8週刊 ニュース深読み「介護施設で何が… どう守る“老後の安心”」 2015.10.03


急速に発達した低気圧できのう、各地で大荒れに。
こちらの家では、強風により、屋根の一部が剥がれ落ちています。
北海道では1人が死亡、16人がけが。
きょう夕方にかけ、暴風などに警戒が必要です。
きのうは首都圏でも、激しい雨と風に。
工事のための足場が、道路に向かって倒れています。
各地で被害が出た低気圧。
元をたどれば。
沖縄県の先島諸島を暴風域に巻き込んだ台風21号でした。
与那国島では、80メートルを超える最大瞬間風速を観測。
多くの建物などに被害が出ました。
おはようございます。
きょうも今週1週間のニュースを掘り下げます。
風速80メートルを超える風って、過去にありましたか?
ちょっとこちらを見てください。
これまでの最大瞬間風速の記録をまとめたものなんですが。
あったんですね。
沖縄の宮古島で85.3メートル、そして高知の室戸岬で84.5メートル以上。
これに次いで、今回、沖縄の与那国島で81.1メートルという記録になりました。
まだぴんと来ないと思うんで、ちょっとこちらを見てください。
これは、風の威力を示す実験なんですが、秒速およそ50メートルでサンダルを飛ばすと、このように、窓ガラスを突き破りました。
50メートルでこのすごさ。
今回の80メートルを超える最大瞬間風速は、この実験での設定を上回るのです。
現地で何が起きていたのか、取材してきました。
こちらの建物ですね、与那国島の観測所、屋上に、プロペラの付いた風向風速計があるんですが、あれが今回、最大瞬間風速81.1メートルを観測したということです。
島の住宅の半分以上に上る300棟余りが被害を受けたという与那国島。
私たちが入ったのは、今週木曜日です。
まず向かった地区では、あちらこちらで台風の爪痕が。
ここはひどいですね。
これ、電柱ですが、根元、鉄骨が見えるほど折れてしまっています。
その左側、建物がありますが、これ、木の骨組みを残して、そのほかのもの、すべて下に落ちています。
屋根瓦、そしてトタン屋根、もうめちゃくちゃに壊れています。
そこのおうちですか?そうですね。
近所の方に伺うと、建物に人は住んでいなかったということです。
屋上に上がらせてもらうと。
ほかの建物も屋根瓦が壊れたり、屋根そのものがなくなったりしている家が何軒もありました。
これほどの被害をもたらした風とは、どんなものか。
当時、自宅にいた佐々木正宏さんは、これまでの台風ではなかったような経験をしました。
佐々木さんは、風が強まる様子を時間の経過とともに記録していました。
これが午後2時前の様子です。
雨、風ともにかなり強くなっていますが、遠くの山がまだうっすらと見えてますよね。
はい、見えてます。
それが?
およそ30分後なんですが。
見えなくなりましたね。
遠くの山は見えなくなって。
さらにその1時間後には、視界がほとんどなくなります。
ずっとこの強い風が吹き続けてたんですね。
81.1メートルの最大瞬間風速は、このころ観測されたと見られます。
次に向かったのは、地区全体が被害に遭った、比川地区です。
地区をまとめる公民館の館長、長はま正敏さんです。
長はまさんは、台風が来る前に、地区の住宅の扉などを補強して回ったといいます。
こちらの住宅、住んでいる方は不在だったため無事でしたが、屋根も雨戸も吹き飛ばされ、全壊に。
もともとついていたこの青いトタン屋根はどこに飛ばされたかさえ、分からないといいます。
そのほかにも地区の被害を確認して回ると、信じられない光景が次々と。
電柱には、飛んできた板がそのままの状態で張り付き。
ブロック塀や。
これ、塀ごと、風でなぎ倒されたんですか?
そうなんです。
金属製の柵も折れ曲がって、倒れていました。
すごい。
変わり果てた地区の様子に、涙が止まらなくなったという長はまさん。
改めてこう話していました。
なぜ、与那国島でこれほどの風が吹いたのか、専門家は、台風が急速に発達したことに加え、通ったコースも関係したと指摘します。
この与那国島っていうのはまさに最も風の強い領域が通過した。
台風の最大強風域というのは、この目の風雲の周辺にあるわけで、この一番強い風の領域が、与那国島を通過したということです。
何度も経験し、備えをしてきた与那国島でさえ、大きな被害をもたらした台風。
将来、同じ規模のものが本州付近まで到達するおそれもあるといいます。
比川地区をまとめる長はまさんなんですが、こういう中でも、けが人ですとか、死者が出なかったことが、不幸中の幸いだと話されていました。
それは、台風のときには外に出るなという、沖縄の人たちが、経験から語り継いできた教訓のおかげということばが印象的でした。
さあ、次は全国の歯科医師で作る日本歯科医師会の政治団体、日本歯科医師連盟の政治資金を巡る事件です。
政治資金はこちら、政治資金規正法という法律でさまざまなルールが決められています。
例えば、政治団体の間で行う寄付というのは、年間5000万円を上限
年5000万円まで?
と定められています。
ところが、日歯連・日本歯科医師連盟が、この上限を超えて、寄付したことを隠すため、収支報告書にうその記載をしたなどとして、水曜日、前会長ら3人が、政治資金規正法違反の疑いで、東京地検特捜部に逮捕されました。
東京・千代田区にある、日本歯科医師連盟の事務所。
おととい、東京地検特捜部の係官が捜索に入りました。
逮捕されたのは、日歯連の前会長の高木幹正容疑者と、元会長の堤直文容疑者、それに前副理事長の村田熹信容疑者です。
問題となっているのは、自民党の石井みどり参議院議員を後援する、日歯連関連の団体と、民主党の西村まさみ参議院議員を後援する、日歯連団体への寄付です。
おととしのケースです。
収支報告書では、日歯連は、西村議員を後援する団体に5000万円を寄付。
同じ日、この団体から石井議員を後援する団体に5000万円が寄付されたとしています。
2か月後には、日歯連は石井議員を後援する団体にさらに4500万円を、直接寄付したと記載されています。
合わせて9500万円の寄付ですが、法律の上限は年間5000万円。
上限を超えて寄付していることを隠すため、うその記載をした疑いがあるのです。
当時の会計責任者の村田前副理事長は、ことし1月の内部の会議で、次のように説明していました。
また5年前にも、日歯連が、西村議員が後援する団体に寄付した1億円のうち、5000万円についてうその記載をした疑いが持たれています。
関係者によりますと、3人はいずれも容疑を否認しているということです。
年間5000万円。
この上限が設けられたきっかけは、やはり日歯連を巡る事件でした。
11年前に明らかになった、自民党、旧橋本派の献金への1億円の献金事件。
この翌年、政治資金規正法が改正され、年間5000万円の上限が定められました。
日歯連を巡っては、この法律改正の翌年にも、参議院議員を後援する団体に合わせて9700万円を、う回寄付したと見られることが、関係者への取材で分かっています。
再び浮上した、政治資金を巡る疑い。
特捜部は、組織的な支援活動の実態解明を進めるものと見られます。
さて、2020年の東京オリンピックに、あの競技が戻ってくることになりそうです。
IOC・国際オリンピック委員会に提案する追加種目が、今週発表されました。
いい当たり!
アテネオリンピック銅メダルの野球。
北京オリンピック、金メダルのソフトボール。
日本、悲願の金メダル!
正式に決まれば、いずれも北京以来の復帰です。
さらに、日本発祥の空手も選ばれました。
これらの競技と種目、改革を掲げるIOCが、大会ごとの独自性を出そうと、開催都市が追加提案できるようにしたんです。
IOCが重視する若者へのアピールという観点から選ばれた競技もあります。
スケートボード?
ローラースポーツのスケートボード。
瀬尻稜選手は、世界大会で優勝した経験があります。
サーフィンもですか?
はい。
サーフィンの大村奈央選手。
持ち味の世界レベルのターンを生かして、オリンピック出場を目指します。
そして人工の壁をよじ登り、スピードなどを競うスポーツクライミング。
涙を飲んだ競技もあります。
ボウリングに、太極拳などの武術。
そして?
どうしても取材したかったのが、この競技です。
こちらですね。
ああ、スカッシュ。
世界でおよそ2000万人の愛好者がいるとされるスカッシュ。
去年12月に、私たちも取材させてもらいました。
当時、追加種目への期待が高まっていました。
うわ、後ろから?それは無理。
そのときに競技の魅力を教えてくれたのが、山崎真結選手。
山崎選手は、女子国内ランキング2位で、追加種目に選ばれれば、日本代表になる可能性もありました。
ご無沙汰しております。
NHK、高井です。
落選が決まったときの心境を伺いました。
目標を見失いかけるほどのショックだったといいます。
ただ、数日がたち、今回の悔しさをばねに、スカッシュの知名度を、今以上に高めたいと考えるようになったといいます。
明暗を分けた背景について、舞台裏を取材してきた担当記者に聞きました。
組織委員会が5競技18種目に決めた背景には、追加種目分について、IOCが設けた選手数の総数で500人という上限の中での、組織委員会とIOCの双方の思惑があります。
まず組織委員会が重視したのは、国内での盛り上がりです。
国民的な人気があって、チケット収入も期待できる、野球・ソフトボールと、日本発祥で複数の金メダルも期待できる空手は、組織委員会が入れたい競技でした。
一方でIOCは、若者のオリンピック離れを懸念していて、若者にアピールできる競技の採用を望んでいたんです。
この思惑の中で、日本側の望む2競技と、IOCの望む3競技で、種目数のバランスを取った結果、5競技18種目という今回の決定に至ったんです。
追加提案される5競技18種目。
確実に採用されるんでしょうか。
ただ組織委員会の関係者は、今回の提案種目について、パッケージという言い方をよくするんですが、今回、IOCの意向もくんだことで、5競技18種目という、この1つのパッケージをすべて採用してもらうことに対して、自信を示していました。
次は、甚大な被害をもたらした関東・東北豪雨。
3週間がたちました。
堤防が決壊した茨城県常総市の鬼怒川で、当時何が起きていたのか。
それをうかがい知ることができる新たな手がかりが見つかりました。
堤防決壊から3週間の朝。
被害が大きかった茨城県常総市の三坂町です。
流された車もそのままになっています。
この日、天皇皇后両陛下は現地を訪れ、犠牲者が発見された田んぼの方角に向かって、静かに頭を下げられました。
続いて、被災した人たちを見舞われました。
大変でしたね。
3週間ぶりに営業を再開したところも。
あの日、1階部分が水につかった大型スーパー。
買い物客や従業員が取り残されて、一時、孤立状態になりました。
被害の少なかった2階部分のみでの営業再開。
大勢の買い物客が訪れました。
今回の堤防決壊。
当時、鬼怒川で何が起きていたのか、徐々に明らかになってきました。
これまでの専門家の調査で、決壊は、川の水が堤防を越えて、地盤や斜面を削ったことで引き起こされた可能性が高いことが分かっています。
そして新たに、決壊現場の周辺で、堤防脇の水田に砂がたまっているのが確認されました。
パイピングという現象が起きたことを示すものです。
パイピングの仕組みです。
大雨で川の水位が上がると、水圧が高まります。
川の水は、堤防内部や地下の砂の層にしみこみ、水の通り道ができると、外へ流れ出します。
こうした通り道、もぐらの穴などがもとになって出来ることもあるといいます。
見つかった痕跡は、ご覧のような半円状に広がる砂だまり。
パイピングを再現した実験でも。
堤防の外に水が噴出するのに伴い、砂が噴き出し、今回見つかったものと似た痕跡が出来上がりました。
水が流れ続ければ、隙間はさらに広がり、堤防が陥没したり、外側の地盤が緩んで、堤防が倒れたりして、決壊に至るおそれがあります。
専門家は、今回の決壊現場でも、このパイピング現象が原因の一つだった可能性も否定できないといいます。
パイピングを示す砂の痕跡。
南北30キロ余りの鬼怒川の流域で、これまでに10か所見つかっています。
今の東京大学の芳村准教授なんですが、パイピング現象が起きた際には、水が噴き出している場所に、土のうを積み上げて決壊を防ぐ、応急処置の方法などを、流域の住民で共有して、次の世代に伝えていくことが重要だと話していました。
さあ、続いてはこちらのニュースです。
事件の現場は、アニメや映画にもなった恋愛小説の舞台として知られている所でした。
月曜日、三重県伊勢市の山の中で、松阪市の高校3年生、波田泉有さんが死亡しているのが見つかった事件。
警察は、同じ高校に通う友人の男子生徒が、包丁で刺して殺害したとして、殺人の疑いで逮捕しました。
男子生徒は、頼まれたから刺した。
包丁は朝、自宅から学校に持っていった。
下校後、2人で一緒に山に向かったと供述しているということです。
女子生徒の同級生は。
警察は、事件に至った詳しいいきさつや動機などについて、さらに調べを進めています。
最終戦で偉業を成し遂げました。
プロ野球・西武の秋山翔吾選手。
おとといの試合でヒットを打って、シーズン最多安打のプロ野球記録を更新。
9回にも3ベースヒットで、記録を216本に伸ばしました。
秋山選手は、プロ5年目の今シーズン、西武不動の1番バッターに成長。
6月から7月にかけては、歴代3位となる、31試合連続ヒットをマークしていました。
続いて、深読みのコーナー。
安心して老いることすらできないのでしょうか。
老人ホームに入所するお年寄りに暴力を振るう職員。
家族が設置したカメラで撮影された虐待の様子です。
お年寄りが安心して老後を過ごすために作られた施設で起きた、信じられない出来事に大きな衝撃が走りました。
実は今こうした介護スタッフによる高齢者への虐待が急増しています。
厚生労働省によるとこの5年で3倍近くに増え平成25年度で221件に達しています。
虐待は、なぜ増え続けているのか。
私たちは介護の仕事に就く人たちに緊急アンケート実施しました。
「認知症の高齢者の対応は本当にストレスがたまる」。
「人手不足で未経験者が多く介護の質も低下している」。
浮かび上がってきたのは高齢化が進む中介護の体制が追いついていないという現実でした。
この問題高齢者を抱える家族には深刻です。
4人に1人が65歳以上超高齢社会・日本の大問題。
老後の安心はどうしたら守れるのか深読みします。
きょうもメール、ツイートでのご参加、お待ちしています。
今回の事件。
介護現場の人たち、介護現場で今働いている、あるいは働いたことがあるという人たちは、どう受け止めたのか、番組でアンケートを行って聞きました。
お年寄りを虐待した経験がある。
あると答えた人が9%。
でも、本当にショッキングなのは、ここです。
可能性はある。
したことはないけれども、自分も虐待をする可能性があると答えた人が38%。
可能性というか、たぶん、いらいらしてしまっているから、なんかそういう、そういうふうになってる気分自体がもう、虐待の入り口じゃないかって思ってはる方も多いんじゃないですかね。
かも知れませんし。
もしも10人に4人が暴力を振るってしまうかもしれないとお答えになったとすると、結構怖いことですよね。
身近な感覚であるのかなと、ちょっと今、不安になっちゃいましたね、自分が。
そうなんですよ。
そこで、現状から、徳永アナウンサーに説明してもらいます。
おはようございます。
どこかで殴るなんてひどい、虐待するなんてひどいと思ってらっしゃる方、多いと思いますが、虐待って、何から何までを言うかって、そこからいきましょうか。
実は、ちゃんと法律に書いてあるんです。
高齢虐待防止法という、その名もずばりの法律が10年も前に出来ていて、どんなに年老いた方にも、人権意識を持って接しましょうっていうものがもう出来ているんです。
そこに書いてある虐待は、大きく分けて5つ。
殴る蹴るは、実はそのうちの身体的虐待の一部だけです。
この身体的虐待というのが、拘束することも入ってきます。
ベッドに縛りつける、意に反して、これも立派な虐待です。
それから、心の虐待もだめです。
さっき、黙れとか、うるさいって暴言を吐いてた。
きつくことばをかける。
助けてくれというのに無視をする。
これも虐待です。
さらには、育児と一緒で、放棄することも虐待です。
助けが必要な人にトイレやお風呂の世話をしないってことも、これも虐待です。
性的虐待というのもあります。
これには、例えばおむつの交換を、ほかの人が見える場所で行ってしまうと。
人権に配慮が欠けている行為はもう虐待です。
そして、これも忘れちゃいけない。
年金って、振り込まれてきますでしょ?ああいうのを本人に無断で主に家族や施設の人が、勝手に使っちゃうっていうケースもあるそうで、これも立派な虐待。
つまり人権意識に欠けたものは、基本的には虐待です。
これ、介護のプロが虐待をしている数が、統計上、増えていて、最新では2013年で221件。
これ、認知されただけで。
専門家の中には、これは氷山の一角じゃないかと言っている人もいて、中には実態は100倍ぐらいあるじゃないかという人も中にはいるということです。
でも、思っちゃいますよね。
テレビとかで、ニュースとかで出てるのがあると、あるだろうってやっぱり、思ってしまうところがありますよね。
そこでアンケートや現場への取材を私たち、させていただいて、どんなことが起きているのかっていうのを、ちょっと、まとめてみました。
最も虐待が報告されているのは、いろんな形態があるんですけれども、施設というのは。
より公的なもので、比較的安い価格で入れるといわれている、特別養護老人ホームのケースで見ていきます。
介護保険が出来てから、もう15年たつんですが、だいぶ変わってきているそうです。
特にこちら。
お年寄り。
お年寄りが変わってきてる?
入所するお年寄りが、だいぶ変わってきてます。
こういうデータがあります。
あー!認知症の方が増えている?
高齢社会ですから。
体が元気ですが、認知症っていう方も増えていて、全国の特別養護老人ホームに今入ってらっしゃる方のうち、認知症の方が実は9割を超えていて、もともと高いんですが、その率は年々、上がっているそうです。
その背景がこれです。
もう52万人待ち?
そんなに?
深読み始めたときに、何度か特養の話、そのとき、40万人台だったんですよ。
どんどん増えて、今最新だと52万人台なんですが、特別養護老人ホームというのは、いろんな状況を見て、優先的に入る人を決めていくんですが、大きく左右するのが、どれだけ助けが必要とされているか、介護度がどれだけ重いかというのがあります。
これだけ待っていると、より助けが必要な方から、入っていくようになります。
つまり、認知症の症状の重い方が、入ってきやすくなっています。
でも、変わっていないのは、職員さんの大変な状況なんです。
人手不足で、待遇も悪いです。
介護といえば、よく聞くのが、こういうお仕事じゃないですか。
そうですね。
お食事の手伝い、入浴の補助、そして排せつや着替えを手助けする。
こういったことはもちろんしてきてらっしゃるんですが、認知症の症状が重い方が増えると、もっともっと仕事が大変になっていきます。
特に、ストレスがたまりやすいといわれているのは、この時間帯です。
夜?
夜というのが、人手不足なんですが、輪をかけて手薄で、先輩もいません。
データによると、全国の特養で今、夜、どれぐらいの割合で見てらっしゃるか。
1人の職員さんが、20人以上のお年寄りを担当してらっしゃると。
多い。
となると、さまざまなことがアンケートで聞こえてきました。
ナースコールが鳴ります。
全員じゃありませんが、認知症の方って、何度もごはん食べたいって、もう食べたでしょ?休んでくださいって、優しく声をかけたとたん、今度はあーっと、トイレ。
そう、何度もトイレっていう方もいます。
さっきしたから、大丈夫ですよって、優しく声をかけて、ようやく部屋に入ってもらいます。
すると、これ、よく聞きませんか?はいかいと。
施設内、私も取材したことがあるんですが、何度も同じ方が夜、歩いてらっしゃるのを見ました。
今は夜ですから、安心してゆっくり休んでくださいと声をかけて、引っ込んでもらったと思ったら、いろんな方がいます。
不安を訴えて、昼夜逆転した生活をしてる方もいるので、眠れないという、声も聞こえます。
と思いきや、こんな声もあります。
これ、実は私の祖母が認知症で、これを特に言ってたんですが、どこか分からないけど、帰りたいって言うんです。
あなたが住んでいるのは今ここですからねって、優しく声をかけても、こんなことばが出てくることがあるそうです。
実は感情的になる方もいらっしゃるそうで、これにストレスをためたという声、アンケートで多かったです。
最もストレスがたまると多くの専門家が言ったのは、こういうときです。
はいかいしている方が、これは現実問題、あるんですが、粗相をしてしまう。
失禁などの粗相をしてしまったときに、とりわけ、職員の方の中では、分かっていてもストレスがたまりますという声が本当に多かったんですね。
これね、20人見てますから、順番に来てくれるとは限りません。
あちこちから、ナースコールが鳴って、助けを求める声がすると、この人もうかどうしていい分からないぐらい、追い込まれてしまうというのが、どうも、取材で見えてきたわけです。
じゃあ、どうしたらいいかって、次の日になって、若い職員さんですから、先輩は昼になれば来ますから、ここで聞こうと思って、声をかけますが、取材で見えてきたのは、これです。
先輩たちもストレスがたまっていて、実に特徴的だと思ったのが、特に重い認知症の方に、どう接してあげたらいいかが、分からない。
勉強はしたいんだけど、そんな時間が割けないっていう声が、アンケートで大変印象に残りました。
そうすると、せっかく意欲がある若い職員も、どうしていいか分からないと、このストレスが、どんどん増える一方ともいわれています。
番組に寄せてくださった方の声を最後に一つ読みます。
こういった状況の方です。
誰にも相談できず、ストレスを自分自身で抱え込んでしまい、虐待につながっているのかもしれません。
処遇が困難な事例を放置して、現場にのみ、その負担を押しつけているとあります。
強い社会保障なんて最近、いわれますが、現場はそれ以前の状況のようです。
なんか、プロでもそんなに。
ご家庭でやっぱり、知識がないし、自分たちではどうしても見きれないからといって、施設に入所してもらうというケースが、きっとほとんどだと思うんですけど、行った先の人も、実はそんなに知識はないっていうことなんですか?
ないっていうわけじゃないとは思うんですけれども、実際に働いている人は、きのうまで高校生で、入職してきた子もいるし、それからほかの仕事から転職してきた人もいるし。
ですから、入職前に勉強できている人は、全体の中でも限られている場合もありますよね。
でも、入職してからも、いろいろな研修制度だとか、新人研修から始まってっていう仕組みは、基本的には持っていると思います。
結構あちこちで、介護福祉士の専門学校があったり、大学に福祉課があったりって、なんか知識のある人は、どんどんどんどん増えていってるのかと思ってたんですけど。
そういうようなイメージはありますよね、確かに。
僕も知り合いに介護スタッフをやっている友達がいてるんですけど、やっぱ、この状況はすごい聞きますよね。
やっぱり、これで体を壊して、休む。
違う所に行く、そこでも同じような状況になっていくからっていう、やっぱり、ある程度人数のことが。
人数がある程度そろってきたら、このストレスはだいぶ解消できるのになという話は聞きます。
人手ですかね。
特に夜勤。
うーん、40歳の女性からも実際、介護職に就いてらっしゃる方からもこんなメールが来ています。
うち実は、実家がデイサービスをやってるんですよ。
自宅を改造して、おじたちがヘルパーさんも呼んでやってるんですけれども、やっぱり圧倒的に田舎なので、若い人がいない。
なので、高齢者のスタッフがいると、夜はやっぱり無理だとか。
すごい分かって、そのストレスも、そうだし、だから実はすごく身近に今、初めて感じているんですけれども。
今回、虐待の問題が非常にクローズアップされてますけど、大部分の施設はたぶん真面目にやってて、みんな一生懸命やってるんですし、介護って楽しいとか、非常にやってて、やりがいもあるっていう反面、実際、こういう問題があるので、虐待がない施設もあるわけですから、ない施設と、楽しく職員がやりがいを持ってやる施設と、今回の事件のようなのがたくさんあるんですが、そこの違いを、ある程度よく見ていくと、こういう問題が。
それに関しては、こんなメールが来てるんですけど、お答えいただけるでしょうか。
鳥取県50代の女性から。
それは関係ないですよね。
関係ない?費用は関係ない?
高いお金を出したから確実によい介護が手に入るとか、安いからだめとか、そういう単純なことではないと思いますけどね。
やはり、その施設や事業所が経営的にも理念として、経営方針としてどういう志を持って、設立されたかってことが一点あって、それが研修等を通じて、職員にどのように伝わっているのか。
また職員がそれをどれだけ納得したり、共感しているかっていうことが、まず重要ですよね。
傾向としては、そういうのがあるのか、ないのかというご質問だと思うんです。
今、需要がありますからね、実際、これだけ入所を待たれている方がいて、なんとかして作ろうとして、どんどんどんどん増やそうとはしています。
増やそうとしている中で、なかなかやはりそこで、職員が集まってこないという問題があるんですね。
やはりそこが増えてるんだけども、だから、どういう施設かっていう、経営理念とおっしゃいましたけれども、そこはしっかりと中で教育されているところもあれば、なかなか今、どんどん増やすことに優先的になっていて、そこに入ってきた方の教育がなかなか、うまくいっていないといたところでは。
そこが料金の高い、低いと一致していないと?
でも、経営者側の姿勢によっても、だいぶ変わってくるんちゃうかなと思うんですけど、人はいてても、夜勤にこれ以上、人数は入れたくないと。
お金がかかるからっていうので、人はいてて、夜のスタッフはいてるけど、その廃止される人数によって、問題が起こってたりとか、ストレスを抱えてはる介護スタッフの方がいてるんじゃないですか。
僕はよく、そういう質問があって。
どういう施設を選んだらよいか?
私がケアマネをやってたときに、よくいわれる、どういう施設がいいですかっていうと、結構、ボランティアさんが施設に結構、いっぱいいらっしゃったり、地域とのつながりが非常に深い。
要するに介護施設だと、どうしても専門のスタッフばっかりいますけど、例えば、お話し相手とかタオル畳みをしてるとか、そういうたくさん、地域の方を交流させてるとこ。
それからやっぱり、辞める人が少ない施設ですね。
これは、やっぱり職員が楽しいということは、やっぱりいい施設だということです。
理想でいくと、本当は法律では、高齢者1人に対して、職員3人という、一応これがぎりぎり、これが決まりなんですけど、できれば、1対2ぐらいの割合がいい。
職員1人に対して、高齢者が2人っていうのが。
なかなか、これ、個室と4人部屋では、また違うんですけど、法律では1人に対して3人ということです。
それから先ほどおっしゃったように、介護施設の場合っていうのは、資格がなくても実は働けるんですね。
在宅の場合はだめなんですけど、なかなかこれ、見てる方は、みんな、介護施設に働いている方、資格あると思ってらっしゃるかもしれませんけれども、ですから、資格を持っている人が、例えば施設見学に行ったときに、資格を持ってる率とかを聞くのもいいのかもしれません。
それから先ほど言ったように、研修ですね。
やっぱり、認知症、特に認知症の研修って、非常に大事で、例えこれ、国家試験を持っていたとしても、毎日毎日、勉強していかないと、認知症の人のケアっていうのは、身についていかないです。
それから選ぶとき、建物の豪華さにあまりだまされないように。
やっぱり。
それ、ある。
設備ね。
取材で行ったんですけど、マンションがホテルになってて、うわっ、ここに住みたいっていう、今よりいい環境だぐらいな、とってもすてきな施設とかあったりする。
だまされちゃいけないんですね。
介護って、建物ももちろん大事ですけど、やっぱり、人が一番大事ですから。
私なんかはこの6つのポイントが一番大事かなと思います。
ただ、なんか聞きながら、選べる人はいいけどねっていう声が。
だって、入所待ちもいるわけですからね。
聞こえてくるような気がして、選べない立場の人がほとんどなわけじゃないですか。
そしたら、もう全体として、なんとかこう、虐待がない所ばかりになってほしいというときに、何ができるのかと、実は、この番組、視聴者の方々から、事前にアンケートを取り、そしてこのお2人にも同じアンケートに答えていただいて、どうすれば虐待はなくなると思う?というのを、アイデアを出してみたんです。
これをちょっと専門家の方々に投げかけてみたいなと思うんですが。
どれからいきましょうか。
介護ロボット。
介護ロボットは、可能性として、一家に1台という時代は、いつになったら来ますか?
今、開発をしてますけど、本当に本当のロボットが全部介護をやるっていうのは、なかなか50年、100年先じゃないと、なかなかこれ、難しいので、今はなかなか、そのままロボットの人がやってくれるというのは難しいと思うんですけどね。
身体的な介護はね、それを職員の方を負担を軽くするためには、いろんな今、その方たちを例えば、力仕事をする方の力仕事しやすくするための、これからどんどん増やしていったらいいと思うんですが。
認知症の方のケアっていうのは、やはり人と人との関係なので、なかなか本当に、心のケアまでは、ロボットにはできませんから、これはやはり限界があると思いますね。
大変な仕事に見合うように、お給料をもっとアップしたらどうかというのは、増田さんのアイデア。
誰もが助かる仕事ですからね。
いてくれたほうが。
やっぱり、その聞くのは、やっぱり、有能な方がいてて、その人がやめていくときに、たくさんのお金を払ってでも現場にいてほしいとなったときに、経営者の方が、その人に高いお金を払うぐらいやったら、そのお金で2人雇ったほうがいいんじゃないか、効率がいいんじゃないかっていうので、なかなか給料が上がらないという話も聞いたこと、あるんですけど、どうですか?
基本的には、国の介護保険制度という中だと、国の報酬が決まってるんですね。
だから、国が報酬を上げないと、やはり職員の待遇もよくならないということになりますね。
じゃあ、国の報酬を上げるためには、だから、私たちが払っている介護保険量をもっと増やせばいいってことになるわけですか?
結局、報酬が上がるということは、それぞれの負担も保険も少し上がることになります。
一体、どれぐらい増えたら、簡単には言えないかもしれませんが、虐待がなくなるためには、いくら払えばいいんですか?
いろいろ計算をしますけど、例えば給料ですね、20%とか上げる場合、介護保険料、今より2000円上げるとか、3000円上げるとか、そのぐらいにしていかないと。
今、今回、1万2000円上がったんですけど、1万2000円上がっても、まだまだ普通の働いている人に比べると、年収100万違うので、いい人が取れないんですよね。
これ、現場的には、年功序列的になっていないんですか?有能な若い方がいてて、この方の給料を上げよう思ったときに、周りも上げなあかんから、こっちを上げられへんっていう、そういう状況はないんですか?
そういう、ちゃんとしている施設もあるんですけれども、それは施設が持ってる体力によってですね。
でもやっぱり、ちっちゃい施設とか、なかなか難しい所は、自転車操業でやっている施設もあるということです。
正社員みたいな形で雇用している所もあれば、いわゆる非正規労働者として雇用されている所も多いですから、正社員と同じように、ランダムに上がっていくということになってないとこもかなりあるわけです。
それから国の報酬が1万2000円、ことし上がったと言いましたけれども、実際に厳密に見ますと、みんながそれ、お給料がアップしたわけではなくて、1万2000円程度上げられるぐらいの予算はつけましたよ。
だけど条件があって、ちゃんと正社員化するとか、待遇を改善するという、教育をするとか、訓練をするとか、ちゃんとやっている所は、お給料、加算してあげますよという仕組みだったんですね。
ところが、全体的な介護報酬全体はことしは2%以上減ってますから。
国は減らす方向にあるので、そういう中で、加算によって、頑張った所には、少しお給料、上げられるだけの原資はあげますよといったそういった今、政策なので、全体としてはもう、介護報酬の財源というのは、今、減ってる方向にあるということです。
じゃあ、虐待した人への処罰の厳格化ですとか、防犯カメラでの監視。
これはもう絶対だめですね。
よけいだめですね。
ほとんど見張られて、介護をするとか、失敗が許されない介護なんていうのは、成立しないですよね。
成立しない?
ですね。
疑られて介護はできないと思いますね。
そしてもう、それではカメラのない所で、もっと陰湿化していったりとか、または処罰を受けないように、また動いてしまったりとか、よけい、問題が深刻化したり、陰湿化したりするだけで、結局、私たちはそういうふうに、介護ってそういうふうに取られてるのかなと思うことのほうが、介護職を傷つけると思いますね。
なるほど、なるほど。
確かに、監視カメラまでつけると、要するに、人権的にも問題がありますし、仕事もしにくくなりますし、逆効果だと、それは私も思います。
ただ、考えなきゃいけないのは、先ほどの説明にもあったみたいに、やはり密室化しているところで、いろんなこと、問題が起きやすくなるということですから、これをどうなくすかということを、考えなきゃいけませんよね。
一つの方法は、職員の方が、ほかの職員が何をしているのか、これが分かるような関係性を作らないといけないと思うんですよね。
特に1人の方を1人、マンツーマンでやるということは、非常にいいことなんですけれども、ある人にばっかり任せきりになってしまうと、問題が見えにくくなります。
その人と入所者の方だけの関係でいってしまう。
だから、ちゃんと、みんなの目で、1人の入所者の方を見る。
情報を共有すると、そういったことが、一つ、非常に重要だと思います。
それから、虐待ですけれども、発覚するまでの間は、同じ人に対して、繰り返し行われるという、こういう傾向もあります。
この方はいつも、特に認知症の場合ですと、自分のことを説明できませんから、こういうことがありましたよっていうことを、訴えられない。
そういう方、弱い立場の方に繰り返し行われる。
そうすると、その方を、ある1人の方がずっと見てるということになると、やはり問題がどこまでいっても断ち切れないので、こういうのをどうなくすかということを、考えなきゃいけないと思います。
いろんな声が来ていますね。
給料を3倍にするか、職員を3倍にするか、両方するかだ。
まさにきのうの帰りが遅くなった状態の説明をしている。
この方きっと、さっきの、あの特別養護老人ホームのような状態で、帰りが遅くなられたんですね。
カバーしてもしきれませんとお書きになっています。
一つ、本当にセクハラは受け、利用者さんに暴言を言われ、そのストレスも毎日積み重なり、楽しいこともあれば、ストレスで苦しいときもあります。
外国人の介護職員を雇うとかいう話も出ていたみたいだけど、給料を上げて待遇を見直せば、日本人も集まるのでは?という声も来てるんですが、この外国人の介護職員の受け入れ、そうやって人材を確保してはどうかというアイデアについて、どうお思いなります?
一時的には、人数が増えて助かったという事象があるかと思いますけれども、でも日本人に対して、介護の育てる教育とか、育成とか、そういった環境が整ってないのに、そこに外国人さんが数として増えただけだと、もっとまた深刻なことが起こることは、簡単に予想できると思うんですよね。
ですから、先ほど言った密室化については、見えるということと、中でもストレスっていうのは、目に見えないじゃないですか。
ですから、孤立化とか孤独に追いやらないという、この密室というのが、その職員だけに負わせる、職員だけに閉じ込めてしまうというのを、なくしていく。
ですから、職員に対して、ストレスは、あなた、ストレス感じてるよって、誰かがちゃんと言って、そして、ストレスは感じていいんだよっていうことと、いらいらしているとか、腹が立ったとか、かっとして殴りたくなったとか、そういうことをちゃんと言っていいんだって、そうすると、あっ、あなたも?私もだったよ、じゃあ、私一人じゃないんだ、どうしてこんな気持ちになっちゃうんだよねということを、一緒に考えられる、そういう職場環境を作ることがとっても大事で、この密室っていうのは、視力として見えないっていうよりも、職員の心の動きっていうのを、みんなで支えていこうという仕組みと、そのサービス環境の中に作っていくことがとても大事だと思いますね。
なんか、つらいって言いにくいですよね。
特に心の優しい人たちが集まる職業のようにも思いますからね。
そもそもね。
そもそも、そういう人ばっかりになってるから、よけい言いにくいんじゃないのかと思ったりするんですけど。
お年寄りのことを臭いとか汚いとか煩わしいとか思ったら、いけないんだって思っちゃう。
そしてそう思った自分は悪い人間なんだって、思っている自分も気付かれないようにしようって思って、心を閉ざしてしまう。
介護の毒は孤独ですから、どうせ、自分の気持ちは誰にも分かってくれないんだっていうふうにして、積み重なる、これが一番悪いですね。
どうせ、私がこんな夜勤で苦労していること、こんな怖かったこと、時にお年寄りのことをすごく嫌いに思った気持ちなんか、どうせ、誰も分かってくれないという気持ちの中で、たった一人で介護しているときに、どうせ分かってもらえないって孤独の中にいる職員が、人から見られない介護をするときに、モラルを守るって、とても大変なことなんですよね。
そうすると、分からせてやろうかとか、どうせ、分かりゃしないっていう気持ちで、簡単に虐待展開していくことが、もう介護の現場では、分かっているんですから、ですから、介護というのは当然、ストレスが発生する、そしてストレスは感じていいんだ、そしてそれは表現していいんだ。
そしてそれは一緒に共有することで、もう一度お年寄りに向き合える。
介護ストレスというのは、人は思いどおりにならないし、思いどおりにしてはならないということを、共有することから始まりますね。
だからそれは、介護職員、その施設の側でできること、今お話しくださいましたけれども、私の手元には、こんな声も来ています。
この方も施設の方ですね、きっと。
施設の責任ばかり問われますが、家族は面会にも来ず、預けっぱなしの家族も多いです。
もっと家族が施設に顔を出せばいいなと思います。
そうしたら、少しは抑制になるかなと。
家族は施設になんでも任せ過ぎだと思いますという声。
そして、メールでも、家族が頻繁に見舞いに行って、かいごしゃとこみゅにけーしょんをとりきずけるようにすべきというようなご意見も来ているんですけれども、施設の側の取り組み、そして家族、そしてまだ預けていないけど、いつ自分の家族を大切な家族を預けさせることになるか分からないということの、その他大勢の私たちができることは、何かあるのかということを、実は徳永アナウンサーが。
高口さんは今、お聞きいただいてお分かりのとおり、全国の介護施設に行って、アドバイスや講演をしていらっしゃるんですけど、その取材をわれわれ、させていただいたときに、やはり、家族っていうキーワードは、もしかしたら今、大変な状況の中で、少しでも光になるのかもしれないと感じました。
アドバイス、こんなことしたらいいですよというふうにアドバイスしていらっしゃる取り組みを、2つご紹介いたします。
まずこれです。
家族も入れて一緒に食事会。
これはね、お年寄りとそのご家族と介護施設のスタッフの3者を交えて、食事会、交流会を開く。
中には、スライドショーで、この施設が1年間でこんなことしてきました、あんなことしてきましたという報告もしたほうがいいですよって、アドバイスが出るそうです。
そういうことをしていくと、家族の方、よくこういうことをおっしゃるそうです。
ありがとう。
このことば、とても大事だっていうことなんですよね、高口さん。
食事会という形にとらわれることはないんですけれども、ただ、ありがとうということばが先行すると、なんか、自分の親を預けているんだから、人質に取られてるんだから、家族はへりくだらなきゃいけないんだとか、そういうふうに捉えられる必要はなくって、介護をやっていると、先ほど、ご紹介があったように、家に帰りたい、帰りたいと言うおばあちゃんに、きょうは家には帰れないよとか、家は誰もいないよとか話しかけながら、一晩過ごしますよね。
食べないっていうお年寄りに食べてもらおうとかしますよね、そうするとだんだん、本当にこの人のためになってるんだろうか。
私、この人のための介護したんだろうかって、職員は悩んだり、迷ったりします。
むしろそういう介護職のほうが優れているんですね。
でも、それがずっと続くと、なんのために仕事をしているのか、頭の中で考えていても分かんなくなったときに、お宅に一晩いたから、あんたのとこに通ったから、私、よく眠れたよって、ご家族が言ってたりとか、買い物行けたよっていうふうにストレートなありがとうを聞くと、シンプルなありがとうを聞くと、頭の中で考えてた分かんないことが、あっ、役に立ってんだというのは、まず介護職を支えるのが一点ですね。
それから、ご家族は、自分の親を金まで出して他人に預けるっていう、なんか後ろめたさとか、自分は親を捨てたんじゃないかとか、そういうある種、内罰姓というか後ろめたさを持って、私たちにお預けになる方が多い中で、そうすると、介護職と一緒にごはんを食べてて、笑顔が出てるとか、家では見せないような表情を見せたときに、あっ、預けてよかったなって、私は親を捨てたんじゃなくて、親のために介護を選んだんだっていう、その実感を、ありがとうとして伝えていただくと、職員はすごく楽になりますね。
ただ、この話は介護の職員さん、施設、それから家族だけの関係の話じゃないらしいんです。
すごく示唆に富んだお話で、もうちょっと続きを聞くと、また全然違うように見えてきます。
これ聞いてどう感じるかをお2人にも考えていただきたい。
私たちもスタッフも、考えさせられました。
こんなことも進めてらっしゃるんです。
一緒にお風呂。
ただ入るだけじゃないんです。
誰と一緒に、誰がお風呂に入るんですか?
職員とご家族と、亡くなったお年寄りです。
え?
お年寄りが亡くなったときは、体をきれいにしてさしあげますよね。
病院や介護施設では。
そのときに、施設の職員や家族が一緒にお風呂の部屋に入って、語り合うことを、高口さんは勧めてらっしゃるんです。
なぜ?
ここの話をぜひ。
そうですね。
職員とお年寄りっていうのは、偶然の巡り合わせなんですよ。
お年寄りは順番が来たぐらいで利用が開始されて、そして、その職員は家から近いという理由ぐらいで、入職して、この2人は全く赤の他人で、偶然の巡り合わせなんだけど、さっきの食事、排せつ、入浴を通じて、食べてくれた、笑ってくれたっていう体験を通じて、人として巡り合っていくわけですね。
一緒にトイレに行ったこと、一緒にごはんを食べた、そのとき一緒に生きてた、その人がだんだんだんだん弱っていく中で、最初のきっかけは、弱ってきたお年寄りが亡くなったときに、ご家族がひと言、きれいな体で逝かしてやりたいなっていうのを聞いたときに、介護職は、じゃあ、今から一緒に入ろうって、亡くなった方ではあるけれども、一緒に入る。
そうすると、みんな、一生懸命、その人に話しかけるんですね。
ご家族はお父さん、久しぶりやな、一緒に風呂入るなんてって言うし、職員は、あんなことがあった、こんなことがあったって、ある意味、泣き笑いですよね。
その中で、今までいろんなことがあったことが、一緒にお風呂に入るという中で、昇華されていくっていうか、ご家族は親を失ったこれからの自分の人生を歩み始めるし、職員はこの人にしてあげられなかったこととか、間に合わなかったこととかを思って、これから出会うお年寄りに、それを一つ一つ返していこうとする。
その介護の区切りとか、区切りを持つからこそ、これからの介護。
だから、人体のみではなく、人生に関わる仕事だっていうことを、最後まで見届ける。
それをご家族と一緒に見届けることで、職員は介護の意味とか、実感できるっていうんですかね、とても大事ですね。
お話しを伺って感じたんですけどね、介護職というと、なんか一般には、体が弱った方、自分ではいろいろなことできなくなった方のそれをサポートして、日常生活ができるようにするとか、あるいは訓練をして、家に帰してあげる、そういう身体的な介助をするというイメージがありますけど、やはりこれから、今お話にあったように、施設の中でみとる、みとられる、亡くなる方がもっと増えていくんですよね。
そう考えた場合に、今、お話伺って感じたのは、介護職に対する見方っていうか、認識を少しやっぱり、改めていかなきゃいけないかなと。
やっぱ、終末期をどう、誰が支えていくか。
誰がみとっていくかということを、ずっとサポートして、その人を励まし、支えていく仕事なんだということですね。
そういう介護職に対する認識を私たち自身もいろいろ考えていかないと、この職業に対する評価も変わってきませんよね。
そういうふうな、非常に重要な今、お話だったなと思いました。
介護という仕事は、人間をみとる、送る仕事だっていうことなんですね。
見届けるというところはありますね。
ですから、偶然のように巡り合った者たちが、ただ、栄養補給するとか、身体洗浄するとか、汚物処理するとか、そうではなく、おいしいごはん、気持ちのいいお風呂、すっきりしたお手洗いというのは、人しかできない仕事なんですね。
そして今おいしいとか、今気持ちいいってことが、今を生きるということで、そのとき一緒に生きた人間として、人として出会う。
人しか人を支えられず、人として人を大切にする、そして人として見届ける、これを職業として選んだということですかね。
それを数や量とか、または労働量だけで推し量られ、時に悪いことするんじゃないかということで、監視の目で向けられると、戸惑ったり迷ったりする自分たちが一切、受け止められなくって、より介護職たちはかたくなになっていく。
そこをご理解いただけると、大変うれしいなと思いますね。
これ、実際に家族の方が、一緒に亡くなられたあとに、お風呂入ってるという、そういう例は今、多いんですか?増えてるんですか?
そうですね、推進しているというわけではないけれども、あくまでご家族の希望で、最後、一緒に入りたいですというのが、まず原則なんですが、ただ、お風呂っていうと、すごい象徴的な出来事かもしれないけれども、例えば、もう二度とお花見なんか行けないと思ってたけど、じゃあ、私と一緒に行きましょうって、介護職が言うことで、あんたと一緒なら行けるかもなとか、二度と行けないと思ってた1泊旅行に、じいちゃんとばあちゃんが一緒に行ったとか、そういうたおやかで揺るぎないいつもの、毎日の日常を共にした人がいるから、掛けがえのない非日常というか、忘れられない日、そういうのを、日常を作り上げたものどうしが迎える非日常っていう、この日常と非日常を家族と共に作り上げるっていうことが、そういう取り組みは、どんどん増えていると思います。
例えば、まだ元気なときに、施設に家族が会いに行って、きょうはちょっと、一緒にお風呂入らせてもらえませんか?と言って、家族が一緒にお風呂入って、体洗ってあげたりとか、そういうのが、施設っていうのは、大丈夫なんですか?
全然OKです。
でも、だめな所もあるんですよね、当然。
そうですね。
一番、そういうふうにできる施設が、これから全国に広がるのが、一番ベストですけれども、やっぱり、冒頭に言ったように、人手が足りないとか、あと、経営者も中には、経営をすごく重視して、どんどんどんどん例えば、お店を広げて、営利を目的にする、ちょっと勘違いしている経営者もいます。
先ほど、解説委員も言ったように、社会保障費はどんどん下がってきますから、テクニック的な介護の問題と、実はこの、介護を取り巻く社会保障の環境の問題。
これはやっぱり、どうしても社会保障費、少なくなっていってしまえば、これはやっぱり環境が全体的にもいえますね。
そうすると、一部の志のある施設はできるけれども、不変的な政策としてはできないわけで、やっぱりこれ、国民が介護っていうのは非常に大事であると、介護のためであれば、多少、保険料や税金を上げてもですね、自分たちの親のことも考えればという、やっぱり国民の介護に対する意識をもっと強めないかぎり、これは根本的な解決にはならないと、僕は思います。
確かにすごい、さっきも言ったんですけど、うちの実家がやっているときに、やっぱり、ボランティア精神。
だから本当に、好きだし、お年寄りを面倒見てあげたいし、愛情持ってできるけれども、でも正直、人数が増えたら、今のことはできないって。
やっぱりそのことは人とか地位とか、いろんなものをやらないと、やっぱり、ボランティアだけだと、最期まで全員は見ることはたぶん、できないだろうし。
いろんな意味で、職業として、なんかヘルパーさんとか、介護士さんとかの場所が確立、本当にしてほしいなって、すごく思います。
ものすごく、私は介護について何も語れないけど、この女性の先生のお話は、何か心、打たれるという声が来ていたり。
ありがとうございます。
シンプルなありがとう、とても大切なこと。
でも、それだけで終わらせてはいけない。
待遇改善は欠かせないと思うという声も来ています。
なんか、そういうことですよね。
だから介護保険料とか、そういう国に納めるお金、将来のために自分たちの親のためにって、われわれが払ったとしても、そのお金がちゃんと現場のスタッフのところに届いているのかと、経営者の所ばっかり行ってるんじゃないかという見られ方もありますよね。
人手不足、人手不足って、言いますけれども、人数が足りないんだったら、何がどこにどう足りないのかとか。
ですから、人手っていうのは、手が足りないのか、人が足りないのか、人数の問題なのか、人材の問題なのか、じゃあ、どういう仕事に、どういう人数がいるのかとか。
能力として何が求められているのか、全然整理されないままに、人数を増やしたり、お金増やしてもだめだと思うんですよね。
そこはやっぱり、介護現場から、なんのためにどれだけ人数が欲しいのか、どんな人をどうやって育てていくのかっていうのを、ちゃんとやっぱり現場が、発言していかなきゃいけないんだなということは今回の事件を通じて、すごく思っちゃいましたよね。
でも、同時に今、私たちの側も、みとる職業、送る職業、人間を送るという、その職業に対する敬意がまず前提にあるかどうかで、なんかそこから積み上がる議論が変わってくるような。
そうですね。
やはり、先ほども言いましたけど、介護職に対する見方を一回、ちょっと整理しなきゃいけないと思うんですよね、これまでどおりの考え方じゃなくて、人生の最期までみとるんだと。
病院だったら、今でも病院でみとるところは多いんですけれども、じゃあ、どう違うのか、介護の施設と病院はどう違うのか。
そこで働いている人たちのお給料の差はどう違うのか、なぜ違うのか。
だから、介護職に対する仕事の評価というのをしっかりして、そこに対する、じゃあどれぐらいのお給料が必要なのかということを、改めて考えなきゃいけないんじゃないかと思いますね。
2015/10/03(土) 08:15〜09:30
NHK総合1・神戸
週刊 ニュース深読み「介護施設で何が… どう守る“老後の安心”」[字]

老人ホームで相次ぐ虐待事件。虐待の件数は221件と、5年で3倍に急増。いま介護の現場でいったい何が起きているのか。どうすれば虐待をなくせるのか深読みする。

詳細情報
番組内容
川崎市の介護施設で、入居する高齢者の虐待が明らかになった事件。厚生労働省の調査では、施設での高齢者虐待の件数は221件(2013年度)と、この5年で3倍に急増している。認知症を患う入居者の増加や、支え手となる介護職員のスキル不足など、介護施設の現場には問題が山積している。超高齢化が進む日本で、安心して高齢者を支えていくためにどうすれば良いのか。専門家を交えて深読みする。
出演者
【ゲスト】増田英彦,大林素子,【解説】介護アドバイザー…高口光子,淑徳大学教授…結城康博,NHK解説委員…村田英明,【キャスター】小野文惠,高井正智,【気象キャスター】南利幸,【リポーター】徳永圭一

ジャンル :
ニュース/報道 – 定時・総合
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
スポーツ – スポーツニュース

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