ポイントは広すぎる道路と雨の日の夜。
一体この道に何が隠されているのか?東京に存在する交通事故ミステリー。
住宅街にある全長およそ200メートルの直線道路。
突き当たりは丁字路になっている。
一見どこにでもありそうなこの道に危険が潜んでいると石橋は言う。
午後9時。
小雨が降る中乗用車が突き当たりの壁に激突。
運転していたドライバーが死亡する事故が起きた。
一本道の道路にどんな危険があるのか?この事故を実際に鑑定した石橋の見解は…。
この道路の幅を測ってみると4メートルあった。
一般的な市道の車線幅は2.75メートル。
比べるとその差は歴然だ。
一体なぜこの道路はここまで広いのか?東京都小金井市に存在する交通事故ミステリーを鑑定人石橋が分析。
直線道路を走行していた乗用車がなぜかその先にある丁字路の壁に激突した。
一体この道路に何が隠されているのか?当時の航空写真にその証拠が記されていた。
四角で囲ってある部分が旧日本陸軍の敷地。
丸で囲われた部分がこの道路だ。
その後区画整理され住宅街となったがこの道路は当時の幅のまま残されているのだ。
なぜ広い道路が危険なのか?石橋によると…。
幅が広い道路ではスピード感覚が狂ってしまうという。
しかし道路の幅が広いだけで丁字路に気づかないのだろうか?そこで事故当時と同じく夜間に雨が降っている状態で現地を走ってみた。
そこで我々が見たものとは!?雨が降っている状態で現地を走ってみると…。
確かにこの時点では正面が丁字路であるとはわかりづらい。
もしスピードを出していたら気づかずに突っ込んでしまう可能性もある。
二度と同じような事故が起きぬようさらなる対策が必要ではないか?数々の悲惨な事故と向き合ってきた石橋は警鐘を鳴らす。
と考えた方がいいと思います。
2015/10/03(土) 00:24〜01:24
ABCテレビ1
鑑定人イシバシ 交通事故ミステリー[字]
年間100件以上の事故を鑑定する交通事故鑑定人・石橋宏典が謎を解く!
日々発生する交通事故…なぜ事故は発生するのか?その原因は何か?石橋が事故の真相に迫る!
詳細情報
◇番組内容
▽【見えない自転車に隠された謎】
自転車と乗用車の衝突事故により、自転車に乗っていた78歳の男性が死亡した。事故原因は、横断歩道のない直線道路に自転車が突然飛び出してきた事だと結論づけられ、死亡した男性に大きな過失があるとされた。
しかし、警察が作成した実況見分調書に目を通した石橋は、その内容に違和感を覚えた。そこには、普通では考えられないブレーキ痕が…。果たして暴かれた死亡事故の真実とは?
◇番組内容2
▽【忘れられない飲酒事故の謎】
新聞配達をしていた原付バイクに、時速110キロのスピードで走行してきた乗用車が追突。原付バイクの運転手は死亡した。追突した乗用車の運転手は、飲酒運転をしていたのだ。
番組では、供述調書、関係者の証言等から事故までの2人の行動を再現。一体なぜ飲酒事故は起きてしまったのか?生々しい事故の謎が明らかに…
◇出演者
石橋宏典(交通事故鑑定人、民間科学鑑定機関「法科学鑑定研究所」所属)
◇おしらせ
☆番組HP
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ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
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